伊達だより 再会した2人が第二の故郷伊達に移住して 第二の人生を歩む

田舎暮らしの日々とガーデニング 時々ニャンコと

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ジャコシカ48

2018-06-20 01:31:02 | ジャコシカ・・・小説

 山の道が閉ざされ海が時化れば、入江の家は完全に閉じこめられたことになる。

 それは一体幾日続くことになるのだろう。まさか春までということはないだろうが、あの小舟で

は一週間、10日なんてことは、充分にあり得る。

 高志はまたまた胸の鼓動が高まるのを覚えた。どうやら自分は普通ではない、むしろ異常な生活

に憧れているのかも知れない。

 26歳になって、未だに普通の大人に成り切れずにいるのかも知れない。

 崖下を観ながら極度の緊張の一方で、なんとも場違いな想念に囚われながら、ずりずりと海に向

かって下りて行く内に、やがて幾つかの折り重なった岩山に行く手を阻まれてしまった。

 さてこの先はどうなるのかと近付くと、先を行く鉄さんが二つの岩山の間に吸い込まれて消えた。

 慌てて足跡を辿って岩陰に廻りこむと、突然眼の前が開け、そこに砂浜と柾葺屋根と船着場が、

まとめて視界に飛びこんできた。

 入江はひっそりと、まるで微笑むように二人を待っていた。

 「はあ、あっはっは」

 高志は思わず声を上げて笑った。

 秘密の入江は海から帰った時にも負けず、高志の心を躍らせていた。





 ブデイック「フローラ」は順調にスタートを切った。定まらなかった客層も次第に絞れてきた。


 この一年めまぐるしく商品展示を変える度に、落ち着かなかった店の雰囲気も、一定の方向性を

示してまとまり始めた。
 
コメント
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