まいど、日本機関紙出版です。

〒553-0006 大阪市福島区吉野3-2-35
 TEL06-6465-1254 FAX06-6465-1255 

吹田市「行政の維新プロジェクト」は中止を!

2011年09月23日 | 丸ちゃんの喜怒哀楽へなへなジャーナル

 我が街、吹田市の市民の暮らしが今「非常事態」に直面している。この春、自民党府会議員から大阪維新の会に鞍替えし新しく市長になった井上哲也氏、この人は現在、大阪維新の会顧問ですが、この新市長の下で「行政の維新プロジェクト」という、市民の暮らしや福祉・子育て・教育に関わる100の事業見直し作業が行われようとしているのだ。

 市長は就任早々「財政非常事態宣言」を行い、市の課題を「行政の維新」「地元経済の維新」「教育の維新」の3つにまとめた。「行政の維新プロジェクト」はその1つで、最高責任者は市長、これに副市長と幹部職員、そして外部委員が参加するMT(マネージメントチーム)会議を中心に、「収入に合わせて予算を組む」財政規律、市職員数削減と賃金の引き下げ、事業見直しや民間委託の促進、吹田市の独自施策の廃止などを打ち出している。

 しかしその手法は、パブリックコメントさえも実施せず、市民の意見を聞かないという、まるで橋下府知事のやり方を真似たようなもの。強引さが丸見えだ。「維新」というとなにか新しい変化を市民にもたらしてくれるような印象だが、その中身は市民サービスの切り捨てそのもので、この内容が強行されるならば長年にわたって市民と行政が築き上げてきた福祉の街、暮らしやすさ近畿1位の街は内部から瓦解していくことにもなりかねない。

 市長は吹田市財政は「非常事態」にあるというが、果たしてそうなのだろうか? 2009年度決算では、地方自治体の財政力を示す財政力指数は国基準より高い1.11で、これは全国の特例市41団体中4位、大阪府下では2位(大阪府平均は0.79、全国平均は0.55)。1人当たりの個人市民税額は府下第2位、法人市民税は府下第3位、さらんい地方税総額は府下第3位で、借金の地方債残高は府下31市中30位だ。また歳出予算に占める公債費割合は6.8%で、これは年収500の家庭に例えると、年に34万円のローンを毎月28388円ずつ返済しているということで、どう考えても吹田市財政が「非常事態」にあるとは考えられない。このような吹田市が「非常事態」というならば、全国の自治体ではいったいどれだけ多くの自治体が「非常事態宣言」をしなければならなくなることかと思う。

 基本的に地方自治体財政はは小泉政権の「三位一体改革」と地方分権のもとで国・府からの補助金が2006年度以降大きく削減されてきた。そのため吹田市は毎年約11億円の減収となり、大阪府からの補助金は交付金化され、国と府が本来行うべき分野で、政治のツケが地方自治体に押しつけられてきたのだ。つまり国レベルの制度改悪と、特にリーマンショック以降の日本経済の落ち込みが主たる原因なのだ。

 今、吹田市がやるべきことはそうした根本的な問題に自治体の首長として声を上げること。市民の暮らしを守るために地方自治体が防波堤とならないでいったい何のための自治体なのかと思う。高すぎる国保料、特養ホームや保育所の待機解消、障害者の暮らしの場の確保、介護保険料の軽減、学校などの耐震工事ほか、市民の暮らしの現状こそ「非常事態」にあると言っていい。そんな下での市民サービスの切り捨てなのだ。
  
 対象となっている100事業の一覧を見てほしい。どれもこれもが市民生活に直結しているものばかりではないか。この中には障害者作業所への重度加算をはじめとする全国に誇る施策がたくさんあり、それこそが「福祉の街、吹田」たる所以であった。それを「他市ではやっていないから原則廃止・縮小」では、いったい何のための行政なのか。独自施策を行ったり国の最低基準を上回ることがなぜいけないのか、その根拠も示されていない。

 この事業の見直し、要は止めればいい、下げればいいという、何も智恵を働かさない誰にでも出来ることのように思えるのだがどうだろうか。このどこに自治体首長としての本来の役割が発揮されるのだろうか? またその下で働く職員たちはどのように考えておられるのだろうか?

   

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする