先輩と久しぶりに出会った。若い頃に色々と仕事を
教えてもらったことがある大先輩。
潜水士の仕事は、現場から現場へと渡り歩く。
家からかよえる潜水士の仕事などはほとんどない。
「まだ、潜られているのですか?」と聞くと、
「当たり前だろ、潜らないと食べていけんさぁ」
潜水士には定年退職などない。今も沖縄各地の離島を
回り、粟国島での仕事を終えて帰ってきたそうだ。
潜水士の仕事は通常、二人一組で潜って作業をする。
神戸の震災復旧工事に呼ばれたときは、70歳を超えた
潜水士と組んだこともある。視界の悪い危険な場所
での作業より、一緒に組んで潜っている70歳の
潜水士のことが気になって落ち着かなかった。
あの人は今でも潜っているのだろうか?
もう10年以上前の話、生きているのかもさだかではない。
居酒屋で久しぶりに出会った潜水士の先輩
(マリオブラザーズのルイージにそっくりなので
ルイージと呼ばれている)に、誰と潜っているのか?
と聞けば、懐かしい名前が何人も出てくる。みんな
私より先輩の人ばかり。潜水士も高齢化が進んでいる
ようだ。クライマーに「どうして山に登るのか?」と
聞くと「そこに山があるからだ」と言う。
普通なら定年して孫の世話をしていてもおかしく
ないような年齢になって「まだ、潜るの?」と聞くのは
失礼だから「いつまで、潜るつもりなの?」と聞いたら
「まだまだ、潜れるまで潜るさぁ、だって潜らん
と食えないのによ」潜水士になりたいと希望をよく
聞かされるが、将来のこともよく考えるべきだな。
潜水士の免許を取るために一生懸命勉強をしている人を
見ると、なんとなく複雑な気持ちになる。
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