文庫版のためのまえがき
序章 司馬仲達をとりあげる理由
注目されない天下人
・三国志を彩る者どの中で
・仲達の人間像とは
修羅場を生ききった厳然たる事実
・中原に鹿を遂う
・敗者に勝者の訓えなし
かたき役の存在と意味
・信玄に謙信、孔明に仲達あり
第1章 司馬仲達・その波瀾万丈の生涯
生まれながらの傑物
・「司馬」という姓
・人相見の予言
姦雄・曹操との出会い
・新時代への胎動の中で
・実力者からの誘い
・屈従か、それとも死か
反発から傾倒へ
・崩れだした先入観
・偉大なる曹操
曹操幕下の名参謀として
・〝朧を得て蜀を望む〟
・冴える進言
・曹操の信頼
魏王朝の重鎮たる地位
・統治政略
・巨人・曹操の死
・後継者争い
「自らの国」への想い
・二代目文帝の絶大なる信任
・忠誠心にかげりが
・孔明との出会い
・新王朝への布石
第2章 自分の生き方を切り開いた哲学
「非情」に徹する
・同僚されも討つ
・曹操の非情と仲達の非情
「力」への絶対的な信奉
・乱世うぃ生き抜くには理想よりも実践
・相手の力は根こそぎそぐ
「弁証法的」な姿勢を貫く
・まずは疑ってかかる
・先入観を徹底して排した人間像
「権謀術数」を最大限、駆使する
・寝技師の本領
・だましそとも勝ちは勝ち
「唯我独尊」の気概
・己に対する価値観
・自力本願の思想
第3章 最後に勝利をつかみとった戦略
持して動かず-「待ち」
・徹底した事前の情勢分析
・風向きが変わるまで動かない
・されど、ただ待つのみにあらず
疾風迅雷-「速さ」
・動き出せば迅速をきわめる
・拙速もまた方法
・独断が速さを生み出す
虚々実々-「かけひき」
・もうろくした老人までも演じる
・臨機応変の妙で懐の深さを演出
・『孫子』の説くかけひき術
鬼と化す-「殲滅」
・完膚なきにまで叩く
・最終目的は何か
・政敵も根絶やしにする
細心にして緻密-「計数」
・綿密は計画で戦術を裏付ける
・現代でも通用する数字感覚
第4章 「修羅場」を勝ち残った人間学
〝救国の英雄〟といしてし危急存亡の秋をしのぐ
・魏王朝の命運を委ねられて
・独断専行も辞さなかった上庸の戦い
諸葛孔明とどう対決したか
・「天才」との最初の戦い
・宿敵ふたたび
・好敵手の命脈
・正史にはないその他に対決
反逆者の征伐
・敵・公孫淵の3つの戦略
・降伏を許さぬ峻厳さ
政敵との最後の抗争
・両雄並び立たず
・逆転勝利
第5章 司馬仲達から何を学ぶか
「勝つことの」の真の意味
天下人の条件
① 冷徹で、感情におぼれない
② 極端なワンマンである
③ 権謀術数に長じている
④ 先見性をもっている
⑤ 人生に対して前向きである
現代人に通じる行動原理
不透明な時代の人間像
「非凡なる悪」の魅力