対話とモノローグ

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ケプラーの「あれ」と「これ」

2018-02-15 | 楕円幻想
『新天文学』の出版は1609年だが、1605年にはほぼ完成していたという(『新天文学』訳者岸本良彦解説参照)。1604年の『光学』には、楕円の焦点や2定点をむすぶ線分の和が一定の点の軌跡という楕円の定義がある。この時点で楕円軌道と焦点は結びつく可能性はあるが、実現していない。
『新天文学』(1609年)には楕円軌道はあったが焦点はない。『光学』には焦点や2定点をむすぶ線分の和が一定の点の軌跡という楕円の定義はあったが、楕円軌道はない。『新天文学』では楕円軌道の発見だけがあった。『光学』では楕円の「焦点」の導入だけがあった。この2つは別々の出来事で、2つの関連についてケプラーはまだ気づいていなかったのではないだろうか。
楕円軌道と焦点が結びつくのは『宇宙の調和』(1619年)においてである。

惑星軌道は楕円である。そして運動の源泉である太陽はこの楕円の一方の焦点にある。

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