部屋に籠っているとこれまで気がつかなかった細かな部分などが気になって来る。
部屋ではずっとベッドに横たわり天井を見ているのだが、
薬の影響からか、時々天井の白い壁紙に写る照明の傘の影が隙間風に揺られ様々な形に映って見えるのが
面白く、そして懐かしく悲しい気分に成ったりする。
子供の頃、あるとき親に見捨てられたような生活を強いられていたことがあり、
夜は、妹と私だけで過ごすことが多かった。そのとき心の支えになっていたのが、
夜な夜な電灯の影で踊ってくれるこびとたちだった。目の錯覚、そう思うからそうみえる、
そういった幻想の類なのだが、寂しい夜を過ごすためには彼らの存在は欠かせないものになっていたのを覚えている。
そして私はいつしか大人になり、こびとたちはどこかへと消えていった。
天井の影にゆれる面影がすぐ行く年月を感じさせるのです。
そして、いつしかどこかへ消えたと思っていたこびとたちは最近また部屋を訪ねてくれるようになりました。
友達が多いことはとてもいいことなのですと、医者も申しておりました。
ハルシオンを舌下にふくみ、ゆらゆらとゆれる世の中を、意味なく生きております。