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世にも不思議な物語。
出会いの数だけドラマがある。
一日一話愛の短編物語。
〜ショートストーリー〜

8.サンタクローズ

2011年12月15日 | 冬の物語
 北の方にある小さな町にサンタクロースが働いている所がありました。もうすぐクリスマスとあって、忙しそうです。
 「これで、全部か。プレゼントたりるのか。」メガネをかけた細身のサンタAが言いました。三人グループのリーダー的存在です。
 「たりると思うわ。」トナカイのソリに荷物をひもでまとめているのが、女性のサンタBです。穏やかな口調で話します。
 「ウホッーホッーホッ。」大きな体で、おっちょこちょいなサンタCです。無口で、笑ってばかりいます。
 「これで、準備は万全だな。」サンタAが確認をして、メモに準備修了と書いて、上司に渡しに行きます。サンタBとサンタCも後ろをついて行きます。
 「いつもギリギリだから、もっと早く準備するように。」メモをもらった上司が注意しました。
 「分かりました。」サンタAが敬礼をして、サンタBとサンタCも真似をして、敬礼をしました。クリスマスイブの日にプレゼントを持って出発です。子供達の喜ぶ顔が目に浮かびます。
 クリスマスイブ当日、サンタAが今年はプレゼントが多いので、トナカイ6匹つれてやって来ました。積んだ荷物をトナカイに結びます。結んでいるとサンタBが来ました。
 「おい。サンタCはどうした?」
 「寝坊じゃないかしら。」
 「またか。このままじゃ間に合わないだろ。ちょっと見て来る。」サンタCの家に行って起こしにいきました。
 家のドアを何回か叩きます。
 ノシノシと起きてくる音がして、「もう時間なの。」と言って目をこすって出てきました。赤い服もだらしなく着ています。
 「時間は守らないとクビにするぞ。」サンタAが強い口調で言いました。
 「すんません。」首を立てに振ったら、赤い帽子が地面に落ちて、ズボンもずり下がりました。
 「まったく。先が思いやられるよ。」その姿を見たサンタAは、苦笑いをしました。
 「遅いわよ。」サンタBがトナカイをなでながら言いました。
 「なかなか準備できなくてね。」サンタAが答えました。サンタCは後ろで、笑っています。
 これで三人そろったので出発です。
 サンタAが、二人のかぶっている赤い帽子や白い袋、子供たちに配るプレゼントの個数等をチェックしています。
 「これで大丈夫だな。」サンタBとサンタCもソリに乗り込みました。
 乗り込む時サンタCの足がプレゼントのひもに引っかかりこけましたが、何とか乗れました。
 「よし出発。」トナカイが助走をつけ、夜空を飛びました。雲の切れ間から星と月がひょっこりと出てきます。
 「ウホッーホッーイ。」サンタCが叫びました。
 「今日はいい夜だわ。」サンタBが言います。
 「時間通りに配り終わるように。」サンタAが言いました。時間は午前2時まで配り終わらなければならないという決まりがありました。
 一軒目の子供がいる家の真上にトナカイを止めて、白い袋にプレゼントを入れ、煙突にサンタAが慣れた手つきで飛び移ります。
 それを確認したサンタBが、斜め隣の家にサンタBが降りました。
 次はサンタCの番です。ジャンプして、トナカイから勢いよく落ちて、瓦が何枚か割れました。
 「いてててっ。ウホッーホッホッ。」腰を打って押さえてます。トナカイが心配そうな顔をしています。
 「大丈夫。大丈夫。ホッホッホッ。」と笑ってトナカイに手を振りました。
 サンタAとサンタBは、眠っている子供達に早いペースで配っています。サンタCは、ゆっくりですが、丁寧に配っています。
 一時、時間が経って、サンタAとサンタBは、全部配り終えました。トナカイに乗って、サンタCの帰りを待ってます。
 サンタCも最後の一個です。家族や子供が起きないように部屋の中を静かに歩いています。
 キッチンがあり、ソファがある部屋があり、二階に子供部屋がありました。そっとあけると、子供二人ベッドで眠っています。
 サンタCが、プレゼントを横に置こうとしたら、ガタッと落としてしまいました。その音を聞いて、子供が目を覚ましました。
 「ウホッホッホッ。」サンタCが声をだすと、子供が、「サンタだ。」と指を指して驚きました。
 「シー。」と指を立て声を出さないように言いますが、子供は興奮して起き上がりました。もう一人の子供も起き出し、サンタの髭や服を引っ張り合っています。
 「分かったから。」なだめようとしましたが、無理のようです。
 サンタCがあまりにも遅いので、サンタAとサンタBが見に行く事にしました。
 バタバタと子供達と遊んでいるサンタCがいました。
 「何事だ。」サンタAが言います。
 「起きちゃって。ウホッホッホッ。」とぼけたサンタCが言いました。
 「これは大変だわ。」サンタBが言います。
 「どうするか。」サンタAが悩みました。子供に見られないようにする事が決まりだからです。通信機を使って上司に相談する事にしました。
 上司は仕方がないので、記憶を消す薬を使うと言って、サンタの町に連れて来るようにいいました。
 サンタAとサンタBがソリを窓につけ、サンタCが子供二人を乗せます。子供は、楽しそうです。サンタCが子供二人を足に乗せ、サンタAとサンタBがトナカイを急ぐようにせかしています。
 家族が目を覚ます前に子供を帰さないととんでもない事になってしまうからです。
 来た道と同じ所を走り、星の間を抜け、サンタの町にやってきました。
 他のサンタのグループは、プレゼントを配り終えて、お茶を飲んだり、トナカイを洗ったりして、一息ついています。
 早速上司の所に連れて行き、薬をもらいました。その時も二人の子供は、近くのサンタの頭を叩いたり、赤い服を引っ張ったりしています。
 「困った子じゃの。」サンタCが呟きました。
 サンタAとサンタBは、上司から怒られています。近くの井戸から水を汲んできて、サンタAが薬を子供に飲ませました。
 薬を飲んだ子供たちは、スヤスヤと静かに眠りました。
 「このまま、送り届けるぞ。」子供をソリに乗せ、さっきの家まで、送りました。夜が明けようとしています。太陽がそこまで登っているようでした。
 「ゆうすけ、ゆうた。ご飯ですよ。」と母親の声が下の階から聞こえてきます。サンタCがベッドに寝かし、急いで窓から出て行きます。出るとき窓の門で頭を打ちました。
 サンタAとサンタBが見守っています。母親が部屋に入るギリギリの所でサンタCがトナカイに乗り込みました。
 「よし。任務完了。それでは、帰るとするか。」サンタAが胸を撫で下ろして言いました。

 「昨日、すごかったな。」ゆうすけがベッドから飛び跳ねて言います。
 「サンタがいっぱいいた。」ゆうたが答えます。二人は薬を飲むようにして実は飲んでなかったのです。
 それを聞いた母親は、「いい夢を見たんだね。」と言いました。ベッドの上には、プレゼントの箱がありました。

 「それにしても大変な夜だった。」サンタAがメガネを拭きながら言います。太陽が昇り、周りはすでに明るくなっていました。
 「うまくいってよかったじゃない。」サンタBが答えました。
 「すんません。皆さん。ウホッホッホッ。」サンタCが頭を下げながら言いました。帽子がトナカイから落ちそうになり、素早くサンタAがキャッチしました。
 
 今度は皆さんの所へ
 「メリークリスマス。」サンタAとサンタBが言って、「ウホッーホッーイ。」とサンタCが続きました。
 
 
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