黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『ころころろ』畠中恵(新潮社)

2009-08-29 | 読了本(小説、エッセイ等)
長崎屋の若だんな・一太郎が12歳。
ある日、日限の親分が、お沙衣という15歳の娘を連れて、長崎屋にやってきた。彼女の母・おたつが目を患い、看て貰った目医者・古田昌玄から、目を治すためには品陀和気という神を祀る生目社を新たに建て、鎮壇具として、七宝…金、銀、真珠、水晶、琥珀、瑠璃、瑪瑙…を奉納しなければならないという。しかし彼女たちの稼ぎでは、到底手に入れることは叶わない品。しかもそれらを手に入れる為、おたつは器量良しのお沙衣の縁談相手を選ぶ条件にしようとしているらしい。
何とかならないかと相談を受けて……“はじめての”、
朝起きると、突然一太郎の目が見えなくなっていた。原因がわからず、心配する長崎屋の人々や妖たち。
どうやらそれは彼が子供の頃の生目神の一件と関わりがある様子で、そして先日の出来事にも関わっているらしかった。
久居藩の江戸上屋敷に住む岩崎という人物から、藩から江戸まで船で干物を運んでほしいと頼まれた長崎屋。
贈答用として所望されたのだが、国から何度か運ぼうと試みたものの、その干物は腐ったりなくなったりしてしまったという。そこで大きな船を持つ長崎屋の力を借りたいのだという。
それを引き受けた長崎屋だったのだが、到着した船からは、紙で封をした竹籠から干物が消えていて……“ほねぬすびと”、
若だんなの目が見えなくなったのには、先の宝を拾ったらしい河童が絡んでいるとにらんだ仁吉は、その河童を探していた。
その最中、母を捜す人形に宿った、少女・小ざさに出会い、彼女が河童の居場所を知っているというので同行することに。そんな仁吉の元に、妖を見ることができるという少年・万太も転がり込んできた。
彼は、小ざさと河童がいた見世物小屋にいたが逃げ出したのだという……“ころころろ”、
女房・おたきと所帯を持ち、小さな小間物屋・多喜屋を営む佐助。おたきは働き者だが、異様なまでに鬼を怖がる。
佐助は、このところ、毎朝<けじあり>と書かれた紙が帳場机に置いてあり、意味がわからず悩んでいた。
そんな中不可解は早さで店は栄え……“けじあり”、
なかなか出会えない生目神を罠にかけ、捕獲した仁吉たち。玉を揃え、広徳寺で一太郎の目を返して欲しいと迫るが、なかなか返してくれない。
やがて生目神は、昔話の続きを答えられたら目を返すという条件を出す。桃太郎、浦島太郎…と問うが、鳴家たちも口を挟んでどこか脱線気味。
そして、生目神は、神とある娘の話を語りだす……“物語のつづき”を収録。

シリーズ第8弾。
若だんなの目が盗まれるのが、今回のメインストーリーですが、それに関わり、仁吉が妖たちに懐かれたり、佐助が結婚(笑)してたりします。
“はじめての”には、若だんなの初恋が出てきますが、彼女を好きになった理由がアレだとすると、将来がちょっと心配です(笑)。

<09/8/29>

『純情ロマンチカ 12』中村春菊(角川書店)

2009-08-28 | 読了本(漫画)
超有名作家の宇佐見秋彦との同棲生活も4年目になった大学生・高橋美咲。
就職活動も本格化し、美咲が大好きな漫画『ザ☆漢』が縁で同じ大学で知り合い、友達になった藤堂進之介に感化されながらも、漫画好きな美咲は丸川書店でバイトしてみたりと、美咲なりに<将来> について考え始めた。
しかし自分を敵視する宇佐見の従兄弟・水樹の存在が、気にかかり……純情ロマンチカ act.19,20、
もうすぐ野分の誕生日。しかしそれは実際の誕生日ではなく、彼が草間園で保護された日だった。
今では全く気にしていないが、小さな頃はそんな自分の境遇に悩んだことのある彼は、ある年の誕生日に自転車で家出したエピソードを思い出す。
気がついたら知らない町にいた彼が、出逢ったのはある少年……純情ミニマム act.7、
今日は野分の誕生日。レストランも予約し、プレゼントも用意したが、肝心の野分が帰らない。そこへメールが来て、急患が立て続けに入って、いつ帰れるかわからないという。
結局予約はキャンセルして、ひとり買物に出かけた弘樹。
その後、疲れ果てた野分を運んできた津森は、彼を精神的に縛りすぎではないかというが……純情エゴイスト act.14 を収録。

ミニマムが良かったです~♪
ところで、エゴの前のページ(ミニマムとの間のページ)のイラストの上のタイトルが、“純愛”になってるんですが…誤植?

<09/8/28>

『女中譚』中島京子(朝日新聞出版)

2009-08-27 | 読了本(小説、エッセイ等)
新宿のダイヤという店で女給をしていた澄は、金州から女と駆け落ちして東京に逃げてきたという男・信作と知り合った。
信作はその女・千代を騙し、下宿屋の女中に売り、金を手に入れた。しかし彼女は騙されたことに気づかず、三日とあけず手紙を書き送ってくるという。そんな彼女を利用し、さらに金を搾り取ろうとする信作に頼まれ、金を催促する手紙を代筆することになった澄だったが……『ヒモの手紙』、
かつて独逸から帰国した医者・伊牟田の屋敷に奉公していたすみ。
そこにはイルマ夫人との間に混血の我儘娘・萬里子がいて彼女の世話をすることになったが、萬里子は昔いたという<たま>という女中を懐かしむ。
19歳でピアニストをしている彼女の、日比谷公会堂でのピアノリサイタルの日、貧しげな女がうろつくのをみたすみは、彼女が件のたまだと知るが……『すみの話』、
金州から出てきた男と別れてふらふらしていた頃、麻布の珍奇な洋館に住んでいる変わり者の物書き先生のところへ女中に出たすみ。
仕事は楽だが、誰と接する機会もなく暇すぎることから、夜な夜な舞踏練習所に通い始める。しかしやがてそこを飛び出し、あちこち渡り歩いた彼女は……『文士のはなし』の3編収録の連作短編集。

現代の秋葉原のメイド喫茶に入り浸る老女・すみが、誰とはなしに語る女中女給時代(大正から昭和のはじめ)の話。
それぞれ林芙美子、吉屋信子、永井荷風による女中を描いた作品をトリビュートされてるとか。
面白かったので、元ネタの方も読んでみたいですv

<09/8/27>

『白い紙/サラム』シリン・ネザマフィ(文藝春秋)

2009-08-26 | 読了本(小説、エッセイ等)
戦争医師として半年前に、首都・テヘランからイラクとの国境近くの町へ派遣された父。テヘランに住んでいた少女は、母とともに3ヵ月前からその隣の田舎町へ越してきた。
その小さな学校で、一緒に勉強している成績優秀な少年・ハサン。教師はその資質を買っており、彼にテヘランの大学に進学するようにと薦める。
イスラムの戒律の厳しいイランでは、幼くとも男女が容易く口をきくことはできないが、医師である父の元に、彼が母親を診察の為に連れてきたことから、話すようになる。大学に進学し、医者になりたいと語る彼を励ます少女。
そんな中、彼らが住む町が爆撃を受け……『白い紙』、
時給の良さに眼がくらみ、弁護士・田中の元で通訳のバイトを引き受けることになったイラン人留学生の“私”。
アフガニスタンから逃れてきた少女・レイラが日本の出入国管理事務所で収容されており、彼女の難民認定を勝ち取るべく奔走する田中。
やがて、彼女の父がアフガニスタンで知られた司令官であることがわかり、認定されるかに思われたのだが、そんな中で9・11テロが起き……『サラム』の2編収録。

芥川賞候補作。日本在住のイラン人の方が、日本語で書かれたということで話題になった作品です。
どちらの話も、どこかやりきれなさの残る感じですが、 わたしたちがあまり知ることのない、イラクの日常的な様子や人々の物の考え方などが描かれ、興味深かったです。
それらをあえて日本語で語られることに意味がある気がします。
今後の作品にも期待♪

<09/8/26>

『鬱金の暁闇 4』前田珠子(集英社)

2009-08-25 | 読了本(小説、エッセイ等)
ラエスリールの昏倒より1年後。結界の最奥で深い眠りについたままの彼女。
一方、新たな紅蓮姫の使い手となったアーゼンターラだったが、未だ使いこなすことができずにいた。
そんな中、誕生した6人目の妖主・雛の君は暗躍し、ラスの父である金の妖主は……

<破妖の剣>シリーズ、6年ぶりの本編再開……ですが、だいぶ内容忘れてます;
“数々の謎が明かされ~”云々のあおりがありますが、どう考えても謎は深まってるし…;
……しかも主人公、眠ったままだし(爆笑)。

<09/8/25>

マカロン・その2@パルティール

2009-08-24 | スイーツ
 桃、レモン、黒埼茶豆の3種。
 桃はコンフィチュール、レモンはショコラガナッシュ、黒埼茶豆は茶豆クリーム(というかペースト?)がそれぞれ挟まれています。やっぱり全体的に甘め。
 黒埼茶豆はちゃんと枝豆っぽい形なのがかわいいのですが、ちょっと水分が出過ぎなのか、マカロン生地が柔らかくなりすぎて若干微妙;
  
 パティスリー・パルティール:新潟(新潟)

『焔炎奇談』椹野道流(講談社)

2009-08-24 | 読了本(小説、エッセイ等)
天草から帰り、執筆活動に励む天本森のもとに、父・トマスについての新たな情報が届く。
若き日のトマスと共に研究活動をしていたが、ある時から袂を分ったらしいイギリス人、クレイグ・バーナビー……その彼が、現在京都に住んでいるというのだ。
電話を持っていないという彼に話を聞きたいと手紙を出した天本だったが、帰ってきたのは不可解な返事。
とりあえず、敏生とともにその地へと赴いた天本だったが、バーナビーは既におらず、天本宛に高島野十郎のものらしき油絵が残されていた。
その帰り、神戸まで足をのばし、久しぶりに龍村と再会した2人。そこで彼の前に女性の幽霊が出没する、という話を聞いて協力することに……

奇談シリーズ。タイトルの1文字目は、違う漢字なのですが化けるので代替…。
残されていたのが野十郎の蝋燭の絵、というのが何とも意味深。
後半は龍村先生が登場して、ちょっと鬼籍通覧っぽい流れでした。

<09/8/24>