『匂いの記憶』日向蓬（角川書店）

父の転勤で、東北の大平良町に引っ越してきた少女・飯田理恵子は、そこで出会ったひとりの少年・佐々木保に淡い想いを抱く……『涙の匂い』、
恋人・真一との結婚を前に複雑な心境の小夜子。よくよく考え、結婚の取りやめを申し出るが……『トリガー』、
ふいに嗅いだコールタールの匂いが、30年前の“町”の風景を、そして母の姿を思い出させた……『コールタール』、
整形手術を受けている多美恵は、自分によく似ていた醜い母のことを思い出していた……『三面鏡』、
器用に何でも直してくれたじいちゃん。しかしある時を境に様子がおかしくなり……『糸とんぼ』、
夫を亡くし、生まれてくりはずだった子どもさえなくし、ただ抜け殻のように暮らす、日々機械的に仕事をこなすオペレーターであるわたし。ある晩から隣に2人で暮らす母子が気にかかり……『あたらしい朝』の6編収録の短編集。

匂いにまつわる記憶を描いた短編集。アンソロジー『SWEET BLUE AGE』で『涙の匂い』だけは既読でした。
この作品集の中では、これがやはり良いかな～。

<07/6/27>

『浅草色つき不良少年団』祐光正（文藝春秋）

戦前の浅草。色の名前を付けた不良少年団が3つあった……美少女を頭目に置いたという『浅草紅色団』、かなり際どくあくどいこともやっていた『浅草黒色団』、規模は小さいが団結力のあった『浅草黄色団』。
その黄色団を率いていたのが、“似顔絵ジョージ”こと神名火譲二少年である。
売れない漫画家であった“私”は、仕事で戦前の浅草の事を調べることになり、神名火氏を訪ねた。そんな彼から聞いた、かつての話を綴る連作短編集。
紅色団の幹部・お菊に相談があると呼び出されたジョージと弟分の辰吉。ところが、何故か黒色団の連中に襲われ、その最中に辰吉は刺されてしまう。何とか追手をまいて、ある屋敷に逃げ込んだものの、辰吉はそこで力尽き亡くなる。ところが翌朝、ジョージがその場で目を覚ますと、辰吉の死体の他に、見知らぬ女の死体が増えていて……『幻景淺草色付不良少年團(あさくさカラー・ギャング)』、
黄色団のジャンケン雅が顔も知らぬ女に恋をした。彼女の顔を目撃した工事人夫たちの話から出来上がった似顔絵はカジノの踊り子・マチコに似ていた。彼女には双子の姉がいたが、2年前にある事件で亡くなっていて……『墨東鬼啖事件』（※『墨』にはさんずいが付きます）、
前の事件で知り合った平井太郎の新居に呼ばれた紅色団の頭目・紅色団の頭目・冬瓜の百合子とジョージ。そこに来ていた客・大水春栄に誘われた家で、瓶の中に入っている美少女を目撃したジョージ。しかし警察を呼びにいっている間にそれらは形もなく消えていた……『瓶詰少女』、
紅色団にあこがれていた少女・里村せんと黄色団の少年・長吉が決闘することになり、立ち会いを頼まれていたジョージだったがうっかりその用件を忘れてしまう。ところが、その決闘によりおせんが死に、長吉ともう一人の立会人である、紅色団の退紅の昭子が、その死んだはずのおせんごと姿を消したという……『イーストサイド物語』、
まだジョージが浅草を闊歩する前の話。大震災の最中、隣の少年・重夫と共に地下室の水槽の中に閉じこめられてしまったジョージ。そこに警察に追われていた鎌鼬男が現れ……『二つの墓』の5編収録。

昭和初期版・IWGPな感じ。
この辺の時代は大好きだし、有名人の姿などもちらほらと垣間見えて楽しいです♪
『瓶詰～』に出てきた少女・樒のその後も気になりますし、是非続編が読みたいですvv

<07/6/26>

マカロン＠ヴィタメール

　フランボワーズ、マンゴー、ピスタチオ＆いちご、ショコラ、ヘーゼルナッツ、カフェの6種類。
　表面はさっくり、中はしっとり。クリームは多めかも。
　フランボワーズとマンゴーにはそれぞれ風味のクリーム、ショコラとヘーゼルナッツにはガナッシュが入っています。ピスタチオ＆いちごは、生地がピスタチオでクリームがいちご。

　ヴィタメール：ベルギー　※国内数店舗あり。池袋西武で購入。

マカロン＠アンリ・ルルー

　カフェ、トマトバジリック、プラリネ、ルイゾン・パッション、C.B.S.、サレの6種類。
　サクッとして、中はしっとり。大きさはちょっと小さめ。
　カフェはコーヒー風味の生地とクリーム。
　トマトバジリックは、トマトとバジルのジャムとビターなチョコガナッシュ、プラリネは、プラリネとミルクチョコレートのガナッシュ、ルイゾン・パッションは、パッションのクリーム、サレは、塩の入ったガナッシュが（これらのマカロン生地はチョコ風味？）挟まれています。
　C.B.S.（有塩バターキャラメル）は、キャラメルの生地にキャラメルクリーム。
　トマト～とサレがちょっと驚きな感じですが、意外と美味しいかも（笑）。

　アンリ・ルルー：フランス　（日本では）新宿伊勢丹のみ。

マカロン＠クイーン・アリス

　抹茶、ショコラ、レモン、カフェ、バニラ、フランボワーズの6種類（箱入りセット売り）。
　それぞれの風味のクリームが挟まれています。
　かなり大きめで食べ応えがある感じ。表面はちょっと固めでざっくりしていて、中はしっとり。
　賞味期限が他のところのマカロンに比べると大分長いので（ひと月くらい？）、買い置きするのに向いてるかも（笑）。　

　クイーン・アリス：東京　※池袋西武で購入。

『フロイトの弟子と旅する長椅子』ダイ・シージエ（早川書房）

四川省成都。パリに留学し、夢を解釈するフロイト派精神分析学を学んで帰国した精神分析医・莫（モー）。
そんな彼が大学時代に思いを寄せていた女性・胡火山（フーツアン※“ツアン”は、火偏に山という一字なのですが、漢字がないので…）が、中国警察による拷問を隠し撮りしヨーロッパのプレスに売ったことから、政治犯として女子刑務所に投獄されていた。現在裁判所の判決を待つ身である彼女を釈放してもらう為、法曹界の陰の実力者たる判事・狄建国の元を訪れ、賄賂を申し出るも、彼の要求は金銭ではなく、生娘を抱くこと。
その条件に叶う女性を捜すべく、自転車に乗り、夢分析の旅に出た莫だったが……

莫としては真剣で切実な感じなのでしょうが、端で見てると、かなりコミカル(笑)。
この調子だと、どこまでも目的は達成できない気がしないでもなく……(笑)。

<07/6/25>

宝野アリカ×恋月姫トークショウ

　ステュディオ・パラボリカ主催による、アリカさんと恋月姫さんのトークショウに行ってきました♪
　場所は、東京・浅草橋（というか柳橋？）にある、パラボリカ・ビスの1F Galleria Yaso nacht(ナハト）。

　最初に『聖少女領域』のPVを観賞後、アリカさんが登場し、物語（『薔薇色翠星歌劇団』収録の『悲恋』～出られない一室から外を見つめる“少女”と、彼女に会いにやってくる少年の話）の朗読。その後、一度退場したアリカさんと、恋月姫さん、司会である『夜想』の今野さんが登場し、トークショウ。

　内容としては、人形の話を主に、他にはそれぞれの思い描く少年・少女像など。
　印象に残った話としては……（注：言い回しはだいぶ自己流に変わってます）
・何故“少年”人形を作らないのかと問われた際の恋月姫さんの答え……自分の中には“男性”がいるから（男性的視点でみているので、『少年』には興味がないらしいです）
・アリカさんの中の少年像は、小学生の頃、同じ学校にいた、緑の目をした少年（※日本人）。高校で再会し、お付き合いされたそうですが、その後彼が非行に走ってしまい、頭が角刈りとかになっちゃったりして別れたのだとか（角刈りが原因ではないですが…/笑）。ちなみに少女像は、お母様に読んでもらったアリス（本名が『有（あり）』なので親近感を持たれていた模様）。
・恋月姫さんの少年・少女像は、幼い頃に読んだ世界文学全集が基礎で小公子・小公女あたりのイメージ。ちなみに（アリカさんがお好きな）アリスは、わけがわからないので理解できず、お嫌いとのこと。テニエルの挿絵はお好きだそうですが…。
・「40歳を過ぎてから妖精を見るようになった」という恋月姫さん（それ以前は何だかよくわからないもの）。妖精といっても、一般的なイメージのそれ（小さくて羽根が生えてる的な）ではなく、超自然的なものの具現のようなものらしい。
・人形にまつわる不思議について……どんなに可愛くてすぐに売れてしまうと思った子でも、名前をつけてしまうと売れ残る。自らの好みとは関わりなく、惹き合う子が存在する（最初にこんな子が欲しいと思い描いていた子とは、全く違う子を選んだり…）等々。

　司会の今野さんがかなり話しまくられた為、時間が経つごとに、アリカさんの口数が少なくなっていった印象が……（単に相対的な印象かもしれませんが/笑）。恋月姫さんは思いの外、面白い方でした。

　トークショウ終了後、会場に飾られていた恋月姫さんの人形（全部で10体ほどが展示）を鑑賞して、帰ってきました。

マカロン＠セバスチャン・ブイエ

　バーヴァパパローズ、ミルティーユ、ポップコーン、キャラメルフルールドセル、グリオットの5種類（全部でいくつあったか忘れましたが、もっと種類があります。チョココーティングの“マカリヨン”とか）。
　サクっと、中はしっとり。挟まれてるクリーム類が多いので、ちょっと重さがあるような…。
　バーヴァパパは綿あめ風味のクリームですが、あまりわからず；表面に振られたピンクの砂糖が可愛いです♪
　ミルティーユはブルーベリーのジャム（？）。上にはケシの実が付いてます。
　ポップコーンは、中のクリームの中にもポップコーン（笑）。
　キャラメル～にはキャラメルクリーム、グリオットにはさくらんぼのジャムがそれぞれ挟まれています。

　セバスチャン・ブイエ：フランス　（日本では）新宿伊勢丹のみ？

マカロン＠アンリ・シャルパンティエ

　キャラメル、ピスターシュ、シトロン、フランボワーズ、ショコラの5種類（店頭にはあと3種類ありました）。
　表面はパリっと、中はしっとり。
　挟まれているものは、キャラメルはキャラメルクリーム（ちょっと塩？）、ピスターシュはクリーム、シトロンとフランボワーズはジャムっぽい感じ（シトロンはクリームなのかも？）で、ショコラはチョコレートのガナッシュです。

　アンリ・シャルパンティエ：フランス　日本の店舗は全国あちこちに　※新宿伊勢丹で購入。

『モップの魔女は呪文を知ってる』近藤史恵（実業之日本社）

スポーツクラブで働く殿内亨の楽しみは、皆が帰った後のプールで一人全裸で泳ぐこと。ところがそんな姿を清掃員・キリコを見られてしまったことをきっかけに、2人は知り合いに。そんな中、クラブでは水で火傷をしたと訴える女性が現れる。客としてやってきたキリコは、真相を探るが……『水の中の悪意』、
ペットショップで見かけ、一目惚れしたスコティッシュフォールドを手に入れる為、いくつもバイトを掛け持ちし、懸命にお金を稼いだ女子大生・鶴田奈津。苦労の末、ようやく念願の猫を手に入れることに成功したのだが……『愛しの王女様』、
小児科で看護師として働く只野さやか。しかし子どもは苦手。そんなある日、子どもたちが病院に魔女がいるという噂を聞きつけ、彼女に真偽を尋ねたことから思わぬ事件が起きる。その噂の元である、少女・井上雪美に話を聞きにいったさやかは……『第二病棟の魔女』、
可愛がっていたはずの妹・果穂を衝動的に手に掛けてしまった通販アクセサリー会社の社長・坊野美穂。途方に暮れている中、キリコが清掃に現れた。何とか死体を隠そうとする美穂だったが、そこで思わぬ事態が……『コーヒーを一杯』の5編収録の短編集。

清掃作業員キリコちゃんのシリーズ・第3弾。
猫好き的には『愛しの～』が切ないお話；
『第二病棟～』もかなり…。

<07/6/24>