黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『悦びの流刑地』岩井志麻子(集英社)

2006-04-23 | 読了本(小説、エッセイ等)
昭和初期、下町の貧民窟に暮らす美しい姉と盲目の弟・由紀夫。
一歩も外に出ることのできない由紀夫の愉しみは、姉が勤め先の料亭から持ち帰る女作家の書き損じ原稿に描かれる愛欲の世界。
料理屋で仲居をしていた悦子が、川嶋に請われ共に大陸に渡る。しかしやがて情人・山本と共に彼を殺害し…そんな物語に囚われていく彼は、次第に虚実の境を無くしていく……。

再読です。
やはり岩井さんの作品は、この辺の設定のが好きです~♪

<06/4/22,23>

『アクアリウムの夜』稲生平太郎(角川書店)

2006-04-22 | 読了本(小説、エッセイ等)
春の土曜日の昼下がり、親友の高橋と行った奇妙な見世物“カメラ・オブスキュラ”。そこに映し出された水族館に、絶対にあるはずのない、地下への階段を見出だした高校生・広田義一。
恋人・良子に誘われて試した、こっくりさんが告げた言葉……“チカニハイルナタレカヒトリハシヌ”。
やがて霊界ラジオに魅入られた高橋は狂気の海に沈み、町の存在する不自然な水族館の建設には、謎の新興宗教・白神教が絡んでいることを知る……。

先頃数年ぶりに新刊を出された稲生さん。以前気になっていたものの、読みそびれていたこの作品をふと思い出し、古本屋さんで買ってきました(笑)。
結末はいろいろ曖昧なままなので、ミステリというよりは幻想小説な感じ。
そういえば、角川の“ミステリ倶楽部”レーベルっていつの間にか消滅しちゃってますね;

<06/4/22>

『百鬼夜行抄 14』今市子(朝日ソノラマ)

2006-04-21 | 読了本(漫画)
三郎の入った箱庭を持って、姿を消した晶。彼を生き返らせる為に、死人を蘇らせることができるという地を訪れるが……『番人の口笛』、
尾白と尾黒の過去の話。商家に生まれた男女の双子。だが縁起が悪いと処分されそうになったものの、産婆に救われるが……『天上の大将』、
飯嶋家の床下に棲む存在。自分が引退する代わりに、息子に後をまかせたいいう。律は、彼に頼まれとある家に向かうが……『床下の賢人』、
悪霊憑きと評判の幻想小説家・飯嶋伶。彼のお見合いの会場で出会った八重子は、女性が自殺する現場に遭遇するが……『介添人』の4編収録。

『介添人』では、律の祖父・蝸牛さんこと伶さんの若き日のエピソードが、読めてちょっと嬉しかったり(笑)。

<06/4/21>

『美の死 ぼくの感傷的読書』久世光彦(筑摩書房)

2006-04-21 | 読了本(小説、エッセイ等)
「一冊の本を読むことは、一人の女と寝ることに似ている……外見だの評判だのは、むしろ当てにならない。女は寝てみなければわからない」と語る久世氏。
その心の琴線に触れる数々の作品について、思いを語る書評集。

『蕭々館日録』好きなわたしとしては、“「眼中の人」の謎”を読みつつ、にやりとしていたり(笑)。

<06/4/20,21>

『人生を歩け!』いしいしんじ・町田康(毎日新聞社)

2006-04-19 | 読了本(小説、エッセイ等)
大阪出身の作家・町田康さんといしいしんじさん。町田さんの暮らした成増、武蔵関・上石神井、いしいさんの暮らした(&暮らしている)浅草、三崎……上京後、彼らが暮らしたそれぞれの街を歩きながら、思い出を振り返り、そして人生を語る対談集。

『人生を救え!』に続くお二人の対談集(…といっても、そちらは未読ですが;)。
……途中で、街の人(八百屋さんとか、魚屋さんとか)なども会話に入っていたりしてちょっと楽しいです(笑)。

<06/4/19>

『ツバサ 14』CLAMP(講談社)

2006-04-18 | 読了本(漫画)
『記憶の本』により黒鋼の過去を知ってしまった小狼。
その本は複製本だったが、原本は中央図書館にあり、その原本の中にさくらの羽根があるらしい。しかし、閲覧すら許されておらず、正攻法では入手できないと知った小狼たちは、それを盗み出す為、中央図書館に潜入する。だがそこには本を守る為の鉄壁の守衛機能が張り巡らされていて……。

『記憶の本』編終了。新章に突入しましたが、最後のあの舞台からすると、あの人たち登場でしょうか?(笑)

<06/4/18>

『ウースター家の掟』P・G・ウッドハウス(国書刊行会)

2006-04-18 | 読了本(小説、エッセイ等)
ダリア叔母さんに、トム叔父さん御執心のアンティークの銀製ウシ型クリーマーを骨董屋で貶してくるように、頼まれたバーティー・ウースター。
折りしもそこで、以前とある事情により婚約する羽目に陥ったマデラインの父で、トトレイ・イン・ザ・ウォルドの治安判事、サー・ワトキン・バセット(パパバセット)とその友人、ロデリック・スポードに遭遇。バーティーを犯罪者だと思い込んでいる彼の前で、さらに失態を見せてしまうバーティー。
そんな中、バーティーの学友、ガッシー・フィンク=ノトルから、その婚約者、マデライン・バセットとの婚約破談の危機に助けを求める電報が届く。
一方パパバセットにウシ型クリーマーをサー・ワトキンに買われてしまったトム叔父さんは、交換条件としてトラヴァース家の至高の料理人・アナトールを譲り渡すと言い出したから、大騒ぎ。ダリア叔母さんは、バーティーに件の品を盗み出すように言い渡す。
さらにバーティーの友人でありマデラインの従姉妹、スティッフィー・ビングと、バーティーの学友で彼女の婚約者である牧師ハロルドの婚約危機、ガッシーがパパバセットの悪口を書き連ねた茶皮の手帖を紛失、スティッフィーが盗ませたオーツ巡査のヘルメット等々……一難去ってまた一難、さまざまな問題の為に奔走するはめになるバーティー。そしてジーヴスの出した名案とは?

何かもう、気の毒になるくらい“ウースター家の掟”(友人を落胆させてはいけない、女性から求婚されたら断ってはいけない等々)に縛られているバーティー。しっかし…寄ってたかって、あれ盗んでこい、これ盗んでこい…って皆さん、バーティーの扱いが酷すぎ(笑)。

<06/4/18>


『キノの旅 Ⅳ The beautiful world』時雨沢恵一(メディアワークス)

2006-04-17 | 読了本(小説、エッセイ等)
長い棒を持った人型の像。それは、22人の悪魔を倒した“天使”の像だという……『像のある国』、
モトラドに乗る旅人に、子供は自分も連れて行って欲しいと頼むが……『×××××』、
その国では、夫婦喧嘩を罰することも、また夫婦が離婚することもできない。虐待される妻は、キノに夫を殺して欲しいと頼むが……『二人の国』、
すべての住人が猫耳をつけている国。キノも勧められるが……『伝統』、
機械の発達により、仕事を一切しなくて良いという国。しかし、キノが見たのは、他の国の人たちと同じように、朝出勤する住人たちの姿だった……『仕事をしなくていい国』、
考え方の違いから2つに分裂している国。一方は海側で、鯨を獲り、もう一方は山側で象を獲る。互いに相手を残酷だと罵るが……『分かれている国』、
たまたま出会った男性に旅をやめるよう諭されるキノ。しかし……『ぶどう』、
投票によって、不要な人間を選ぶという国。実際は処分されることなどない、と語る宿屋の主人だが……『認めている国』、
22人の盗賊に搾取されている国にやってきたシズ。その盗賊を皆殺しにした彼に対して……『たかられた話』、
ひとつの橋だけが存在する国。そこに刻まれていた国の歴史とは……『橋の国』、
塔を建てる続ける国。自由がない、そこから出たいという男にキノは……『塔の国』。

一話の『像のある国』は、最初、??でしたが、九話の『たかられた話』の後日譚なんですね~(笑)。

<06/4/17>

† 新刊情報(06/04後半) †

2006-04-17 | 新刊情報
4/中
久世光彦『百間先生、月を踏む』朝日新聞社

4/19
北森鴻『ぶぶ漬け伝説の謎 裏京都ミステリー』光文社

4/20
西澤保彦『リドル・ロマンス 迷宮浪漫』集英社(文庫)

竹本健治『狂い咲く薔薇を君に 牧場智久の雑役』光文社

4/22
岸田るり子『出口のない部屋』東京創元社

4/25
川上弘美『夜の公園』中央公論新社

小川洋子『ミーナの行進』中央公論新社

4/26
小路幸也『東京バンドワゴン』集英社

小川洋子『おとぎ話の忘れ物』集英社

4/28
須賀しのぶ『ブラック・ベルベット 菫咲くころ君を想う』集英社(文庫:コバルト)

『チーム・バチスタの栄光』海堂尊(宝島社)

2006-04-16 | 読了本(小説、エッセイ等)
東城大学医学部付属病院は、米国の心臓専門病院から心臓移植の権威、桐生恭一を臓器統御外科助教授として招聘した。彼が構築した外科チームは、心臓移植の代替手術であるバチスタ手術の専門の、通称”チーム・バチスタ”として、成功率100%を誇り、その勇名を轟かせている。ところが、3例立て続けに術中死が発生。原因不明の術中死に危機感を抱いた病院長・高階は、神経内科教室の万年講師で、不定愁訴外来(通称・愚痴外来)責任者・田口公平に内部調査を依頼。そしてその調査は、桐生自身の希望によるものでもあった。
早速、チームメンバーに聞き取り調査を開始する田口。そして手術に立ち会った田口は、最初のアフリカの少年のケースは何事もなく終わったものの、次の手術で問題の術中死を目の当たりにすることに。自分の手に負えないと判断した彼は、正式にリスクマネジメント委員会の招集を要請。
そんな彼の前に突如現れたのは、厚生労働省大臣官房秘書課付技官・白鳥圭輔。“火喰い鳥”といわれる彼がこの調査に乗り出すことになるが……。

おもしろかったです~♪
キャラの立ちっぷりが秀逸ですね(笑)。
是非続編を読みたいところです~vv

<06/4/16>