黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『六つの手掛り』乾くるみ(双葉社)

2009-05-28 | 読了本(小説、エッセイ等)
車を運転して家路についていた北見政直は、途中で、黒岩というヒッチハイカーの青年を乗せた後に、雪道で滑り、タクシーと衝突事故を起こしてしまう。
しかしそこは、津川郡相生村、字偲谷という集落。夜の山の中で雪道ということで、そこにただ一人住んでいるという、男・真壁睦夫の家で、タクシー運転手・稲垣と、客である太ったチャップリン然とした林茶父と共に、泊まることに。
しかしその翌朝、黒岩が遺体で発見され、彼の死体のポケットからは、6つのゴムボールが見つかり……『六つの玉』、
林の姪・仁美は、花束を持っている叔父に行き会った。大学時代の友人・松本ユウキのお墓参りに行くという彼から、15年前の11月6日に爆死したという松本の関わった事件について聞くことに。
当時大学4年生だった松本は、アパートの自室で爆死。同じ夜、大学の同じ研究室の江川ユミコも同様に爆死していたことから、警察は無理心中の線を追っていた。
その夜は、彼女の誕生日。彼女に思いを寄せる同じ研究室の5人の青年たち…松本の他、青田、別所、千葉、土井はそれぞれにプレゼントを贈っていた……『五つのプレゼント』、
富嶽大学理学部化学科の小山田教授の補講を受けにきた6人……星野タカユキ、丸山ケイ、川村ジュンの男子3人、来栖ゆかり、池田直美、須田茜の女子3人。
しかしそこへやって来たのがカナダ人の大学教授、ジャン・ピエール・トルソー。昨日行なわれたシンポジウムで出会った際、訪問する旨をいっていたらしいのだが、彼の言葉が聞き取れなかった為、うかつに返事をしてしまっていたのだった。
さらに彼と共に、林が一緒。趣味である手品を通じた知り合いらしい。
その後事情を知ったジャンは、補講を邪魔したお詫びにと、ESPカードを使ったマジックを見せるが、その後何者かに殺害されてしまう。彼は件のカードを握り締めていて……『四枚のカード』、
飯沼市の観光課職員の西村直人は、市で開催される<第一回大道芸フェスタ>の企画会議に、オブザーバーとしてやってきた林とスナックに飲みに行き、うっかり終電に乗り過ごしてしまう。
そのスナックの常連である日野に誘われ、彼の家で泊まることにした彼ら。
家に着くと、日野の友人・徳永から留守電が入っており、もうひとりの友人である沖田とともに出かけた沖縄旅行で知り合った田中美由紀からその時の写真が届いたが、中身が間違っているという内容を告げていた。
ところが翌朝、その徳永が殺害されたという連絡が入り……『三通の手紙』、
籠岩市きっての名家である松平家の道隆翁は、今は引退し、楽隠居をしているが、昔から悪ふざけが大好き。
そんな彼に奇術を教えることになった日本奇術協会・籠岩支部の大川銀次郎は、5月31日に松平家で開かれる晩餐会に、林と共に招かれた。
その場で、新潟の素封家が持っていたという、変わった仕掛けを持つ掛け軸<二枚舌の掛け軸>を皆に見せた道隆だったが、何者かに殺害された。そこには掛け軸が置かれていて……『二枚舌の掛軸』、
桑津に住むベテラン作家・加藤清治の家に対談の為にやって来た、新進作家・佐倉彰二と司会役の若手評論家・大野千絵。しかしその家には他に、林と、大野と犬猿の仲である影山洋次と、その景山の後輩で大学のミス研部長を務める三田博之がいた。
その後、加藤がゲラを電車に置き忘れ、また佐倉の体調が優れないこともあり、2時間後行なわれることになった対談だったが、影山が何者かに殺害された。彼が読み進めていた本のページ数から死亡推定時刻を割り出すが……『一巻の終わり』の6編収録の短編集。

ちょっと太ったチャップリンのような容貌の男・林茶父が活躍するミステリ。
登場人物たちの心情とかの書き方が足らない気がしますが、その辺はきっと意図的に排除してるのかなぁ、と思ったり。
最後の仕掛けに、にやりとします(笑)。

<09/5/28>


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