黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『些末なおもいで』埜田杳(角川書店)

2009-05-13 | 読了本(小説、エッセイ等)
不眠症の少年・檜山は、毎夜、窓の外を見下ろしては、夜の街に海の底のような孤独を見ていた。
そんなある日、彼同様、眠れずに夜の町を彷徨していた同じ部活の少年・矢鳴に声をかけられる。あまり話したことのなかった2人は次第に心を通わせるようになり、さらに、彼が所属する園芸部の部長で、矢鳴の幼馴染の少女・キューピーさんも加わり、ささやかな交流が始まる。
そんな中、矢鳴が“あれ”…最初は猛烈な痒みに襲われ、その後、その部位に羽が生えて飛んでいくという奇病…に罹り……

桜さんからオススメされた『ノスタルジア』を読もうと思い、図書館で見つからなかったので、とりあえず同じ作者のを~と読んでみたら、どうやら両者はイコールだったみたいです(文庫化によりタイトルを『ノスタルジア』に変更された模様)。
身体が少しずつ欠損してゆく(羽が生えて飛んで…)病に罹った少年とのエピソードを描いた青春小説。
奇病のファンタジックな設定が印象的ですが(そちらを中心に書いても面白そうなモチーフですが、割とさらりとした扱い)、彼らの距離感や、作品全体に流れる透明感というか、サテンのような冷たい肌触りは、かなり好みな感じ。
“本当に哀しいのは、消えてしまった瞬間ではないのだ。本当に哀しく、堪えがたくなるのはその後流れ続ける日常なのだ”という言葉が沁みます。

<09/5/13>


最新の画像もっと見る

コメントを投稿