黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『イエメンで鮭釣りを』ポール・トーディ(白水社)

2009-05-06 | 読了本(小説、エッセイ等)
アルフレッド(フレッド)・ジョーンズ博士は、研究一筋の真面目な水産学者。
水産資源の保護を担当する政府機関、国立水産研究所(NCFE)に勤めているが、キャリアウーマンの妻・メアリよりは給与面で劣っている。
ある日、イエメン人の富豪シャイフ・ムハンマドから、母国の川に鮭を導入する為、力を貸してもらえまいかという依頼がNCFEに届く。
フレッドは、そのおよそ不可能と思われる話に、けんもほろろの返事を出すが、この計画になんと首相官邸が興味を示す。
上層部からの圧力もあり止むをえずそのプロジェクトに関わることになったフレッドだったが、プロジェクトを統括する、不動産会社コンサルタントで美貌の女性・ハリエットの取り成しもあり、そのプロジェクトに前向きに検討するようになる。やがてそれにのめりこんでいく彼だったが、一方ではキャリアアップの為、ジュネーブに飛んだメアリとは夫婦危機の状態に。
そんな中、ハリエットの恋人は戦地に送られ、その身を案じる彼女は、手紙を書き送るが、いつしかそれは届かずに返送されてくるようになってしまうのだった。
やがてそんな彼らの鮭プロジェクトが、世間に明らかになると、嘲笑と非難の的に。フレッドはその職を追われながらも、ひたすらそのプロジェクトの為に働き……

イエメン人の富豪シャイフの、イエメンで鮭釣りをするというおよそ不可能と思われる目的の為、鮭を泳がせることになったフレッドとその周囲の人々の騒動の顚末が、日記やメール、手紙、新聞・雑誌、尋問記録等々の記述によって描かれています。
イギリスらしいユーモア(ちょっとブラック)に満ちた作品で、戯画的?
滑稽とも思える無謀な計画ですが、何となくフレッドを応援したくなってきます(笑)。

<09/5/6>


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