湖を中心に暮らす、山奥のある世俗とは隔絶されたむらに育った少年・さざなみ。
その地に生まれた母と、都に住む父・李常の間にできた子であったが、母が衰弱し、すまなく思った父は、彼女を再びむらへと返したのだった。さざなみを産んだ後、母は亡くなり、伯父らに育てられた。
ある時から次第に衰退し始めたむら。やがて誰もいなくなり、ただひとり残された彼は、むらに出入りしていた商人・崔の親方に託され、崔の弟子・冬霞とともに父の家を目指すことに。
辿り着いた家には既に父はなかったが、名を李小波と改め、その家人らと共に暮らしはじめる。何とかむらを…湖を元通りにしたいと、叔母・琳台から年の近い友人にと紹介された…実質許嫁の、元将軍家出身の少女・陸桑折を通して、かつて桑折の家に仕えていた青年・欧相岩に、その方法を調べてもらうことに。
李家に辿り着く前に、ひょんなことから知り合った馬好きな姫・甘橘らと関わりながら、遊馬城で働く小波。しかし平穏な生活の中、ある目的から彼を狙う人間がたびたび現われ……
第23回ファンタジーノベル大賞受賞作。
中華風な世界が舞台。淡々と、勝山さんらしい語り口と展開のお話でした。普通のファンタジーの感覚からすると、だいぶ肩透かし感を伴うかも。
<12/1/6,7>