黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『琥珀の眼の兎』エドマンド・ドゥ・ヴァール(早川書房)

2012-01-03 | 読了本(小説、エッセイ等)
陶芸家のエドマンドは、晩年を東京で暮らしていた大叔父・イニャス(イギー)の部屋で出会った264の美しい根付に魅了された。死後、その根付を相続したエドマンドは、その来歴を調べはじめる。
根付を最初に手に入れたのは、一時ジャポニズムに傾倒した彼の曽祖叔父シャルル・エフルッシだった。
ユダヤ系の大富豪エフルッシ家の一員であったシャルルは、華やかなりし19世紀のフランス・パリで、多くの芸術家らのパトロンとなり、ルノワールの絵画や、プルーストの小説のモデルにもなった人物。
後に、結婚祝いとしてウィーンに暮らす従兄弟へと贈られたそれらは、ユダヤの迫害と一族の没落の歴史を共にすることに……

ユダヤ系のエフルッシ家の栄枯盛衰の歴史を、根付の流転を通して描いたノンフィクション。
文章に若干読みにくさがあるので、なかなか読み進めなかったりもするのですが、
ナチスにより迫害の進むウィーンから、根付たちが脱出するところが、実にドラマティックでした。

<12/1/1~3>