黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『あつあつを召し上がれ』小川糸(新潮社)

2011-11-18 | 読了本(小説、エッセイ等)
認知症になり、はなちゃんに戻ってしまったバーバ。
バーバが住んでいた団地の近くのアパートに引越したマユとママは、通って世話をしていたが、無理がたたってママが倒れてしまったことから、バーバはホームに入居した。しかしバーバは何も食べようとせず、無反応。
そんなある日、「ふ」という音を漏らしたところから、それが富士山だと推測したマユ。彼女が求めているのは、かつて富士山のようだと形容したかき氷だと思い当たり……『バーバのかき氷』、
中華街で一番汚い店だという店に、恋人に案内された私。
そこは、彼が幼い頃から通っていた、馴染みの店であるという。食にうるさかった彼の父がこよなく愛した、ぶたばら飯を一緒に堪能した後、ある話を切り出され……『親父のぶたばら飯』、
三十代最後の一日を迎える私は、籍は入れなかったものの長く付き合っていた山下と別れることに。
そんなことになる前に予約した奥能登への旅行に一緒に出かけ、松茸を食べる……『さよなら松茸』、
まだ幼い頃に亡くなった、母・秋子から味噌汁の味を受け継いだ呼春。
以来二十年、父とふたりで仲良く暮らしてきたが、呼春は嫁ぐことになって……『こーちゃんのおみそ汁』、
“私達の記念日”だといい、懐かしい、思い出のパーラーで食事をする老婦人。彼女は無口な夫・ショー造さんに絶えず話しかけ、思い出を語る。好きだった“ハートコロリット”を注文するけれど……『いとしのハートコロリット』、
形ばかりの妻子と別居し、愛人・ポルクと同棲中の男。心中でもするかと思い立ち、男が生まれたパリにやって来たふたり。餓死を試みる前に、最後の晩餐をすることに……『ポルクの晩餐』、
母から電話があり、父の四十九日に一緒にご飯を食べようと呼び出された由里。
彼が何より大好きだったきりたんぽを、同じように作ってみるも、何故かおかしな味になってしまい……『季節はずれのきりたんぽ』の7編収録。

食べることと生きることの関わりを描いた短編集。
ハッピーエンドもあるけれど、何だかどれも切なさが漂う作品…。

<11/11/17,18>