黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『舟を編む』三浦しをん(光文社)

2011-10-02 | 読了本(小説、エッセイ等)
大手総合出版社・玄武書房が、推進する新しい辞書<大渡海>の編纂プロジェクト。その中枢である辞書編集部に所属するベテラン編集者・荒木公平は、定年間近。自分の後を継ぐ、有能な人材をと社内を探していたところ、部下の西岡から、営業部の入社三年目の社員・馬締光也の存在を知らされる。
彼に会い出かけた荒木は、一風変わっていると見られ、部署内で持て余されている彼の性格が辞書向きだと見抜き……一、
タケおばあさんが大家をつとめる春日の古い下宿・早雲荘に暮らしている馬締は、恋をした。それは先頃、下宿に越してきた、林香具矢。タケおばあさんの孫で、湯島の『梅の実』という店で板前をしている女性だ。
そんな中、西岡が<大渡海>編纂が中止になるらしいという噂を聞き込んできた。荒木が、役員に確認すると、条件付きで存続されるとのこと。ひとつは『玄武学習国語辞典』の改訂版を出すこと、もうひとつは……二、
西岡正志は、春に宣伝広告部に異動することになり、対外交渉が苦手な馬締の為にできるだけのことをしようと決めていた。
だが、馬締に対して複雑な思いを抱いていて……三、
玄武書房に入社して三年目の岸辺みどりは、辞書編集部に異動。社員は主任の馬締しかおらず、慣れない職場で戸惑っていた。おまけに『月の裏』という店の女性の板前が、さえない彼の妻だと紹介される。
そんな中、あけぼの製紙の宮本慎一郎と知り合ったみどり。あけぼの製紙は<大渡海>用の紙の開発に携わっていて……“四”、
岸辺が張り切る中、老学者・松本の顔色や体調の悪さやが気になる馬締。
<大渡海>の編纂もあと大詰め、という中、『ちしお』という言葉が抜けているという事態が発覚。バイトの学生らと部署内で確認作業に追われることに。
そんな中、松本が入院したという連絡が入り……五。

辞書編纂に心血を注ぐ人々の姿を描いたお話。
コミカルな部分もありながらも、知られざる辞書編纂の苦労の一端が、垣間見れてとても興味深かったです。

<11/10/2>