黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『四龍海城』乾ルカ(新潮社)

2011-08-08 | 読了本(小説、エッセイ等)
北海道の道東に位置する、オホーツク海上に浮かぶ謎の建造物…確かに日本の領土でありながら、地図には載っておらず、そこに近づくものは、“神隠し”や“さらわれ”に遭うとされていることから、学校でも禁止されていた。
その沿岸の竜ノ岬町の竜ノ岬中学校に通う、一年生・高橋健太郎は、吃音に悩む少年。
夏休み最初の午後、両親に言われ通うことになっている吃音を直すための教室に行かなければいけないのが憂鬱で、岩場に腰掛け海を見ていた彼は、うたた寝をしている間に満ち潮になり帰りそびれ、たまたま見つけたレンズの光に惹かれて、うっかり“境界”を越えてしまう。
四龍海城と呼ばれる、その不思議な建物に閉じ込められることになった健太郎。そこを出るには、“出城料”がいるというのだが、お金では払えず、どんなものかもわからない。
城には、健太郎同様迷い込んだ者やさらわれた者たちが集められており、“大和人”と呼ばれ、コミュニティが形成されていた。
仙台で看護師をしていたという女性・天野裕子、彼女と共にさらわれたという、コミュニティのリーダー的存在・上川司郎らがいたが、そんな中で、健太郎は、自分の吃音を笑わなかった同じ年頃の少年・葛城貴希に興味を抱く。
城に滞在する者たちは、やがて感情を失ったロボットのような“城人”のようになってしまうという。何とかその前に無事に城の外に出るべく、新たにやってきた大学生の関も加え、出城料の謎についてあれこれ調べ始めるが……

奇妙な『四龍海城』という場所に閉じ込められてしまった少年が、そこで出会った少年とともに脱出する方法を模索する、というファンタジックサスペンス。
出城料については割と想像がつくのですが……最後の切ないラストに、ちょっと呆然…;

<11/8/8>