黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『メルカトルかく語りき』麻耶雄嵩(講談社)

2011-06-27 | 読了本(小説、エッセイ等)
“僕”が高三だった、一年前の夏。遊び仲間の長谷友幸が、不動産屋を営む父が管理する、日本文化好きのドイツ人が住んでいたという物件に泊まりに行かないかと誘ってきた。変わった物件で、一階は洋風で、二階が極端な和風。それをカレー荘と呼ぶことに。
泊まることになったメンバーは、他に新井敬二、生野武雄、青倉あげは、寺前桃子で計六人。
二階で酒宴をしていた夜、寝ていたはずの生野が窓から転落して亡くなるという事件が発生。
その一年後。生野の事件を解決する為、名探偵を雇ったという長谷。再び皆がカレー荘に集まることに。しかしなかなか現われず、事件は起きて……『死人を起こす』、
明け方、美袋のマンションにやってきたメルが、勝手にパソコンに怪しげなディスクを入れた為、本体がダウン。原稿の締切に間に合わないと責める美袋に(直後に前日までのバックアップを取ってあることに気づくが)、代わりに次の作品のアイディアを提供しようというメル。
突然、血の匂いがすると、美袋が住む賃貸マンションの、仙崎という表札の出ている三○一号室に入っていったところ、背中に包丁を突き立てた男が倒れていて……『九州旅行』、
和歌山県南部の沖合に浮かぶ小さな島に建てられた、岩屋荘という洋館にやってきたメルと美袋。
事業家として成功した後、五年前突然宗教家に転身、彼を信奉する二十代の若者五人…岩室耀子、巻直美、寺尾賢、内野功、関屋博和…と、二人の使用人…執事の白山、家政婦の青山…と共に、この館に暮らしているという、宗主・小針満英。
かつて新興宗教を興した、吉田長明という人物が残したという“祝福の書”(カテジナ書)と呼ばれる書物があり、しばらく行方不明になっていたそれを、小針が持っているらしい。
それを以前所有していた家の娘が、吉田を信奉していた大叔母の影響でその宗教を信じるようになり、盗まれた書を取り返す為に家政婦として潜入しているという。彼女を連れ戻すのが今回の依頼だ。それとは別に、小針からも島内の不審な人物を内密に調べて欲しいという依頼があったという。
神秘学の大家、神秘博士アストロとその助手ヴァレスカと名乗り、やって来た二人だったが、やがて絶海の嵐の孤島で、小針が殺害される事件が起き……『収束』、
メフィスト学園の殺人事件が発生した。被害者は、アニメオタクの物理教師・那須野山彦。硬質ガラスの灰皿で頭部を五5度強打され、死因は脳挫傷だった。
現場は鍵がかかったままの密室状態の理科準備室。十分おきに彼を呼ぶ校内放送が流されていたが、直前に発生した地震によりケーブルが断線し、聞こえる部屋と聞こえない部屋があった。容疑者となったのは、二十人の生徒たち。
彼らのおかれた状況から、メルが導き出した答えとは……『答えのない絵本』、
信州にある、メルの所有する別荘…地名が密室というのを気に入り、手に入れたそこは“密室荘”と名付けられた。
そこへ行かないかと誘われ、メルと共にやって来た美袋。ところがそこには死体が転がっていて……『密室荘』の五編収録の短編集。

銘探偵メルカトル鮎と、助手で作家の美袋三条のシリーズ短編集。
久々~!アンチフーダニットが、テーマなのでしょうか?(笑)
……まぁ、いつものように麻耶さんで、いつものようにメルでした(不可謬で、無謬って…)。
あ!あらすじをまとめている時に気づきましたが、『収束』の登場人物名……越後線だ(笑)。

<11/6/27>