黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『小夜しぐれ みをつくし料理帖』高田郁(角川春樹事務所)

2011-04-24 | 読了本(小説、エッセイ等)
文化十二年睦月。七草も過ぎ、鏡開きも終えた頃。新年早々引き込んだ種市の風邪は、なかなか治らない。
藪入りも過ぎ、種市も快復した、今年最初の<三方よしの日>。
悪態をつく老婆が、客としてやってきた。ところがその顔を見た種市は、血の気が失せ、形相が一変。包丁を持ち出して、老婆を殺そうとするのを又次が必死に止める。彼女は、種市の元女房・お連だった。
その後、落ち着いた種市は、芳にお連に殺意を抱くに至った、二十年前の出来事を語る。
神田御台所町で、蕎麦屋・つる家を営んでいた種市の前に、十年以上前、娘のおつるが六つの時に若い男をつくり、家を飛び出していたお連が現れた。今でもその相手である絵師の錦吾と一緒に暮らしているというのだが、おつるを自分の手元に引き取りたいというのだ。
反対する種市だったが、母の身体を心配するおつるは、一年限りという条件で彼女の元に身を寄せることに。
そして水無月を前にした昼さがり、突然戻りたいと言い出したおつる。お連が錦吾との仲を勘繰って、辛くあたるらしい。しかしお連を選んだおつるを少し懲らしめたいという気持ちになった種市は、あとひと月くらい辛抱しては、と助言する。
ところがそれから半月後、悲劇が起き……“迷い蟹  浅鯏の御神酒蒸し”、
つる家がその日の商いを終えた頃、日本橋の伊勢屋久兵衛方より使いがきた。源斉が倒れたという。
朝、両替町の別の店に診察にきていて、そこで倒れたのだが、話を聞いた久兵衛が伊勢屋に運び入れ、そこでしばし静養することに。
しかし食事を口にしないことから心配した美緒が、何か口に合う物を澪に作って欲しいという。
翌朝、早速伊勢屋に出かけた澪は、何か手伝いたいという美緒の手を借り、源斉のために食事を整えるがあまり食べない。そんな二人が話す様子を見ていた久兵衛は、何かを決めた様子。
如月二十三日の<三方よしの日>。あさひ太夫を抱える、翁屋伝右衛門がつる家にやってきた。
弥生七日に催される、吉原での花見の宴の席に饗する、料理を作って欲しいという。承諾するも、常とは違う吉原の上客たちに、何を出したら良いか悩む澪。たまたま店にやってきた小松原に相談すると……“夢宵桜  菜の花尽くし”、
卯月に入り、季節が春から夏に移ろうという頃、事件が発生。突然美緒がつる家にやってきて、泣き出した。
これまで美緒の我儘を聞いてきた久兵衛が、源斉をあきらめ婿を取れと言い出したという。しかも相手は一回りも年上の中番頭の爽助。そんな美緒を、しばらく坂村堂でかくまうことになるが、その後話は進行し、祝言は皐月九日に決まってしまう。
そんな中、種市の発案で、花見に代わる息抜きとして、美緒も含むつる家の面々で浅草に縁日を見に出かけた。
その混雑の中、芳は行方知れずの息子・佐兵衛の姿を見かける。それを追った澪は、舟に乗って去ってしまう彼に向かい、つる家にいる、と告げる……“小夜しぐれ  寿ぎ膳”、
御膳奉行の小野寺数馬は憂えていた。先月来、菓子のことばかり考えねばならないからだ。
水無月十六日に、公方様より菓子を賜る、嘉祥という儀式が行なわれる。いつもは御用達の菓子商のものを使うが、家康公二百回忌にちなんで、新しい試みを、と言い出した者がおり、城内で新たな菓子を一品作ることに。その役目を数馬は仰せつかってしまったのだった。
妹・早帆の夫であり、数馬の竹馬の友である、小納戸役・駒澤弥三郎と共にいろいろ菓子を食べ歩きながら、考えるが……“嘉祥  ひとくち宝珠”を収録。

シリーズ第五弾。
種市の過去や、小松原こと小野寺家の事情(女性陣が強いのが妙におかしい…/笑)が明らかになったり、美緒の縁談話が持ち上がったり、いろいろ盛りだくさんですが、次巻以降に進展がありそうなのは佐兵衛の件かな?
ちょこっとしか登場のなかったあさひ太夫は、存在感を遺憾なく発揮♪

<11/4/24>