黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『まことの人々』大森兄弟(河出書房新社)

2011-04-06 | 読了本(小説、エッセイ等)
女子大の演劇サークルで演劇をしている“僕”の彼女は、善人ばかりが登場する劇『まことの人々』…中世ヨーロッパふうの設定で、長年争いを続けていた二つの国を舞台とした物語…で、ただ一人醜悪さを撒き散らし、“生まれつきの人間のクズ”とまで評される、人喰い軍曹<エドモン軍曹>役を演じることに。
そんな中、僕のアパートの近くに住む赤いスポーツカーの男が、軍曹のイメージを具現化したような人物であることを目撃。さらに彼が、<パンのグリム>というパン屋の主人であることを知り、店を訪ねてはその言動を観察しつつ、役作りや稽古を重ねる彼女。
だが次第に、彼女の行動にただならぬものを感じるようになった僕は……

女子大のサークルで、醜悪な中年軍曹を演じることになった僕の彼女が、現実でもその役に憑かれたようになり…というお話。……ちょっと「北島マヤか!」とツッコミを入れたくなったり(笑)。
途中、客席や<僕>たちも舞台に取り込まれたかのような、文章表現が面白かったです。
結末はあっさりで若干拍子抜けかな(……かといって突き進まれても、ホラーになっちゃうのでアレですけど/笑)。

<11/4/6>