黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『女中譚』中島京子(朝日新聞出版)

2009-08-27 | 読了本(小説、エッセイ等)
新宿のダイヤという店で女給をしていた澄は、金州から女と駆け落ちして東京に逃げてきたという男・信作と知り合った。
信作はその女・千代を騙し、下宿屋の女中に売り、金を手に入れた。しかし彼女は騙されたことに気づかず、三日とあけず手紙を書き送ってくるという。そんな彼女を利用し、さらに金を搾り取ろうとする信作に頼まれ、金を催促する手紙を代筆することになった澄だったが……『ヒモの手紙』、
かつて独逸から帰国した医者・伊牟田の屋敷に奉公していたすみ。
そこにはイルマ夫人との間に混血の我儘娘・萬里子がいて彼女の世話をすることになったが、萬里子は昔いたという<たま>という女中を懐かしむ。
19歳でピアニストをしている彼女の、日比谷公会堂でのピアノリサイタルの日、貧しげな女がうろつくのをみたすみは、彼女が件のたまだと知るが……『すみの話』、
金州から出てきた男と別れてふらふらしていた頃、麻布の珍奇な洋館に住んでいる変わり者の物書き先生のところへ女中に出たすみ。
仕事は楽だが、誰と接する機会もなく暇すぎることから、夜な夜な舞踏練習所に通い始める。しかしやがてそこを飛び出し、あちこち渡り歩いた彼女は……『文士のはなし』の3編収録の連作短編集。

現代の秋葉原のメイド喫茶に入り浸る老女・すみが、誰とはなしに語る女中女給時代(大正から昭和のはじめ)の話。
それぞれ林芙美子、吉屋信子、永井荷風による女中を描いた作品をトリビュートされてるとか。
面白かったので、元ネタの方も読んでみたいですv

<09/8/27>