黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『脇役スタンド・バイ・ミー』沢村凜(新潮社)

2009-08-04 | 読了本(小説、エッセイ等)
ある事情から仕事を辞め、今はマンションの一階に両親と暮らす阿部千秋。そんな彼女のマンションでは、ハトの害が深刻となっていた。
ある日、公園で禁止されているのにハトに餌をやる老婆と、それに付き添う中年女性の姿を見かけた千秋は憤りを覚えるが、そのまま立ち去った。
そんな中、友人から老人の見張りをして欲しいと頼まれるが、その老人が件の老婆・吉永静音だった。年老いたことからくる身体の不具合について愚痴をいい、悲観的になっている彼女に、思いつきから身体の変調を鳥に近づいているのだと励ます。ところが……“第一話 鳥類憧憬”、
自分流の処世術を身につけているOL・北里花梨。そんな彼には、結婚を考えている恋人・谷伸悟がいたが、もう一人吾妻という元取引先の男性とも付き合いはじめていた。
そんな中、社長が突然経営刷新を思い立ち、顧客データの処分を言い出した。しかし古い名簿に愛着のあった彼女は捨てがたく、それを持ち出して自分で密かに保管しようとCD-Rで持ち出すが、中身がいつの間にか変わっていて……“第二話 迷ったときは”、
アパートの1階に住む弓月友一。いつも2階の住人が立てる音に迷惑していた彼だったが、5日前から突然音がしなくなり不審に思う。どうやら階上の住人であった関口茜は、恋人を殺害した容疑で疑われているらしい。しかしその問題の日に、彼女がいつも通り帰宅する音を聴いていた彼は、彼女の犯行であることを信じられず、恋人の泉崎克美とともに調べ始めるが……“第三話 聴覚の逆襲”、
母親譲りのおせっかい焼きな性格ゆえに、職を失い、妻を失い、おまけに引っ越しを余儀なくされた楢本宏武。それに懲りて、おせっかいを封印することにした彼だったが、ある日、窓から見えた古い平屋の家屋の土間に少女が寝ているのをみて、事件性を感じるが……“第四話 裏土間”、
定年間際だった社員・大畑が何者かに殺害された。退職後は再雇用制度の対象者だった彼。
人事部に所属する飯田亮は、ひょんなことから同じく定年間際でありながら、再雇用制度の対象からはずれてしまった、生産技術部の藤沼隆平と大畑との意外な関係を知る。藤沼が適用からはずされたのは、33年前の譴責処分が原因なのだが、その理由は彼らしからぬもので……“第五話 人事マン”、
前世占いをするという占い師・秋本水音と名乗る女性から声をかけられた大学生・純平。
うまく彼女の元に客を連れてきたら、5000円やるという彼女の言葉に釣られ、バイト先でその話をした中で、バイト仲間の磯村が興味を示したことから斡旋するが……“第六話 前世の因縁”、
警察署に向かった峠知鶴と純平たちは、そこで、脇田潤一という刑事に会いたいという男に出会う。他にも同様の人々が出てくる中で警察官が告げたのは……“最終話 脇役の不在”の7話収録。

困った事件に遭遇した人々が、脇田さんという刑事に助けられるというパターンの連作ミステリ。
個人的には最終話のどんでん返しは好きですが、タイトルがいまいちインパクトに欠ける感じなのが、もったいないかなぁという気が。

<09/8/4>