黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『さよならの空』朱川湊人(角川書店)

2005-10-14 | 読了本(小説、エッセイ等)
オゾンホールの拡大が深刻化し、それを食い止めるために開発された化学物質・ウェアジゾン。
ところがその物質には、夕焼けの色が消えてしまうという思わぬ副作用があることが判明。
そのことから、女性が抗議の焼身自殺を行なうなど、世界中から批判が巻き起こった。
そんな渦中、イベントの一環で日本を訪問していたウェアジゾンの開発者であるテレサ・クライトン博士は、見張りの目をかいくぐり、ホテルを脱出……彼女にはもうひとつ、個人的な来日目的があったのだ。
その途中、少年・トモルと出会い、一緒に旅することに……。

いろいろ考えさせられるモチーフでしたね~。
人は、目に見えない危険よりも、目に見える変化の方に敏感になりがちですが、オゾン層の破壊という現実的な問題と、人の思い出と密接に繋がっている、夕焼けの消失という、いわば感情的な問題のどちらを優先するかというのは、現実問題としてその選択に迫られたとき、悩むところですね。
欲を言えば、もうちょっと枚数が費やしてもらってもよかったかなぁとか、せっかくだから違う視点から見た連作短編風にしても良かったような……とか思ったり(笑)。

<05/10/14>