蟹面である。
「かにづら」でなく「かにめん」と読む。(念のため)
茹でたカニの身をいったんほぐして甲羅に詰め、ふたたび蓋をして干瓢でしばり、注文を受けてから鍋に入れる。
絶品である。
おでんに蟹面というのは当地だけらしいが、当地でもこれを出す店はごく限られている。原価がかかることもあるが、何より、おでん種としては破格に手間がかかるのだ。要予約。
香箱ガニ(ズワイガニのメス。地域によってセコガニなどとも)の食べ方として、いちばんおいしいと思う。
香箱が解禁されたら蟹面を食べずにはすまされない。
鍋のなかでくつくつ揺れるおでんをみながらこれを食べるのが大好きだ。
大好きな人といっしょだとなおさら、心のすみずみまで温まってくる。