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生きさせろ!

2007年08月05日 | 鬼笑が知らせる

雨宮処凛『生きさせろ! 難民化する若者たち』(太田出版)を読んだ。

闘いのテーマは、ただたんに『生存』である。生きさせろ、ということである。
生きていけるだけの金をよこせ。メシを食わせろ。人を馬鹿にした働かせ方をするな。俺は人間だ。
スローガンはたったこれだけだ。
生存権を21世紀になってから求めなくてはいけないなんてあまりにも絶望的だが、
だからこそ、この闘いは可能性に満ちている。
『生きさせろ!』という言葉ほどに強い言葉を、私はほかに知らないからだ。
                                一一『はじめに』より



「我々は反撃を開始する」という言葉ではじまる本書は、この生きづらい日本社会で喘ぐ人の必読の書であるとともに、いまはなんとなくうまくいっている人にとってこそ必読の書だと思う。

出張先から帰る電車のなかで読んだ。
ただ生きるということが許されない社会。胸をかきむしられるような現実。
何度も体が震え、落涙した。
貧乏人大反乱集団・高円寺ニート組合のところではあまりにヘンテコな抵抗運動に、笑いをこらえるのに体が震えた。
隣席の女性に不審の視線を投げられた。

「世の中はどうも私が思っているのとは逆方向へ進んでいる。だから、決めた。このテーマで、私はこの社会が変わるまで取材し、執筆し、運動していくことを。」
僕は、自分のことを恥じた。そして、僕も決めた。いまの持ち場で、この社会を変えるためにこれまでよりずっと努力することを。