ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
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山場に来た人民元のSDR通貨認定~田村秀男氏

2015-10-27 09:21:03 | 経済
 10月26日付のロイター通信の記事によると、国際通貨基金(IMF)は中国の通貨・人民元を11月中にも、特別引き出し権(SDR)と呼ぶ準備通貨に採用する方針を固めた。IMF関係者は人民元のSDR採用について好意的な結論を盛り込んだ報告書原案をまとめたという。IMFは早ければ11月下旬にも理事会を開き、人民元をSDRに採用する可否を正式に決めるようである。人民元をSDRに採用する最終的な決定はIMFの理事会が行い、総議決権の7割以上の賛成が必要。正式に採用が決まれば、来年10月にも人民元がSDRに組み入れられるとみられる。
 本ブログで紹介してきたように、エコノミストの田村秀男氏は、SDR通貨認定を阻止すべきだという意見を一貫して主張している。
 中国は、IMFに対して人民元を国際準備通貨に認定させようとしてきた。田村氏は、次のように見る。「習政権はアジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立に続いて、人民元を国際通貨基金(IMF)の仮想通貨『SDR(特別引き出し権)』の構成通貨組み込みを狙う。元がドル、ユーロ、円、英ポンドと同じ国際準備通貨となると、元での貿易や投融資が世界で受け入れられやすくなり、対外的影響力がぐっと増す。AIIBもドルに頼らなくても済む」と。IMFが元を自由利用可能通貨として認定した場合、元はIMFが持つ合成通貨「SDR(特別引き出し権)」を構成する主要国際通貨の一角に組み込まれることになる。そうなれば、人民元の信用力が高まり、金融による覇権の実現に近づく。 中国は人民元の国際準備通貨認定という野望に燃えている。その実現のために、金融市場の対外開放を進めた。それが、上海株式市場の空前の好況を生んだが、その株バブルは破裂した。中国はIMFに対して通貨の変動に関する柔軟な姿勢を見せるため、人民を切り下げた。
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/5bc94b1c954244ed55f22b9e51c5c55f
 田村氏はそもそも「元にSDR通貨の資格はあるのか」と問うている。 田村氏は、その資格はないと断じる。不適格である第一の理由は、「人民元の正体とはしょせんドルのコピーである」「中国人民銀行はドルの増量に合わせて元を発行している」「コピー通貨が、変動相場制であるユーロ、円やポンドと対等の国際準備・決済用通貨であるはずがない」という。また、第二の理由は「中国は管理変動相場を堅持するために、上海などの金融市場への外からの資本流入を厳しく規制している」「ロンドン市場などでの元取引は中国系銀行が介在し、元マネーの大部分を本国に還流させるようにしている」「国際的に自由に流通する元建ての金融資産の規模も種類も限られる。そんな通貨が『国際利用可能通貨』と定義されるなら、他の国だって通貨の自由変動相場を見直し、金融市場を規制してもよい、ということになる」という。 そこで田村氏は、IMF最大のスポンサーである日本は、人民元の国際準備通貨認定という中国の野望を阻止すべきだと主張している。
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/5bc94b1c954244ed55f22b9e51c5c55f

 さて、本件につき、田村氏は産経新聞9月28日付に、次のように書いた。
 「習近平中国共産党総書記・国家主席は今回の訪米を通じて、人民元の国際通貨認定にすさまじい執念を見せた。国際金融の総本山、国際通貨基金(IMF)に元を国際通貨として認定させ、自前でふんだんに刷れる元を世界のどこでも使えるようにする道を付け、党指令の経済体制の延命を図る。IMFで拒否権を持つ米国の出方が鍵になるが、習主席は実利をちらつかせて、ワシントンを篭絡(ろうらく)する戦術を展開している」
 訪米とは、9月下旬に行われたたもので、米財界人・投資家等との集会。オバマ大統領との首脳会談や国連総会での演説等が行われた。
 田村氏は言う。「習政権は6月の上海株暴落以降、党・政府指令による経済支配を強化している。元が国際的に自由利用可能な通貨というSDR条件とは真逆である。8月には、上海市場の統制を当面は容認すると同時に、元をより大きく市場実勢を反映させる改革案を示せば、元を来年9月からSDR通貨に加えてもよい、というシグナルを送った。市場自由化をうたいながら小出しの自由化でよしとする、国際社会でよくありがちな対中国だけの二重基準である。ワシントンの甘さにつけ入るすきを見逃さない。習主席の訪米時の発言は強気一辺倒だった」と。
 そして、次のように主張している。「瀬戸際の中国金融を救うのは、元の国際通貨化しかないと習政権は必死だろうが、半端な金融自由化、元の小幅変動は国際金融市場を不安定にさせる。オバマ政権とIMFが安易に妥協しないよう、安倍晋三政権はしっかりとチェックすべきだ」と。
 以前にも書いたが、私は、人民元を国際準備通貨に認定することは、中国経済危機の世界的な波及を拡大する恐れが高いので、やめるべきだと思う。通貨はその国の経済の実力を表す。中国経済は、土台が既に崩れ始めている。土台の崩壊はまだ始まったばかりである。そういう国の通貨を国際準備通貨に加えることは、世界経済を大いに不安定にすることになるだろう。IMF及びIMFを金融による世界支配の手段としている巨大国際金融資本家たちは、共産中国への幻想から目覚め、シナを舞台とした強欲のギャンブルを止めるべきである。
 以下は、田村氏の記事の全文。

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●産経新聞 平成27年9月27日

http://www.sankei.com/world/news/150927/wor1509270005-n1.html
2015.9.27 11:00更新
【日曜経済講座】
人民元のSDR通貨認定ヤマ場に 瀬戸際の中国金融にワシントンの二重基準 編集委員・田村秀男

 習近平中国共産党総書記・国家主席は今回の訪米を通じて、人民元の国際通貨認定にすさまじい執念を見せた。国際金融の総本山、国際通貨基金(IMF)に元を国際通貨として認定させ、自前でふんだんに刷れる元を世界のどこでも使えるようにする道を付け、党指令の経済体制の延命を図る。IMFで拒否権を持つ米国の出方が鍵になるが、習主席は実利をちらつかせて、ワシントンを篭絡(ろうらく)する戦術を展開している。
 元が国際通貨になるためには、ドル、ユーロ、円、ポンドと同様、IMFの仮想合成通貨、特別引き出し権(SDR)に組み込まれる必要がある。最終的にはワシントンの政治判断次第だ。
 エピソードを紹介しよう。
 2001年1月に発足したブッシュ共和党政権はクリントン前民主党政権の露骨なばかりの親中国路線を撤回し、発足当時は強硬姿勢をあらわにしたが、中国市場重視の米産業界やウォール街から修正を求める声が出る。
 そこで北京に飛んだのはオニール財務長官(当時)で、「9・11」同時中枢テロの前日、10日にオニール氏は人民大会堂で江沢民国家主席(同)らと会談。ドルに固定している人民元制度の改革を求めるオニール氏に対し、中国側は「いずれ変動させるとしても、幅はちょっとだけで」と。オニール氏は「しょせん中国はまだ統制経済だ。市場資本主義の力に任せると中国は分裂してしまう」と内心思った。
 そこで、オニール、江の両氏は口をそろえて言った。「忍耐強くしましょう、そして一緒にやりましょう」(オニール氏の回想録『The PRICE of LOYALTY(忠誠の代償)』)。以来、共和、民主両党の政権とも中国と「戦略対話」を繰り返し、北京が元をわずかに変動させる管理変動相場制を容認してきた。
 1998年のアジア通貨危機当時、インドネシアのスハルト政権に政府介入を撤廃させ、崩壊に追い込んだ市場原理主義のIMFも中国に対しては柔軟だ。
 習政権は6月の上海株暴落以降、党・政府指令による経済支配を強化している。元が国際的に自由利用可能な通貨というSDR条件とは真逆である。8月には、上海市場の統制を当面は容認すると同時に、元をより大きく市場実勢を反映させる改革案を示せば、元を来年9月からSDR通貨に加えてもよい、というシグナルを送った。市場自由化をうたいながら小出しの自由化でよしとする、国際社会でよくありがちな対中国だけの二重基準である。
 ワシントンの甘さにつけ入るすきを見逃さない。習主席の訪米時の発言は強気一辺倒だった。
 「中国は輸出刺激のための切り下げはしない。元を市場原理により大きく委ねていく改革の方向性は変わらない」
 「中国政府は市場安定策を講じて市場のパニックを抑制した。今や中国の株式市場は自律回復と自律調整の段階に達した」
 「外貨準備は潤沢であり、国際的な基準では依然、高水準にある」
 「人民元国際化に伴って、外貨準備が増減することは極めて正常であり、これに過剰反応する必要はない」
 さすがと言うべきか、中国伝統の黒を白と言いくるめてみせるレトリックである。
 8月11日の元切り下げは過剰設備の重圧にあえぐ国有企業が背後にあるが、4%台半ばの元安にとどめざるをえなかったのは、資本逃避が加速したためだ。元相場を市場実勢に反映させると言うなら、外国為替市場への介入を抑制すべきなのだが、実際には元買い介入によって元の暴落を食い止めるのに躍起となっている。株式市場は自律的に回復しているというが、当局が市場取引を制限しているために、上海株の売買代金は6月のピーク時の4分の1まで雌伏したままだ。
 外準減少が正常、というのも詭弁(きべん)である。資金流出は加速、元買い介入のために外準を大幅に取り崩す。国内の資金不足を背景に対外債務は膨張を続け、「高水準の外準」を大きく上回る。外からの借金で外準を維持しているのだが、逃げ足の速い華僑・華人が引き上げると外準は底をつくだろう。(グラフ参照)



 瀬戸際の中国金融を救うのは、元の国際通貨化しかないと習政権は必死だろうが、半端な金融自由化、元の小幅変動は国際金融市場を不安定にさせる。オバマ政権とIMFが安易に妥協しないよう、安倍晋三政権はしっかりとチェックすべきだ。IMFのSDR判定期限は11月中という。
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