ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

集団的自衛権は行使すべし18

2008-01-30 09:34:16 | 憲法
●憲法改正なしの新安保もまた制限的
 
 現行憲法及び旧安保条約のもとで、わが国は主権を制限され、軍事的にはアメリカの非保護国的な地位にあった。この状態を改めようと、重光外相はダレス国務長官と交渉したが、ダレスは重光に対し、アメリカが日本を防衛することを義務付けるような相互的な条約に安保条約を改正するためには、その前提として、まず日本が憲法を改正し、対等な立場で集団的自衛権を行使できるようにならなければならない、と要望していた。わが国では、現行憲法がわが国に移植したアメリカ型の自由主義・デモクラシーと、戦後日本に拡大したソ連型の共産主義が国民に広がり、憲法改正や自主国防に反対する意見が強まっていた。安保条約を巡る日米の交渉は、こう着状態に陥った。
 この状態を破ったのは、駐日大使として赴任したGHQ最高司令官ダグラス・マッカーサーの甥ダグラス・マッカーサー2世である。マッカーサー駐日大使は、昭和33年(1958)2月、新安保条約の草案を、ダレス国務長官に示した。
 この提言は、それまでダレスが重光に突きつけていた方針を転換するものだった。わが国の憲法改正と集団的自衛権への制限解除という課題を棚上げし、その実現を待たずに、安保条約を相互性のあるものに改定する。すなわち、日本には基地提供の義務はあるが、アメリカには日本を防衛する義務はないという一方的で片務的な条約を改め、アメリカの防衛義務を明確にした相互的な安保条約を締結しようという提案である。
 結局、マッカーサー大使が提案したこの基本的な枠組みのもとで、安保条約の改定が行なわれることになった。昭和35年(1960)6月、わが国の国論を二分した安保問題は、岸信介政権のもとで新条約の締結となった。それによって、安保条約の片務性は、一定程度改善された。しかし、あくまで現行憲法の規定の範囲内での改定だから、わが国の非保護国的な地位が根本的に改善されたわけではない。
 旧安保条約の改定の交渉過程で、集団的自衛権に関する課題が浮かびあがった。ダレス・重光会談以来、実に半世紀以上にわたって、この課題は未解決であり続けている。それは取りもなおさず、現行憲法を制定時の規定のまま固守しているからこその事態なのである。

 片務性を残したまま改定された新安保条約は、昭和35年(1960)6月23日に施行された。新条約は、第5条に次のように定めている。
 「各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する。 」

 ここで「いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、(略)共通の危険に対処するように行動する」は、集団的自衛権の概念そのものである。「対処するよう行動する」というのだから、集団的自衛権を行使しないのではなく、行使するという規定である。ただし、この行使は「自国の憲法上の規定及び手続きに従って」行うとする。これは、憲法第9条の解釈として論じられ、集団的自衛権を行使できるかどうかという論点で議論されるが、日米安保第5条自体、憲法が集団的自衛権を認め、その発動には憲法の諸条項が関係することを前提としている。
 私は「自国の憲法上の規定及び手続きに従って」という規定は、日米それぞれの憲法における行政と立法の関係等を踏まえたものだと思う。たとえば、わが国は、憲法の下に定められた自衛隊法により、内閣総理大臣が自衛隊に防衛出動を命じるには、国会の承認を要する。憲法が三権分立や文民統制を定めているからである。
 新安保条約第5条は、日米両国が自衛権の行使、集団的自衛権の行使を相互に義務付け合ったものである。条文の始めに、「日本の施政の下にある領域」とある。施政領域内という地理的範囲、空間的限定を条件としている。日本の施政権内での米国への攻撃には、日本も共同行動をとる義務がある。日本がこの行動をとる根拠は、日本の集団的自衛権に基づく。
 しかし、施政領域外の韓国や台湾での米軍や、日本周辺の公海公空で米軍が、武力攻撃を受けた時に、日本が集団的自衛権を行使して正当防衛援助の行動に出ることを約束したものではない。当然、アメリカ本土まで自衛隊を行かせるのではない。そういう地理的条件のもとに、集団的自衛権の行使を日米が相互に義務付け合ったものである。それにもかかわらず、わが国は憲法上、集団的自衛権の行使は一般的にできないというのは、破綻した主張である。

 次回に続く。

コメント   トラックバック (1)   この記事についてブログを書く
« 集団的自衛権は行使すべし17 | トップ | 集団的自衛権は行使すべし19 »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

憲法」カテゴリの最新記事

トラックバック

フロリダの回答 マケイン対ロムニーに絞られた共和党 (米流時評)
 ||| マケイン 対 ロムニーに絞られた共和党 ||| フロリダ予備選の回答 共和党候補はマケイン対ロムニーに焦点 ジュリアーニ撤退、ハッカビー不振で浮上する共和党の両異端児 フロリダ州マイアミ発 |29日火曜夜行われたフロリダ州共和党大統領候補予備選の開票...