ほそかわ・かずひこの BLOG

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インド16~解脱を目指す方法

2019-11-01 09:28:22 | 心と宗教
●目的

 ヒンドゥー教において、人生の最高の目的は、解脱である。解脱の意味については、教義の人間観のところに書いた。ここでは、解脱を目指す実践について書く。
 解脱のための道をヨーガと呼ぶ。ヨーガという語には、「結びつけること」「連結」「結合」等の意味の他に、「手段」「方法」「道」の意味がある。ここでの使い方は、後の意味である。

●解脱を目指す方法

 解脱を目指す方法について、『バガヴァッド・ギーター』は、行為の道(カルマ・ヨーガ)、智慧の道(ジュニヤーナ・ヨーガ)、信愛の道(バクティ・ヨーガ)という三つの道を説く。これらの三つの道は平等とされ、どの道を選択するかは個人によるとされる。

◆行為の道
 ヒンドゥー教では、輪廻転生の原因を行為とするので、解脱を目指すには行為を否定しなければならない。だが、それは世を離れた修行者しかできない。戦士や庶民のように現実社会で生活する者には、不可能である。そこで、行為を肯定する画期的な考え方が現れた。それを説いたのが、『バガヴァッド・ギーター』である。
 本書において、ヴィシュヌの化身・クリシュナは、自らの義務を遂行することを救済の道として示している。人間は何の行為もせずに生きることはできない。そこで、行為の結果に対する執着を放棄して、ひたすら社会的な義務を果たすことを勧めている。また、どの階級でも各自の義務を遂行することによって解脱できると説いている。これが、行為の道(カルマ・ヨーガ)である。

◆智慧の道
 『バガヴァッド・ギーター』は、解脱に至るために、精神原理プルシャである自我と物質原理プラクリティからなる身体とを区別する知識を教える。智慧の道(ジュニヤーナ・ヨーガ)では、この知識を単なる知識ではなく、瞑想を行って精神原理と物質原理の区別を体験を通じて理解・体得することを目指す。

◆信愛の道
 『バガヴァッド・ギーター』は、第三の道として信愛の道(バクティ・ヨーガ)を説く。
 バクティは、「与える」「享受する」「身を捧げる」「崇敬する」「愛する」等を意味する動詞に由来する語である。特に「あるものの一部となること、あるものに所属すること、一部として他に関わること」を意味する。そこから転じて、「最高神に全身全霊を捧げること」「最高神に奉仕し、これを愛すること」等の意味を持つようになった。この意味では、信愛、信仰、献身等と訳される。
信愛の道は、『バガヴァッド・ギーター』によって提示され、一般大衆に広まり、ヒンドゥー教徒に広く受け入れられている。

●自力と他力

 解脱には、自力による道と他力による道がある。自力の道は、修行により解脱を目指す道である。他力の道は、人格神への信仰に基づき、神による救済を求める道である。三つの道のうち、行為の道(カルマ・ヨーガ)と智慧の道(ジュニヤーナ・ヨーガ)は自力の道であり、信愛の道(バクティ・ヨーガ)は他力の道である。
 ヒンドゥー教の多くの宗派では、信仰と修行の両方が必要としている。また、『バガヴァッド・ギーター』は、すべての行為をヴィシュヌに捧げ、神と自己と真理について正しい知識を得て、ヴィシュヌを信愛することを理想として説いている。すなわち三つの道を総合したものである。なお『バガヴァッド・ギーター』の詳細については歴史篇で述べることとし、ここでは実践の要点のみにとどめる。

●生前解脱と離身解脱

 ヒンドゥー教では、解脱は現世で生きているうちに可能だとする。これを生前解脱という。また、それを達成した人を生前解脱者と呼ぶ。生前解脱に至った者にとっては、既に肉体は無いも同然と見なされる。だが、神との究極的な合一は、死後に始めて実現するとする。死によって肉体からも解放され、最終的な解脱に至る。これを離身解脱という。

 次回に続く。

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