ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
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インド14~輪廻転生と祖先崇拝の関係

2019-10-27 08:46:25 | 心と宗教
◆輪廻転生と祖先崇拝の関係
 インドの諸宗教は、輪廻転生説に基づいて、死後、親や先祖の霊魂は、他の生命体に生まれ変わると考える。そうであれば、霊界に親や先祖の霊魂は存在しないことになる。人間なり動物なり、神々なり地獄の住民なりに再生しているはずだからである。こうした考え方においては、家族において、祖先から子孫へと続く生命の連続性は重視されない。また、輪廻転生する主体は個々の霊魂であるから、姿かたちを変えながら存続する個人の一貫性が、祖先と子孫の関係よりも重視される。この点は、多神教でありながら、ヒンドゥー教が祖先崇拝を主要要素とする神道や儒教と異なる点である。
 また、ヒンドゥー教では、死後の霊魂を現世に呼び招くシャーマニズムを認めない。霊魂は別の生命体に生まれ変わるのだから、霊界にいる死者を招魂する祭儀は、無意味となる。この点も、神道や儒教と異なる。
 ところが、ヒンドゥー教には大きな矛盾がある。というのは、実際には祖先崇拝も行われているからである。詳しくは実践の項目に書くが、家庭における祭儀では祖先への供養が重要な位置を占めている。これは、祖先崇拝の実践である。輪廻転生と祖先崇拝は、論理的に両立しないのに、それらが実践においては混在しているのである。人類の極めて古い時代から続く祖先崇拝が根本にあり、その上に後から輪廻転生の思想が加わったものと考えられる。

◆神義論の解決
 偉大なる社会学者マックス・ウェーバーは、ヒンドゥー教は神義論(Theodizee、テオディゼー)の課題を解決していると説いた。
 なぜ善人が苦悩や不幸に遭い、悪人が快楽や繁栄を得るのか。この問いにどう答えるかは、宗教や道徳の根本に関わる課題である。その理由を説明し、神が正しいことを証明する方法を、神義論という。哲学的・神学的に言えば、悪の存在に対して神の義(ただ)しさを弁証する方法であり、弁神論とも訳す。
 ウェーバーは、キリスト教は、予定説によって神義論を完全に解決している、と述べた。またキリスト教以外ではヒンドゥー教が別の仕方で神義論の課題を解決していると説いた。ヒンドゥー教は有神教であるから、先の問いについて、神義論という用語を使うことができる。ヒンドゥー教は、現在の状態は過去に原因があり、その結果であると説明する因果説を説く。また、魂が輪廻転生するという考え方をし、現世における苦悩や不幸の原因は、過去世における自身の行為に原因があると説く。この場合、過去世において自分が積んだ悪い原因を消滅することができれば、自分の苦悩や不幸は解決することになる。悪人は、現世において快楽や繁栄を得ていても、来世において自らの悪行の報いを受けると理解される。

◆真理に関する見解の併存
 この教義の項目の初めに、ヒンドゥー教では多種多様な教義が説かれており、あらゆる思想や態度が並存していると書いた。多神教でありながら一神教的または汎神教的な傾向を示すものがあり、一元論・二元論・多元論があり、無神論や不可知論もある。こうした多様性を持つヒンドゥー教では、また高度な哲学体系が多数存在する。その代表的なものが6つあり、これを六派哲学という。
 六派哲学は、輪廻とカルマンの思想を基にし、輪廻からの解脱を究極の目標とする。哲学はこの宗教的目標を達成するための手段であり、宗教と密接に結びついている。また各派は、互いの主張を真理に関する様々な見解(ダルシャナ)として認め合う。概要の項目に、ヒンドゥー教における寛容性について書いたが、六派哲学においても同様である。六派哲学の詳細は、歴史の章のヒンドゥー教の項目に書く。

 次回に続く。

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