ほそかわ・かずひこの BLOG

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「歴史の精算」が中国外交のテーマ~石平氏

2014-06-20 06:39:14 | 国際関係
 昨19日、拙稿「南シナ海で中国を駆り立てる中華ナショナリズム」を日記に書いた。中華ナショナリズムは、南シナ海に向けてのみ、高揚しているのではない。中国は現在、19世紀以来の屈辱の歴史の精算を国家的な主題としている。
 習近平国家主席は、3月下旬から4月1日まで、オランダ、ドイツ、フランス、ベルギーの4カ国を訪問した。シナ系評論家の石平氏は、産経新聞4月17日の記事で、この欧州歴訪の意味を述べている。
 石氏は「歴訪の中で習主席が欧州への対抗意識と欧州に対する『優越感』を自らの言動に強くにじませていることは明らかだ」とし、「かつての西洋列強にさんざんいじめられ、屈辱の近代史を経験した中国としては、自国の国力が増大し欧州諸国を凌駕している今こそ、屈辱の歴史への意趣返しとして、欧州を上から見下ろしてやりたいのだ」と言う。
 「経済面など実利の視点から中国と仲良くしようとする欧州諸国の外交志向とは一味違い、中国の方はむしろ歴史の怨念を心の中で引きずり、『歴史の清算』を外交政策の根底に置いている」と石氏は見ている。習主席は就任以来、「民族の偉大なる復興」を国家目標として掲げているが、その一環が、屈辱の歴史の精算なのである。石氏は適切にそのことに触れたうえで、「中国にとっての清算すべき歴史は、欧州とのそれだけではない」「『欧州征服』を果たした後、彼らにとっての次の雪辱の対象は、やはりこの日本をおいて他にない」と述べている。
 人間には自尊心がある。自尊心が強い人間ほど、自尊心を傷つけられると、そのことへの恨みは深く、大きくなる。もともとシナ民族は復讐心が強く、憎悪の感情を行動に表すことに、自制心を働かそうとしない傾向がある。そのうえ、共産主義は階級間の憎悪を駆り立て、敵愾心を革命の駆動力とする。共産中国では、特に文化大革命の時期に、伝統的な道徳は徹底的に破壊された。道徳が消失した集団では、膨張した怨恨、燃え上がる復讐心を抑えるものがない。そうした集団が世界を破壊し尽くすほどの軍事力を持つに至っている。わが国は、誠に危険な大国を近隣に持っている。国民は、そのことをはっきりと認識すべきである。
 日本人は日本精神を取り戻し、国家の再建を成し遂げねば、中国の奴隷になる。最悪の将来を避けるために、自己本来の日本精神に目覚めよう。
 以下は、石氏の記事。

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●産経新聞 平成26年4月17日

http://sankei.jp.msn.com/world/news/140417/chn14041712300003-n1.htm
【石平のChina Watch】
習氏の欧州歴訪 隠れたテーマは「歴史の清算」
2014.4.17 12:30

 今月1日までの11日間、中国の習近平国家主席はオランダ、ドイツ、フランス、ベルギーの4カ国を訪問した。就任後初の欧州歴訪である。
 訪問中の習主席の言動と中国内の報道を見ていると、どうやら中国側はこの欧州歴訪に「親善外交」とはかけ離れた別の意味合いを持たせようとしているように見える。
 中国内の報道が強調していることの一つは、習主席が訪問先各国で「破格の最高格式の礼遇」を受けた点だ。報道だけみれば、あたかも、各国の王室や政府首脳が一斉に習主席の前でひれ伏し、この大国元首を恭しく迎えたかのような風情である。
 習主席の振る舞いも尊大なものである。オランダとベルギーの国王が開いたそれぞれの歓迎晩餐(ばんさん)会で彼はわざと一般的外交儀礼を無視して中国式の黒い人民服を着用して臨んだ。
 そして、フランス大統領との会談で習主席は「中国の夢はフランスにとってのチャンスだ」と語り、ドイツで行った講演の中では「ドイツは中国の市場を無くしてはいけない」と強調した。あたかも中国が欧州の「救世主」にでもなったかのような言い方である。
 ベルギーでの講演で習主席はまた、立憲君主制や議会制などの政治制度を取り上げ、そのいずれもが「中国の歩むべき道ではない」と語った。
 つまり彼は、世界史上いち早く上述の政治制度を整えた欧州諸国の先進性を頭から否定した上で「中国はあなたたちから学ぶことはない」と宣したのである。
 このように、歴訪の中で習主席が欧州への対抗意識と欧州に対する「優越感」を自らの言動に強くにじませていることは明らかだ。
 問題は、欧州と対抗しなければならない現実の理由が何もない今の中国がなぜ、各国に対し、このような奇妙な意識をむき出しているのかである。考えてみれば、唯一の理由はやはり「歴史」である。
 つまり、かつての西洋列強にさんざんいじめられ、屈辱の近代史を経験した中国としては、自国の国力が増大し欧州諸国を凌駕(りょうが)している今こそ、屈辱の歴史への意趣返しとして、欧州を上から見下ろしてやりたいのだ。
 実際、訪問先のベルリンで習主席が「アヘン戦争以来列強によって奴隷扱いされた歴史の悲劇」に触れたのも、中国は決して「歴史の屈辱」を忘れていないことの証拠である。そしてフランスで行った講演の中で、主席は、かつてナポレオンが中国(清)のことを「眠れる獅子」と評したことを逆手にとって、「中国という獅子は既に目覚めた」と高らかに宣言した。
 このとき、おそらく彼自身とその随員たちは、この度の欧州歴訪が、まさに歴史への清算を果たした「雪辱の旅」となったことを実感していたのであろう。
 結局、経済面など実利の視点から中国と仲良くしようとする欧州諸国の外交志向とは一味違い、中国の方はむしろ歴史の怨念を心の中で引きずり、「歴史の清算」を外交政策の根底に置いている。
 それはまた、習主席自身が提唱してやまない「民族の偉大なる復興」の政策理念の隠されたテーマの一つだ。
 もちろんその際、中国にとっての清算すべき歴史は、欧州とのそれだけではない。彼らからすれば、近代史上西洋列強よりも中国をひどい目に遭わせた国は「もう一つ」ある。そう、東洋の日本なのである。
 だからこそ、習主席は訪問先のドイツで何の脈絡もなく日本との「歴史問題」に触れ、(何の根拠もない)「南京大虐殺30万人」を言い出したわけだ。
 「欧州征服」を果たした後、彼らにとっての次の雪辱の対象は、やはりこの日本をおいて他にない、ということである。
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関連資料
・拙稿「南シナ海で中国を駆り立てる中華ナショナリズム」
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/06d4e3d4e4ba60f383c9f2301f514234
・拙稿「中国の日本併合を防ぐには」
http://www.ab.auone-net.jp/~khosoau/opinion12a.htm

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