ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

習近平独裁体制のもとで、中国は天安門事件30年を迎えた

2019-06-04 09:29:26 | 国際関係
 1989年(平成元年)に天安門事件が起こった。民主化を求めて天安門広場に集まった学生・青年に対し、中国共産党は人民解放軍を動かして、虐殺を行った。多くの学生・青年が天安門事件で殺された。
 シナ系評論家の石平氏は、次のように語っている。「天安門事件は、建国史上最大の民主化運動だった。共産党は戦車部隊まで出して自国の学生運動を鎮圧し、虐殺した。どれだけ殺されたか不明であり、いつ明るみに出るかも分からない」
 目撃者の証言を総合すると、人民解放軍は天安門広場に集まった学生・青年が逃げられないように出口を防いだうえで、学生・青年を無差別に射殺し、また戦車で轢き殺したようである。中国政府当局は死者319人としているが、事件発生の3日後に中国赤十字の広報担当者が外国メディアに対して2600人と言明している。その後、重傷者が多く死亡したことから、実際は3千人に上るとの見方がある。
 2013年(平成25年)10月28日、北京中心部の天安門前で車両突入事件が起きた。中国共産党政府は事件を「テロ事件」と断定し、ウイグル族への弾圧を強めた。この事件をきっかけに、天安門事件の写真がネット上で広く閲覧されるようになった。それによって改めて事件の残虐さが注目された。





 天安門事件当時、欧米や香港等の新聞・雑誌・書籍が事件を報じる写真を掲載した。下記のページは、多くの写真とその出典を掲載している。出典には、「タイム」「ニューズウイーク」「ロサンゼルス・タイムズ」等、著名な媒体もある。やはり残虐な写真が多く閲覧には注意されたい。
http://www.cnd.org/HYPLAN/yawei/june4th/
 中国の人民解放軍は、人民のための軍隊でも国家のための軍隊でもない。共産党のための軍隊である。共産党軍は国民党軍との内戦を通じて権力を獲得した。もともと同胞に銃を向け、殺戮してきた軍隊である。
 天安門事件後、中国共産党政府はこの事件の真実を隠すことで、政権の維持を図った。 それまで中国共産党は、「人民のための人民の政権」という論拠で中国を支配してきた。しかし、天安門事件で多数の学生・市民を虐殺したことによって、人民の信頼を失い、「正統性の危機」に直面した。そこで鄧小平と江沢民は、共産主義に代わる国民統合の思想として愛国主義を打ち出し、民衆の不満を日本に向けるため、反日教育を推進した。愛国主義・反日教育は、天安門事件を隠すために考え出されたものである。中国共産党が日本帝国主義に勝利したという虚偽の歴史を作り上げ、中国共産党の正統性を強調し、共産党の独裁が必要という思想を民衆に吹き込んだ。また、1992年(平成4年)、鄧小平が南巡講話を発表し、本格的な市場経済への移行を断行した。高度経済成長のもたらす繁栄は、共産党の一党独裁に新たな正統性の根拠を与え、政権安定の基盤をつくった。
 ところが、一党独裁と市場経済の矛盾を抱えたままの経済成長は、腐敗の蔓延、貧富の差の拡大、農村の疲弊等を生み出し、2011年(平成23年)には、暴動・騒動事件の発生件数が18万件を超えたと伝えられた。これは毎日全国どこかで約500件が発生している計算になる。暴動の内容も警察の車両や地方庁舎を襲撃する暴動が続発している。習政権になって、爆破事件が続くなど、行動は激化している。背景には、中国経済の悪化がある。多くの農民が土地を失い、大学生は深刻な就職難に苦しみ、住民は環境汚染で生活に不安を持っている。これに対し、習政権は、統制を強化することで延命を図っている。
 昨年3月11日に中国では、憲法が改正され、それまで2期10年までとされてきた国家主席(元首)の任期が撤廃され、習近平主席に権力が集中する体制が強化された。これによって、長期独裁政権となる可能性が出ており、個人崇拝の傾向が目立ってきている。
 米国のトランプ政権は、中国との対決姿勢を強め、知的財産権の侵害を理由に昨年7月から、中国製品に追加関税をかけている。これに対し、中国は米国製品に報復関税を課し、米中貿易戦争が繰り広がれている。本年5月10日には、トランプ政権は、中国からの輸入品2000億ドル(約22兆円)相当に対する追加関税を25%に引き上げた。中国は、これに対抗するために、世界の生産量の約8割を占めるレアアースを、カードに使うことをちらつかせている。
 石氏は、米中貿易戦争において、習主席が「大幅譲歩」を決断して米中の合意が成立した場合、「喪権辱国」の政治的責任と歴史の汚名は全部、習主席身が背負うことになると指摘する。協議が決裂して貿易戦争が継続された場合も、中国経済がさらなる大不況に陥ると、経済運営の最高責任者でもある習主席にはその責任から逃れる道はないとも指摘している。
 こうした中で、中国は天安門事件30年を迎えた。中国国内では、事件の真相は国民に知らされていない。インターネットでは、事件にかかわる情報は、一切検索されないように、厳しい統制が敷かれている。共産党政府は、江沢民のもと反日愛国主義の教育を行なった。国民は、日本への憎悪と敵愾心をたきつけられている。特に若い世代がそうである。習政権が行き詰まった場合、増大する国民の不満をそらすために、中国政府が一段とファッショ化し、対外的に強硬な行動を行う可能性がある。その矛先は、台湾やわが国の尖閣諸島に向けられている。
 わが国及び日本人は、そのことを警戒し、しっかり備えをしておくべきである。防衛政策を強化し、しっかりと国益及び領土・領海を守るための備えをしなければならない。
コメント   この記事についてブログを書く
« キリスト教207~大戦後の... | トップ | アイヌ施策推進法13~政治... »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

国際関係」カテゴリの最新記事