ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
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サンフランシスコ市議会で慰安婦像等設置決議案が採択

2015-10-02 09:21:14 | 慰安婦
 9月22日米国サンフランシスコ市議会で、慰安婦碑または像の設置を支持する決議案の採決が行われ、全会一致で採択された。これまでのようなほとんど名前も知られていない地方都市ではなく、国際的に有名な観光都市における決議ゆえ、影響は甚大である。
 決議案は今年7月、市議11人のうち8人が共同提案した。今月17日、委員会審議と公聴会を前に韓国から訪米した元慰安婦が表彰され、決議案採択のムードが造られた。 決議案は慰安婦を「日本軍によって拉致され、性的奴隷の扱いを強要された20万人のアジアの少女や女性」と説明している。決議案の文章や文言の修正を行うことを市議らが確認した上で採択された。当初決議案には、日系人や在米日本人の中から反対意見が出たため、修正決議では世界で続く人身売買を批判する文言を盛り込み、批判の対象を広げるものとするらしい。
 サンフランシスコで慰安婦像または碑を設置する動きを主導的に進めているのは、韓国系団体ではなく中国系団体である。背後には、中国共産党がある。9月3日中国共産党は「抗日戦争勝利70周年」の記念行事を大々的に行った。この抗日宣伝活動の一環として、サンフランシスコ市の中華街では8月に、中国国外初の「海外抗日戦争記念館」がオープンした。これに続いて、慰安婦像または碑の設置支持の決議案が採択され、中国系は攻勢を強めている。
 慰安婦像の設置までには、市の委員会の承諾を得るなどいくつかの手続きが必要になるが、公共スペースへの設置が企図されており、中華街の「ポーツマス広場」、ホロコースト記念碑のあるリッチモンドの「リンカーン公園」などが候補地に挙がっているという。今回の決議案採択で、設置の動きが加速されるだろう。
 今回の決議案の採択を阻止するため、現地の日本人・日系人が懸命に活動した。日本国政府は、その人たちの苦労を深く受け留め、これまでの安易・柔弱にすぎる姿勢を抜本的に改めなければいけない。
 次に、サンフランシスコ市議会に関する米良浩一氏の報告を紹介する。米良氏は、「歴史の真実を求める世界連合会(Alliance for HistoricalTruth:GAHT)」の共同代表で、元ハーバード大学助教授・筑波大学教授である。
https://www.facebook.com/koichi.mera
 もとの報告はフェイスブックに掲載された英語とその和訳による文章だが、当ブログでは、和訳の部分のみを掲載する。

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9月17日行われたサンフランシスコ市の記念碑設置を推進するを委員会に行ってきました。この件について、報告します(略)

9月17日のサンフランシスコ市議会委員会への参加者からの報告
Report on the San Francisco City Committee Meeting on Building a Comfort Women Memorial on September 17, 2015

GAHT-US代表 目良浩一
Koichi Mera, Ph. D. President, GAHT-US Corporation

サンフランシスコ市議会は、7月21日の審議の結果、慰安婦記念碑の建設の案件は、エリック・マー市議会議員が委員長である委員会の審議に託して、そこで承認されたならば、全体の市議会にかけて、決定することになった。そこで、9月17日にその委員会が開かれることになり、筆者はその会議に出席した。以下は、その日の会議の模様である。

前から知らされていたことではあるが、この会議に韓国から元慰安婦であったとするイ・ヨンス女史が入室してきた。彼女は2007年に米国の下院で、日本非難の決議案が上程された時に、一時間以上演説をした女性である。車椅子で入室したが、その後は最前列の椅子に着席した。マー委員長は、まずこの記念碑を建設することの意義と重要性を長々と説明し、日本軍がいかに悪事を大々的に働いたか、その典型的なのが、朝鮮の婦女子の性奴隷化であるとした。そして、そのような逆境にも拘わらず、今まで強い意志をもって生き延びてきた闘士であるとして、イ・ヨンス女史を紹介した。そこで、彼女は10分近く流暢に話し、拍手を浴びた。話し終えると彼女は、頭上に手で丸を作り、カメラマンたちのフラッシュに笑顔で答えた。

それから参加者の意思の表明が各人2分間のみという条件で始まった。最初の方は、委員長の指名で、委員長になじみのある人が続けて提案を支持する発言をした。15人目位にイグナシアス・ディングが、発言した。彼は、4月に安倍総理が訪米した際に、総理が「戦時中に人身売買(human trafficking) があり女性が犠牲になったことに胸が痛む」と語ったことを引用して、日本政府は慰安婦問題で日本が悪事を働いたことを認めていると宣言した。安倍総理は、日本軍が行ったとは言っていないのであるが、彼はそう解釈したのである。

その数人後で、私の名前が呼ばれた。その直前は、やはりロスアンジェルスから来た日本の女性で、力強く韓国や日本でなくて、米国に建てられることの非合理性を指摘した。そのあとで、私は、そこで言われている慰安婦説が、史実に沿わないことを説いた。第一に、20万人説が、虚偽であること、第二に、強制連行があったとすることが真実でないこと、更に彼らが性奴隷であったことが真実でないと述べた。更に、具体例をあげますとして、「本日ここで証言されたイ・ヨンスさんは、サンフランシスコ州立大学の人類学教授、C. サラ・ソー氏の2008年の『慰安婦』と称する図書によりますと、ある日の早朝に友だちと共に家をこっそり出て、慰安婦の斡旋員のところへ行き、」と述べた時に議長のマー氏が制止した。

マー氏: イさんは、そんなことは言っていない。君は、彼女が嘘つきだというのか。
目良: 最後まで言わしてください。
マー氏: 彼女はそんなことは言っていない。
目良: 私は、彼女が言ったことを繰り返すことはしません。この本に書いてあることを述べているのです。この本を読んでください。続けます。
「そこで赤いドレスと革靴をもらって大いに喜んだ」とあります。これがこの本に書いてあることです。
さて、この件の一般的な性格について疑問を述べます。慰安婦問題は人権問題であると言われています。しかし、慰安婦像の推進者は、このような絵を掲げています。これはグレンデールの際に取った写真ですが、このような活動で人権は守れるのでしょうか。以上です。

その後、数多くの人々が意見を述べた。反対派の中には、ソー教授の図書に言及して、イ・ヨンス氏の証言に疑問を呈した人が二人いた。記録によると賛成の意見を述べたのが50人、反対の意見を述べたのが29人であったとされている。今回は、7月21日の時とは異なり、サンフランシスコに居住している日本人とその配偶者による反対意見がかなり出された。これらの人には、以前にはほとんど情報が伝達されていなく、やっと最近になって情報が与えられて、目覚めた方が多いようであった。

しかし、注目すべきは、中国系の人たちの統率力である。彼らは、韓国系の人たちと協力して、統制のとれた動きを示していた。賛成派の多くは黒の地に黄色い蝶の図案が入ったTシャツを着て、指揮者の指示に従って動いていた。その中には、日系のアメリカ人もかなり加わっていて、日中韓が共同して、慰安婦の記念碑設置に動いているとする印象を与えるように画策されていた。日本名を名乗りながら、設置賛成意見を展開するのを聞くのはかなり不愉快であった。その典型例は、キャッシー・マサオカであった。グレンデールでも賛成意見を述べた女性である。

参加者による意見の表明は4時間近く続いたが(私は時間の都合で途中退席したが)、それが終了した際に、本人の証言が目前で否定されたイ女史を不憫に思った議員の一人、カンポス氏が、彼女の証言に深刻な疑問を投げかけた人々に対して、発言を始めた。「この聴衆の中に史実を否定する人が幾人かいた。私は、彼女に対して偉大な愛と敬意をもって、次のように声明をする。恥を知れ、恥を知れ、実際に起こったことを否定することの恥を知れ、恥を知れ、女性に対する個人的な攻撃をする恥を知れ」と叫び、イ女史を抱擁し、彼女の頬に口づけをした。それで、賛成派の意気は最高に達した。提案は、修正案を退け、原案のまま承認された。

委員会での承認を受けて、提案は9月22日の定例本会議で承認されることになるであろうが、この委員会に出席した経験は、慰安婦碑の設立に対して反対している我々に幾つかの教訓を与えてくれた。
第一には、人口の60%が中国系であると言われているサンフランシスコで、組織化された中国系の人々と戦うことの困難さである。第二には、真実がどうであろうと、目的に向かって突進する市議会議員を説得することの困難さであり、第三は、反対運動を成功させるためには、かなりの組織力が必要であることを痛感した。
その結果、法的な解決方法が残された道になることを確信した。其れでも尚且つ、一般の人々の慰安婦に対する理解を深めることによって、判事の決定に影響を与えることができるであろう。そして、今我々が戦っている方法こそ与えられた条件の中では最善のものであると思う。
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 最後の教訓の部分が重要である。米国全体への一般化を試みると、第一に、組織化された中国系と戦うことの困難さ。第二には、真実がどうであろうと、目的に向かって突進する市議会議員を説得することの困難さ。第三は、反対運動を成功させるためには、かなりの組織力が必要であること。そして、市議会で決議案を阻止できない場合、残るのは法的な解決方法となる。私見を加えると、米国の司法の場で争うには、何を法的根拠として訴えるか、いかにして陪審員の理解を得るかがポイントになるだろう。
 日本国政府は、これまでの姿勢を改めて、米国等での中主韓従の慰安婦像碑設置運動を押し返すべく強力な体制を作って、外交的にも司法的にも積極的に取り組まねばならない。そうしないと、日本の名誉の回復と現地日本人・日系人の安心は、決して得られない。

関連掲示
・拙稿「カナダ、豪州、米国・加州で慰安婦の像・碑の設置が阻止」
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/6d3e0a917da79e51ea126f09852d498c
・拙稿「慰安婦問題:オーストラリアで慰安婦像設置計画を阻止」
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/6667959a8c9044289d86679932801c07
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/d9bf789ec22a3e0df4ebbc3eb291bfaf
・拙稿「慰安婦問題:「史実を世界に発信する会」が英文冊子を送付」
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/af8906ad6ac06aa71802ccecbb4f4063
・拙稿「慰安婦問題は、虚偽と誤解に満ちている」
http://www.ab.auone-net.jp/~khosoau/opinion12f.htm
・拙稿「韓国の反日的な慰安婦戦略は破綻する」
http://www.ab.auone-net.jp/~khosoau/opinion12q.htm

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