ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

北朝鮮の分析・予想3

2011-12-26 08:42:15 | 国際関係
 次に、北朝鮮による国際社会への動き、及び北朝鮮に対する国際社会の行動に関する発言を記しておく。

●西岡力氏(東京基督教大学教授) 産経新聞 平成23年12月23日
http://sankei.jp.msn.com/world/news/111223/kor11122303030001-n1.htm
 「1994年の金日成氏死後、北朝鮮は核問題などで融和姿勢を装い、だまされた日米韓は大量の食糧と重油などを支援した。金正恩氏の後継体制が安定するには、住民らに配る食糧がどうしても必要だから、同じ詐欺的政策に出てくる可能性は高い。
 日本にとって、拉致命令を下した帳本人の金正日氏の死は、人質を取って立てこもるテロ集団の首謀者が逮捕されないまま病死し、息子が首謀者を継いだに等しく、人質全員解放という譲れない課題が進展したことにはならない。
 したがって、金正恩体制が口で何を言おうと、こちらから先に制裁を緩めたり支援をしたりしてはならない。彼らが、被害者を返すという具体的行動を取るまで圧力を継続し、父親による悪事を認めざる得ないところまで、息子を追い込むほかない。従来の方針を変える必要は全くないのである」

●倉田秀也氏(防衛大学校教授) 産経新聞 平成23年12月21日「正論」
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111221/plc11122103120003-n1.htm
 「軍強硬派が『金正恩体制」の確立を焦って再び軍事攻勢に出た場合、金正日氏という重石が取れた北朝鮮が、対米協議などを目指して軍事攻勢から平和攻勢に転じてくる保証、暴走だけはしないという保証はないのである」

●マーク・フィッツパトリック氏(英国のシンクタンク国際戦略研究所(IISS)核不拡散部長) 産経新聞 平成23年12月21日「私はこう見る 金総書記死去」
 ※紙面から引用
 「中国は北朝鮮を思うように動かせるとも北朝鮮が無秩序状態に陥るとも考えていないが、もし体制が崩壊すれば軍隊を派遣してでも秩序維持に努めるだろう。万が一の場合、中国は正恩氏に代わるカードとして金総書記の長男、金正男氏をマカオに抱えている」
 「米国や韓国は北朝鮮によるウラン濃縮活動の即時停止を6か月協議再開の条件にしており、北朝鮮は強硬手段として来年4月以降に3回目の核実験を行う可能性がある。中距離弾道ミサイルも試射するだろう。金総書記なら軍に『待て』ということができたたが、軍が核実験を行うと決断した場合、正恩氏に止めるだけの力はまだない。また、正恩氏が強さを見せるため、領有権問題が存在する海域などで韓国に対し軍事的挑発行動を起こす恐れは十分にある」

●小此木政夫氏(九州大特任教授) 毎日新聞 平成23年12月20日号
http://mainichi.jp/select/world/archive/news/2011/12/20/20111220ddm010030040000c.html
 「米韓側のやり方によって、北の出方はずいぶん変わるが、可能性として高いのは父親がやったやり方だろう。それは米国との関係を改善するために6カ国協議を再開させる。そして、中国の支援をうけながら、ある意味では、中国の被保護国となってもやむを得ないというような形で経済的な形で支援を受けながら、自分の体制作りを優先させていくと思う。最も注目するのは年明けあたりで6カ国協議が本当に再開されるのか。再開されれば本当にその方向に向かうという一つの証拠になるわけで、そういかなければ武力挑発も警戒しないといけない。危機管理のシナリオを考えないといけない」

●李鍾元氏(立教大教授) 毎日新聞 平成23年12月20日号
http://mainichi.jp/select/world/archive/news/2011/12/20/20111220ddm010030040000c.html
 「核、ミサイル、拉致問題という懸案を6カ国協議の枠組みで総合的に解決することが北朝鮮の体制立て直しにもプラスになる。関係国はそれを具体的に示すことで、後継体制の行方に中長期的に影響を与えることができると思う。だが、その能力が日米韓3カ国の政権にあるかどうかは疑問だ。韓国と米国は選挙を控える。来年はさらに情勢の不透明感が高まるだろう」

●岡崎久彦氏(元駐タイ大使) 産経新聞 平成23年12月22日産経新聞「正論」
http://sankei.jp.msn.com/world/news/111222/kor11122202480001-n1.htm
 「最近の東アジアにおける『対中統一戦線」の結成という情勢の下で、中国の戦略家が将来の米中対決を視野の一部に入れていることは間違いない。その場合、中朝国境を流れる鴨緑江まで米韓の勢力が及ぶことは中国としては避けたいであろう。そうなると、中国は国際的に評判の悪い北朝鮮との親密化に躊躇(ちゅうちょ)は感じつつも、北朝鮮に対する影響力確保は、国家戦略上の要請となってくる。
 筆者の個人的感触としては、将来、北朝鮮が崩壊するような場合に、中国は、核施設の安全確保、あるいは難民の流入阻止などの口実はあろうが、北朝鮮の少なくとも北部は占領してなかなか引かないのではないかと感じている。中朝の戦略的一体化の状況は進んでいると考えざるを得ない」
(了)

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