ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

インド8~ヴィシュヌ宗とシヴァ宗

2019-10-13 10:01:31 | 心と宗教
◆シヴァ
 ヴィシュヌがヴェーダの太陽神であったのに対し、シヴァは非アーリヤ民族に起源があると見られる。
 インダス文明の古代都市で発見された印章の中に、シヴァの原型ではないかと思われる像が刻まれている。家畜や野獣に囲まれて座る神が描かれたものである。その座法は、インド古来の修行法であるヨーガの座り方をしている。シヴァはヨーガや苦行の概念と密接に関係する神であり、インドでは「ヨーガの王」とか「家畜の王」などと呼ばれる。
 インダス文明の遺跡からは、石製の男根も出土している。これは、男根崇拝を表すものと見られる。男根は、生命力や生殖力の象徴として、世界の各地で崇拝の対象となっている。インドでは男根はリンガといい、リンガはシヴァの象徴となっている。
 このようにシヴァのもとは非アーリヤ的なものであり、いわば原シヴァ神とでもいうべきものがアーリヤ系の神ルドラと同一視されて、ヒンドゥー教の最高神となったと考えられる。
 ルドラは、『リグ・ヴェーダ』の暴風神であり、激しい破壊をもたらす恐るべき神である。シヴァは、このルドラと同定され、世界の破壊を司る神とされた。シヴァは一切を破壊する時間の神として、マハーカーラの別名を持つ。マハーは「大いなる」、カーラは「黒、暗黒、時間」を意味し、世界を破壊するときに恐ろしい黒い姿で現れる。マハーカーラは、シナで大黒天と漢訳され、わが国では七福神の一つになった。こうしたシヴァはまた死の神とも同一視されている。世界の破壊は世界の死であり、時間の終わりはすべての死だからだろう。
 シヴァは、恐ろしい神である反面に、慈悲深い神という性格も持っている。シヴァという言葉は「幸福な」「繁栄する」とか「吉祥」を意味する。シヴァは「憐れみ深い者」「恩恵を授ける者」と伝統的に解釈されている。シヴァは破壊する神でありながら、同時に豊穣の神、生命の神、生殖の神でもある。この後者の性格は、シヴァが男根崇拝に根差すことによっている。シヴァは、リンガの形で現わされたり、男女両性が一つの身体に結合した姿で現されたりする。こうした相反する側面を持ったシヴァが、ヴィシュヌと並んで多くの民衆の信仰対象となっている。
 シヴァは、また「三つの目をもつ者」とも呼ばれる。左右の両眼以外に、第三の目を持っているのである。牡牛のナンディンを乗り物とし、虎の皮をまとい、首にコブラを巻く姿で描かれる。

◆ヴィシュヌ宗とシヴァ宗
 わが国では、ヴィシュヌを最高神・主宰神とする人々の集団をヴィシュヌ教またはヴィシュヌ派と呼び、シヴァを同様とする人々の集団をシヴァ教またはシヴァ派と呼ぶ。ヴィシュヌ教、シヴァ教という場合、別々の宗教があるわけではなく、ヒンドゥー教の中の宗派にあたる集団である。ヴィシュヌ派、シヴァ派と呼ぶ場合、それぞれの派の下にある集団をも派と呼ぶと、階層の差が表れない。
 日本の仏教では、例えば真言宗豊山派、曹洞宗永平寺派などのように、仏教の下に○○宗があり、そのさらに下に△△派があるという分類をする。本稿は、この例にならって、<教-宗―派>と階層化とし、ヒンドゥー教の下にヴィシュヌ宗、シヴァ宗があり、その下に様々な派があるとする。ヴィシュヌ教徒はヴィシュヌ宗徒、シヴァ教徒はシヴァ宗徒と呼ぶ。ただし、文脈によっては宗派という用語も使う。宗派といっても、ヒンドゥー教では、キリスト教の教派や仏教の宗派ほど明確な意味を持たない。便宜的な分類のために用いるものである。
 さて、ヴィシュヌ宗徒は、ヴィシュヌが世界の創造・維持・破壊を司る主宰神とし、シヴァはヴィシュヌから開展したものであるとみなす。一方、シヴァ宗徒は、シヴァこそが世界の創造・維持・破壊を司る主宰神とし、ヴィシュヌをシヴァから開展したものとする。ヴィシュヌ宗徒の間ではシヴァは崇拝されない。だが、シヴァ宗徒の間ではヴィシュヌも崇拝の対象とされる。このように、ヴィシュヌ宗とシヴァ宗には違いがあるが、ヴィシュヌとシヴァは同一神の別名にほかならないという主張もある。この主張は、ヒンドゥー教徒は神々の背後に唯一絶対の原理が存在することを認めることによっている。

◆ブラフマー神
 ブラフマンの項目で神ブラフマーについて触れたが、ブラフマーは『ウパニシャッド』以来、宇宙の根本原理とされるブラフマンを擬人化・神格化したものである。世界創造の神である男性神であり、水鳥ハンサに乗った老人の姿で表される。仏教に採り入れられ、シナでは梵天と訳された。梵という名の神を意味する。
 ブラフマーは、ヴィシュヌ、シヴァとともにヒンドゥー教の主要な三つの神格の一つに数えられる。ヒンドゥー教は、ヴェーダの神々の体系を脱して、これらの三神を中心に発達してきた。

 次回に続く。

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