ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
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インド22~カースト制の由来・身分

2019-11-15 09:34:22 | 移民
◆由来

 アーリヤ人は、インドに侵入して先住民族を征服する過程で、先住民族をダーサ(悪魔)、ダスユ(魔族)と呼んで敵視し、また蔑視した。征服によって支配―被支配関係が固定すると、ダーサという語は「隷属する者」を意味するようになった。アーリヤ人は肌が白く、先住民族は肌が黒い。アーリヤ人は、肌の色の異なる被支配民族を隷属させ、彼らの身分制度に組み込んだ。そのため、支配者と被支配者の違いは、そのまま肌の色の違いともなった。支配民族の中では、バラモン(祭官)とクシャトリヤ(王族、戦士)が上層を成し、ヴァイシャ(庶民)が下層を成す。これら三つの身分は、肌が白い。これに対し、彼らに隷属する被支配民族は、シュードラ(隷民)と呼ばれ、肌が黒い。上位三つの身分と下位の身分とは、肌の色によって峻別される。そして、ヴァルナすなわち「色」「肌の色」を意味する語が、身分を表す語となった。こうしてできた身分制度が、ヴァルナ制である。これが、カースト制の原型となった。
 『リグ・ヴェーダ』には、ヴァルナ制に関わる神話がある。原人プルシャを犠牲とする祭儀が行われたとき、プルシャの口からバラモン、腕からクシャトリヤ、腿からヴァイシャ、足からシュードラが生まれたとするものである。身分の上下関係と身体の部位・機能とが関連付けられている。
 ヴァルナ制の成立は、後期ヴェーダ時代の半ば、前8世紀頃とされる。もともとアーリヤ人と非アーリヤ人を肌の色で区別するための用語だったヴァルナは、民族間の混淆が進むと、本来の語義が薄れ、種姓を表す語になった。ヴァルナ制は、輪廻の思想、カルマンとその法則、穢れの観念と結びついて、インド人の社会と生活を規定するものとなった。
 四つのヴァルナは、やがて様々な身分的・職能的な集団に細分化されていった。前6世紀頃から、貨幣経済が発達し始め、社会や経済のしくみが複雑になっていった。ヴァルナの枠組みの中で、職業の分業化が進み、世襲的な専業集団が発達した。この集団が、ジャーティである。  
 ジャーティの原義である「生まれ」「出生」によって、どの身分・職業に就くかが先天的に決められることになった。ジャーティは、生まれによる血縁的な集団であり、かつ職業・婚姻・食卓を共にし得る身分的かつ職能的な集団である。これが、カースト制の基礎となる共同体の単位となっている。ジャーティは、今日3~4,000程あるといわれる。それらのジャーティの中には、民族や部族、宗教が規定的な集団も存在する。
 このように、カースト制は、肌の色が異なる民族間の征服によって形成されたというインド社会の多民族性に起因する。この人種的・民族的要因に、社会の発展とともに経済的・社会的要因が加わって、複雑な制度となったものである。人種的・民族的側面を表すのがヴァルナであり、経済的・社会的側面を表すのがジャーティである。それゆえ、カースト制は、ヴァルナだけでもなく、またジャーティだけでもなく、ヴァルナとジャーティによって構成される制度である。

◆身分

・バラモン
 バラモン(祭官)は、聖典の言葉に内在する不思議な霊力、神秘力を意味するブラフマンを備えているとされる身分である。ヴェーダの宗教では、バラモンは宗教的指導者の集団として、祭儀・教学を独占した。ヴェーダに精通する学識あるバラモンは、神々を動かし、自然界を支配する能力を持つとされ、「人間である神」として尊崇された。
 世界各地の古代社会では、族長や国王が政治的権力と宗教的権威を併せ持ち、社会の中心となっていた。僧侶や神官が専門的な職業となっても、それらは王に服従する者たちだった。だが、インドでは非常に古い時代からバラモンが王より上位に立ち、政治的な権力が宗教的な権威に従属する体制となった。
 これが伝統として継承され、ヒンドゥー教においても、バラモンは社会の最上層を占めている。ヒンドゥー教徒の生活はすべて宗教儀礼と結びついている。その儀礼を司るバラモンは特別な存在とされているのである。

・クシャトリヤ
 クシャトリヤは、軍事力や政治力を持つ身分である。「王族」「戦士」などと訳される。釈迦族の王子で仏教の開祖となったゴータマ・シッダールタ、『バガヴァッド・ギーター』でクリシュナから教えを受ける戦士アルジュナは、クシャトリヤである。

・ヴァイシャ
 ヴァイシャは、生産活動に従事する身分である。「庶民」と訳す。もともと農業、牧畜業、商業に就く者のことだったが、分業の発達と産業の多様化によって、手工業や製造業等へと職業の範囲が広がった。さらに、後には主として商業を行う者を指すようになった。

・シュードラ
 シュードラは、被征服民族が一つの身分になったものである。「隷民」「従僕」「労働者」などと訳す。古代には、人々が忌避する職業にしか就けなかった。だが、中世以降、ヴァイシャに替わって、農牧業・手工業等の肉体労働に従事する者を指すようになった。

 次回に続く。

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