ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
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改正入管法は将来に禍根を残した~櫻井よしこ氏

2018-12-17 11:43:25 | 時事
 入管法の改正案が国会で審議されていた12月3日、櫻井よしこ氏が理事長を務める国家基本問題研究所は、緊急政策提言を出しました。一般永住の急増を止めるため、入管法改正案の付帯決議に「入管法22条の厳格な運用」という文言を入れることを提言したものです。
https://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/8943855d1a3c9b46d8ad63fe70bb7290
 参議院法務委員会で12月8日に採択された付帯決議には、「政府は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである」として、「十 近年の我が国の在留外国人数の増加を踏まえ、在留外国人からの永住許可申請に対しては、出入国管理及び難民認定法第二十二条第二項の要件の適合性について、厳格に審査を行うこと」と盛り込まれました。
http://www.sangiin.go.jp/japanese/gianjoho/ketsugi/197/f065_120801.pdf
 この決議を受けて、政府がどの程度、一般永住の急増を抑えるかどうか、しっかり見守っていかねばならないと思います。
 さて、櫻井氏は、改正入管法について、非常に重要な意見を述べています。櫻井氏は、2017年末で一般永住者が75万人いて、その3分の1となる25万人 が中国人であることを指摘し、次のように書いています。
 「一般永住者は日本人と同等の権利を与えられた外国人と考えてよい。滞在期間は無制限で、配偶者や子供にも在留資格が与えられる。活動も日本国民同様、何ら制限もない。彼らが朝鮮総連のような祖国に忠 誠を誓う政治組織を作ることも現行法では合法だ。
 他方中国政府は10年に国防動員法を制定し、緊急時には海外在住の中国国 民にも国家有事の動員に応ずることを義務づけた。仮に、日中両国が紛争状態に陥った時、在日中国人が自衛隊や米軍の活動を妨害するために後方 を攪乱する任務に就くことも十分に考えられる」と。
 以下は、櫻井氏の記事の全文

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20181212
◇「将来に禍根残しかねない入管法改正案」櫻井よしこ

 安倍晋三首相も自民党も一体どうしたのか。まるで無責任な野党と同じで はないか。
 外国人労働者受け入れを大幅に拡大する出入国管理法改正案についての国 会論戦を聞いていると、普段は無責任な野党の方がまともに見える。それ 程、自民・公明の政権与党はおかしい。
 11月2日の閣議決定に至るまで、同法について自民党の部会で激しい議論 が何日間も続き、発言者の9割が法案に強く反対した。しかし結局、外国 人労働者の受け入れを大枠で了承し、法律の詳細は省令で決定するという 異例の決着を見た。
 深刻な人手不足ゆえに倒産が相ついでいるといわれる建設業界や介護業界 の悲鳴のような要請を無視できないという事情はあるにしても、この法改 正は将来に深刻な禍根を残しかねない。
 今回の改正で受け入れる外国人の資格として「特定技能1号」と「2号」が 設けられ、「1号」の労働者の「技能水準」は「相当程度の知識又は経験 を必要とする技能」とされた。「2号」の労働者の技能水準は「熟練した 技能」とされた。
 前者の「相当程度」とはどんな程度なのか。後者の「熟練」とはどの程度 か。いずれも定義されていない。
 眼前の人手不足解消のために何が何でも外国人を入れたいという姿勢が見 てとれる。あえていえば政府案は外国人の野放図な受け入れ策でしかない。
 外国人は単なる労働者ではない。誇りも独自の文化も家族もある人間だ。 いったん来日して3年、5年と住む内に、安定した日本に永住したくなり、 家族を呼び寄せたくなる人がふえるのは目に見えている。その時彼らが機械的に日本を去るとは思えない。すると日本社会にどんな影響が出るだろ うか。欧州諸国は移民を入れすぎて失敗した。政府は今回の受け入れは移 民政策ではないと繰り返すが、5年間で最大34万人とみられる労働者が事 実上の移民にならないという保証はない。
 日本にはすでに258万人の外国人が住んでいるのである。その中で目立つ のは留学生の急増だ。2013年末に19万人だったのが17年末までの4年間に 31万人にふえた。技能実習生は16万人から27万人に、一般永住者は66万人 から75万人にふえた。
 日本には特別永住者と一般永住者の2種類がある。前者は戦前日本の統治 下にあった朝鮮半島や台湾の人々、その子孫に与えられている地位であ る。彼らは日本に帰化したり日本人と結婚したりで、日本への同化が進 み、その数はこの4年間で37万人から33万人に減少した。
 問題は一般永住者である。シンクタンク「国家基本問題研究所」研究員の 西岡力氏の調査によると、17年末で75万人の一般永住者の3分の1、25万人 が中国人だ。一般永住者は日本人と同等の権利を与えられた外国人と考え てよい。滞在期間は無制限で、配偶者や子供にも在留資格が与えられる。 活動も日本国民同様、何ら制限もない。彼らが朝鮮総連のような祖国に忠 誠を誓う政治組織を作ることも現行法では合法だ。
 他方中国政府は10年に国防動員法を制定し、緊急時には海外在住の中国国 民にも国家有事の動員に応ずることを義務づけた。仮に、日中両国が紛争状態に陥った時、在日中国人が自衛隊や米軍の活動を妨害するために後方 を攪乱する任務に就くことも十分に考えられる。
 一般永住資格はかつて日本に20年間居住していなければ与えられなかった が、98年に国会審議もなしに、法務省がガイドラインで「原則10年以上の 居住」に緩和した。その結果、20年間で9万人から75万人へと、8倍以上に ふえた。今回の外国人労働者の扱いだけでなく、一般永住者の資格も含め て日本国として外国人政策の全体像を見直す時であろう。
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