ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
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改憲論21~第9条と自衛隊に関する意見の整理

2018-06-08 09:25:15 | 憲法
7.第9条と自衛隊に関する意見の整理

 憲法第9条に関して、自衛隊は合憲か違憲か、改正に賛成か反対かをめぐって、いろいろな意見がある。私は、平成30年3月7日の時点でそれらを次のように整理してみた。

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<A 自衛隊は合憲である>

A1 9条改正の必要はない、今のままの最小限度の実力組織で良い〔公明党の現在の考え〕

A2 憲法上の根拠が弱いので、改正して根拠を明確にする
(1)最小限度の実力組織で良い
ア 1項、2項はそのままで3項に自衛隊を明記する〔安倍首相案〕
イ 1項、2項はそのままで3項に自衛権を明記する〔青山繁晴氏らの案〕
ウ 1項、2項はそのままで、9条の二に自衛隊を明記する〔西修氏の案〕
(2)戦力または軍隊とする
ア 1項、2項はそのままで3項に自衛隊(軍隊)を明記する〔篠田英朗氏の案〕
イ 1項はそのまま、2項を削除して改正する
ウ 1項を改正して放棄したのは侵攻戦争のみとし、2項を削除して改正する〔石破茂氏の案、名称は自衛隊〕
エ イのうえで9条の二等を加える〔自民党H24年草案、名称は国防軍。細川の案、名称は国軍、国防の義務を規定〕

<B 自衛隊は違憲である>

B1 解散しなければならない。非武装中立とする。〔旧社会党左派等の案〕

B2 改憲して、合憲にしなければならない
(1)最小限度の実力組織で良い
ア 1項はそのまま、2項を削除して改正し、自衛隊を明記する
イ 1項を改正して放棄したのは侵攻戦争のみとし、2項を削除して改正し、自衛隊を明記する
(2)戦力または軍隊とする
ア 1項はそのまま、2項を削除して改正する
イ 1項を改正して放棄したのは侵攻戦争のみとし、2項を削除して改正する〔高乗正臣氏の案、名称は国軍〕
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 論理的にはさらにバリエーションがあり得るが、実際にある主な意見として、このように整理してみた。
 当時(30年3月7日現在)、自民党内で議論されていたのは、A2の(1)ア、イ、(2)ウの3つの案を中心とするものだった。B2の(2)イは、左翼ではなく、保守派の憲法学者の案である点が注目される。
 自衛隊を合憲とするか違憲とするかは、第9条をどう解釈するかによって分かれる。また、1項をすべての戦争を放棄したものと取るか、侵攻戦争のみを放棄したものと取るかによって、1項の改正の要否が分かれる。
 こうした状況で9条改正を目指すには、まず改正派の中で多数意見を形成しなければならない。そのために民主的な議論を積み重ねる努力が必要である。

 次回に続く。