ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

日本の外交・安全保障と憲法改正2

2015-02-04 08:48:01 | 憲法
 先ほど尖閣の話をしたが、最近、中国は沖縄より尖閣諸島に100キロ近い浙江省温州市沖の南キ列島に新軍事基地を建設している。大型レーダー2台、超高速の通信情報網を設置、ヘリポート、軍用機の滑走路の建設等を進め、今年中に完成予定と伝えられる。中国は本気である。尖閣を奪取したら、次に沖縄を狙う。沖縄を押さえられたら、わが国は窮地に陥る。
 その沖縄では、サンゴ密漁船の来襲の最中、昨年11月16日に知事選が行われ、親中派で辺野古移転反対の翁長雄志氏が当選した。政府は計画どおり普天間基地から辺野古への移設を推進するだろうが、工期の遅れや反対運動の激化が予想される。日米関係にも深刻な影響が出る。
 中国は沖縄を中国の属地にすれば、米軍基地を追い出すことができる。その次に狙うのは日本の属国化である。だから、尖閣を守ることは、沖縄を、そして日本を守ることになる。日本人は国防の重要性を理解し、西南の守りを固める必要がある。
 平成19年末から翌年にかけて、中国で作られたこの2050年の東アジアを予想する地図が話題になった。日本の西半分は「東海省」、東半分は「日本自治区」と書かれている。愛知県・岐阜県・石川県より西か東かで分けている。この地図は、中国に駐在していた経産省の官僚が、中国外務省の役人から渡されたものである。



 その官僚から地図を見せられた国際政治経済学者の浜田和幸氏が世に伝えた。浜田氏は、次のように解説する。出生率の低下で日本の人口はどんどん減少する。そこで、列島の西半分に中国人を1億人単位で移住させ、「東海省」として中国の一部とする。少数民族となった日本人を、東半分に強制移住させ、「日本自治区」として、これも中国の版図に組み込む計画と見られる。
 実は、中国共産党は、日本を共産化する計画を長期的に進めてきている。昭和47年8月、中国共産党による「日本解放綱領」という文書が話題になった。この文書は、「日本解放」つまり日本の共産化を、3段階を経て達成するとしている。第1目標は日中国交の樹立、第2目標は「民主連合政府の形成」、第3目標は「日本人民民主共和国の樹立ーー天皇を戦犯の首魁として処刑」である、と。最後は、皇室をなくして、共産主義国家を建てるという計画である。
 ただし、昭和47年頃の中国は、今のように表だって反日的な行動を取っていなかった。47年9月の日中国交回復で、日中友好が進んだ。ブロマイドで一番人気は、男性が高倉健、女性が山口百恵という友好ムードの時があった。
 ところが、その後、中国は共産主義の矛盾が高じ、国民の目を外に向けるため、江沢民の時代から愛国主義・反日教育を行うようになった。習近平が主席になると、一段と反日的な姿勢を強め、最近は韓国と連携して、歴史認識問題で日本を非難するなど、様々な反日行動を展開している。戦後70年となる今年は反日行動が激化する。きちんと事実を以て反論しなければならない。
 先ほどの地図に自治区と書いてあったが、中国は、これまでチベットや新疆ウイグルを併呑し、自治区としている。中国共産党はチベット、ウイグルでは、固有の文化を破壊し、宗教を弾圧し、虐殺・虐待を行っている。そういうところが、自治区である。日本は、その二の舞にならないように、真剣に対策を立てて進まなければならない。
 昨年末の衆議院選挙は、アベノミクスについて国民の信を問う選挙として行われた。日本経済の再生は重要であり、わが国はデフレを脱却し、経済成長の軌道に戻らねばならない。だが、もっと重要なのは、国防の整備。国家安全保障の強化が必要である。そのために急務となっているのが、憲法の改正である。
 現行憲法は何が問題か。まず占領下で戦勝国に押し付けられた憲法である。GHQが秘密裏に英文で起草した。日本を断罪し、弱体化するのが目的だった。国の基本をなす憲法に、日本の歴史・伝統・文化・国柄が書かれていない。
 前文は「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し」と始まる。「代表者を通じて」は奇妙な表現。英語では、… acting through our duly elected representatives in the National Diet … この act through は「を代理として」という慣用句。これを誤訳した。
 特に注目すべきは、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの生存と安全を保持することを決意した」と書いてあること。「平和を愛する諸国民」というが、それは戦勝国のことで、日本は戦争を起こした悪い国だと一方的に断罪している。だが、米ソは対立するようになり、冷戦下で様々な戦争が起こった。現在の中国・北朝鮮・ロシア等を見ても、まったく宙に浮いたような理想論となっている。しかも「公正と信義に信頼して」は、てにをはが間違っている。「~を」でなければならない。
 この前文との関連のもとに定められているのが、第9条である。第9条は、次のような条文である。

第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

 ここに戦争放棄・戦力不保持・交戦権の否認が規定されている。第9条を世界遺産にとか、9条を守っている日本国民にノーベル平和賞をとかいう人たちがいるが、第1項は、1928年の不戦条約と同じ主旨である。不戦条約は現在も約60ヶ国が当事者国である。戦争放棄は日本独自のものではない。問題は、2項。もし自衛力を含めてまったく戦力を持たないとすれば、独立主権国家として成り立たない。そこで、わが国の政府は、自衛隊は戦力でないからという解釈を取って来ている。だがその解釈では限界がある。それが先ほど述べた集団的自衛権の行使の問題である。
 その他にも、現行憲法には、多くの欠陥がある。権利の規定が多い反面、義務の規定が非常に少ない。勤労、教育、納税のみである。多くの国では国家忠誠の義務や国防の義務が定められている。家族保護条項がなく、第24条に婚姻は両性の合意のみによって成立すると定めている。この規定が、個人主義を助長し、家族の絆を弱めている。緊急事態条項がなく、大災害、外国の侵攻、内乱、騒擾等の非常事態に対応できない。改正要件が非常に厳しく、国会両院の3分の2以上の賛成で発議し、国民投票の過半数で決するという規定となっている。
 だが、わが国は、こうした欠陥の多い憲法を、一字一句変えずに今日まで来てしまった。その結果、深刻な危機に陥っている。
 ようやく26年6月、改正国民投票法が成立した。戦後初めて、国会の発議を受けて、国民投票で憲法改正を決するという手続きが具体化した。
 安倍首相は、憲法改正は自分の「歴史的使命」とし、衆院選後、「最も重要なことは国民投票で過半数の支持を得なければならない。国民の理解と支持を深め、広げていくために、自民党総裁として努力したい」と述べ、憲法改正に意欲を示している。
 最後は国民の意思である。子供や孫のために、私たち自身が何を選択するか、その決断が必要である。
 わが国の当面の課題は、経済の再生だが、それ以上に重要なのが、憲法改正による国家の立て直しである。アベノミクスの完遂の次は、憲法の改正が課題である。
 物質的な繁栄を追い求めるだけでは、国家の安泰と持続的な発展は得られない。日本人の手で、日本の歴史・伝統・文化・国柄に基づき、独立主権国家にふさわしい憲法を作り上げてこそ、国家の安泰と民族の繁栄が得られ、世界の平和への貢献もできる。
 憲法改正による日本再建には、日本精神の復興が必要である。日本人は自己本来の日本精神を取り戻そう。
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 講演では、わが生涯の師にして神とも仰ぐ大塚寛一先生の言葉を多く紹介したが、ここでは割愛した。大塚先生と真の日本精神を伝える運動については、下記のサイトをご参照ください。
http://www.nsfs.jp/sousai_sousai.htm

関連掲示
・拙稿「日本国憲法は亡国憲法――改正せねば国が滅ぶ」
http://www.ab.auone-net.jp/~khosoau/opinion08c.htm
・拙稿「国防を考えるなら憲法改正は必須」
http://www.ab.auone-net.jp/~khosoau/opinion08d.htm
・拙稿「『日本解放綱領』の残影~中国の対日政治工作」
http://www.ab.auone-net.jp/~khosoau/opinion07c.htm