ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

自民党は立党の精神に帰れ3

2010-05-21 08:54:24 | 時事
 次に、「現状認識」は、現在の自民党の決意を述べる。
 「我が党は平成21年総選挙の敗北の反省のうえに、立党以来護り続けてきた自由と民主の旗の下に、時代に適さぬもののみを改め、維持すべきものを護り、秩序のなかに進歩を求め、国際的責務を果たす日本らしい日本の保守主義を政治理念として再出発したいと思う。」
 ここで、自民党は「日本らしい日本の保守主義」を政治理念とする保守政党であることを明言する。自由民主党はその名のごとく、自由主義と民主主義を基本的な思想とする政党だが、立党以来、革新(左翼)ではなく保守の政党であることは明らかである。しかし、「保守」という用語は、立党宣言等で使われていない。新綱領で初めて使われた。ここに新綱領の特徴の一つがある。保守政党でありながら、リベラル志向の政治家が増えてきた自民党が、日本的な保守の政党として自らを立て直そうとする意思の表れだろう。
 わが国でいうリベラルは、修正自由主義である。修正自由主義としてのリベラルは、社会民主主義と親和する。自民党にはこの意味のリベラル派が多くなっている。またその一方、もともとのリベラリズムは、古典的自由主義である。その流れを汲むのが新自由主義であり、市場原理主義である。自民党の中には「リベラル」という言葉のもとに、これらの自由主義が混在している。
 そういう実態を踏まえてのことか、「現状認識」は、次に自民党のいう「自由」を確認する。
 「我々が護り続けてきた自由(リベラリズム)とは、市場原理主義でもなく、無原則な政府介入是認主義でもない。ましてや利己主義を放任する文化でもない。自立した個人の義務と創意工夫、自由な選択、他への尊重と寛容、共助の精神からなる自由であることを再確認したい。」と。
 そのうえで、次のように言う。「従って、我々は、全国民の努力により生み出された国民総生産を、与党のみの独善的判断で国民生活に再配分し、結果として国民の自立心を損なう社会主義的政策は採らない。これと併せて、政治主導という言葉で意に反する意見を無視し、与党のみの判断を他に独裁的に押し付ける国家社会主義的統治とも断固対峙しなければならない。また、日本の主権を危うくし、『日本らしい日本』を損なう政策に対し闘わねばならない。」と。
 この部分は、前段の「自由」の理念に基づいて、民主党のバラマキ政策や独裁的な政治手法、日本の主権を危うくし、日本の伝統・文化を損なう姿勢との対決を表明するものだろう。
 最後に「現状認識」は、次のように結ぶ。
 「我が党は過去、現在、未来の真面目に努力した、また努力する自立した納税者の立場に立ち、『新しい日本』を目指して、新しい自民党として、国民とともに安心感のある政治を通じ、現在と未来を安心できるものとしたい。」と。
 ここでは、自民党は「納税者の立場」に立つという。ここまでの部分で税金とその使用に関する主張がないので唐突な感じを与えるが、「納税者の立場」に立って、新しい日本を目指し、安心感のある政治を通じて、現在と未来を安心できるものとしたいとして、「現状認識」は終わる。

 以上、「現状認識」を数箇所に区切って、文章の展開を追ってみたが、このように解析してもなお、全体の趣旨を明瞭につかめないところがある。直前に引用した結尾の部分にしても、自民党の立場は「納税者」と立場をともにすることに集約されるのか。自民党が目指すものは、現在と未来の「安心」に収斂するのか。目指すべき日本とは「安心できる日本」なのか。主張が明確に浮かび上がらないまま終わっている。
 一般に「現状認識」という題目は、現状認識を書くものであって、それを踏まえた方針や決意は、題目を改めて書くことが多いだろう。この点でも、新綱領の「現状認識」は、十分推敲された文章とは言えないだろう。

 次回に続く。
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