ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

参院選 民主、過半数割れか

2010-04-26 11:19:37 | 日本精神
「週刊文春」は、4月29日号に「鳩山民主109議席 過半数割れ 『民・みん新政権』誕生!」という記事を載せた。民主党は単独過半数を取れず、連立与党でも過半数割れする。野党側も仮に自民・公明を合わせたところで、やはり過半数に至らない。みんなの党がキャスティングボードを握る可能性があると記事は予想する。
 
●民主109議席、「民・みん」連立へ?

 記事は、政治広報センター社長・宮川隆義氏の署名入りである。「文春」編集部によるものではない。政治広報センターは、選挙情報の専門会社で、これまでの選挙でかなり近似的な予測を出している。昨年の衆議院選挙でもそうだった。
 どういう方法、規模で調査をし、どういうデータから結果を予測しているか、具体的に書いてはいない。「各候補の得票実績傾向と直近の世論支持率動向、各種世論調査などをパラメータ(媒介変数)にした選挙予測シミュレーションの結果」と記すのみである。
 「文春」の記事の予測は、民主が改選数の53議席を下回り、47議席に留まる。非改選の62議席と合わせても109議席。小沢幹事長が至上命題とする単独過半数122議席には届かないというもの。社民党が4、国民新党が4で、連立与党を合わせても、117議席、与党の過半数割れは避けられない情勢と見る。
 野党側も、自民は43、公明は9。非改選を合わせても、99議席。こちらも過半数には至らない。そこでキャスティングボードを握るのが、みんなの党だと、記事は予想する。みんなの党は、12議席を獲得。非改選の1を足して13議席。民主109、自民80、公明19に次ぐ第4の勢力に躍進する。もしみんなの党が、連立に加われば、与党は過半数に達すると見る。
 ここで記事は「もし参院選挙後に民主がみんなの党に連携を持ちかけた場合、『総理のイス』を要求されてもおかしくない」「『渡辺喜美総理誕生』の可能性は十分あるだろう」と書く。「民・みん新政権」というわけである。
 私見を述べると、みんなの党は「第2民主党」的な政党である。自民を出た渡辺氏らは、反自民が存在意義である。選挙後に自民党と組むことはありえない。政策的には、民主党のリベラル政策に通じるものがある。それゆえ、「民・みん連立政権」はあり得ると思う。またその場合、渡辺氏が相当のポストを要求するに違いない。現民主党連立政権は、国民新党の亀井氏、社民党の福島氏に最も望むポストを与えている。新政権でも同様だろう。結果が「総理のイス」とまで行くかはわからないが、渡辺氏は強気の要求をするだろう。自社連立で社会党の村山富市氏を首相に立てた例がある。政治の世界は何が起こるかわからない。
 もう一つ別の可能性は、民主党と公明党が組むという可能性である。民主党には、反創価学会の宗教団体を支持母体とする議員がいるから、民主党執行部としては冒険だろう。しかし、民公連携に反発して離党する議員の数を押さえ込めるようであれば、小沢氏は、足して議席数の多い方の連携を選択するだろう。

●ミニ政党の寄せ集めの可能性も

 「文春」の記事は、予測議席数に幅をつけて予測している。上記の数字は、その幅の中の中間値を示すものである。民主党については、改選議席の予測は36から59と、23議席もの幅がある。59議席を取った場合は、非改選と合わせて、121議席。あと1議席で過半数を制する。逆に、36議席しか取れなければ、98議席にしかならない。
 自民党についても、最大47、最小40と予測する。公明は8~9の予測ゆえ、仮に自民党が最大数を取っても、非改選と合わせた議席数は103議席。民主が大惨敗し、自公が極めて善戦したとしても、19議席は第3の政党と組まなければ、政権をスタートできない。
 「文春」の記事は、みんなの党以外の新党をどう予測するか。たちあがれ日本は、1~2議席。首長連合による日本創新党は、2議席。ともに非改選はないので、この数字での予測である。新党を設立したばかりで準備不足との見方だ。連立与党の国民新党は、非改選を合わせて3~4。社民党は、3~4と予測する。他に新党大地も1~2議席とする。
 場合によっては、民主なり自民なりが、こうしたミニ政党も何党か寄り集めて、3から5の政党が連立を組むという可能性が浮かび上がってくる。
 たちあがれ日本について、記事は2,900万人いる65歳以上の支持を集められれば、「たちあがる」ことは可能とし、キーマンは石原慎太郎都知事だとする。「再び石原氏が国政の場に立つことがあれば、この新党は大化けする可能性がある」と言う。
 「文春」の記事は、候補者別の予測も載せている。目を引くのは、東京都で民主党・蓮舫氏は無党派層の票が新党に流れて「苦戦」としていること。また山梨県では輿石東氏は、北教組違法献金事件で露骨な組合選挙が出来ず、自民党候補者に敗れると予測している。
 記事は衆参ダブル選挙の可能性にも触れる。昭和55年(1980)、61年(1986)と過去2回行われたダブル選挙では、いずれも与党が圧勝した。しかし、現在のように「20%台の支持率で、306議席の衆院議席を賭けるのは、ギャンブルというより、自殺行為」とする。そのうえ「何より鳩山総理に落選のおそれがある」と言う。2005年郵政選挙では新党大地の支援で当選できたが、今回は大地の間に距離がある。「前代未聞の現職総理落選も現実味を帯びる」と予測する。

 「週刊文春」4月29日号の記事は、舛添要一氏が新党を旗揚げする前ゆえ、新党改革は選挙結果の予測に入っていない。舛添氏は「首相にふさわしい人物」として抜群の人気を持つ。舛添氏への期待票が新党改革に集まれば、比例区で議席を取れるだろう。
 舛添氏は自民党から出たわけゆえ、自民党中心の連立への参加は、自分を首班とする場合以外はありえない。舛添氏は保守系リベラルであり、民主党とは親和的である。自分が首班になれば民主党から数人閣僚に入れると述べたことがある。民主党との連立については、小沢幹事長が議員辞職することが条件だろう。参院選の前に小沢氏が辞職し、鳩山氏も退陣する流れになれば、舛添氏が民主党と接近し、新党改革が民主党中心の連立政権に加わる可能性はあると思う。
 仮に民主党が惨敗しても、自民がよほど善戦しなければ、自民より民主という政党が民主に寄り集まり、民主中心の連立政権が新たな形で生き延びる可能性は高い。しかし、谷垣自民党は自己改革に勢いがなく、総裁の求心力が弱い。日本にとって、誠に憂うべき情勢である。

 私は、伝統尊重的保守を自認している。伝統尊重的とは、わが国の伝統を尊重する立場であり、皇室の崇敬、家族の絆、誇りある歴史観、道徳の涵養、自然との調和等を重要視する立場である。それゆえ民主党に対して、私は、厳しく批判的である。民主党の政治家の多数は、リベラルないし社会民主主義である。社民党・共産党は論外である。私は、自民党の中の経済優先的保守に対しても、批判的である。経済優先的とは、経済的自由主義をよしとし、物質的利益の追求を、わが国の伝統の保持よりも優先する立場である。また自民党には、保守系のリベラルもおり、私は彼らに対しても批判的である。
 伝統尊重的保守の政治家は、自民党、たちあがれ日本、民主党、国民新党、無所属等に散在している。私は、そうした政治家が結集し、新たな勢力を作ることが、望ましいと考える。伝統尊重的な保守は、いまは少数であれ、従米媚中の保守・リベラルへの迎合を改め、独立自尊の道を行くべきである。そして、国民の良識に訴え、日本の精神的伝統に基づいた国づくりを目指すべきだと思う。