ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
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現代の眺望と人類の課題95

2009-01-10 10:13:28 | 歴史
●スカル・アンド・ボーンズとは

 ここでブッシュ家3代が会員であるスカル・アンド・ボーンズ(SB、髑髏と骸骨団)について補足したい。
 スカル・アンド・ボーンズは、1832年にイェール大学に結成された秘密結社である。イェール大学の学生のうち、1学年に15名のみ入会を許される。少人数ゆえ、会員数百人規模の小さな団体である。しかし、アメリカ社会に秘密結社の数ある中で、最も強い社会的影響力を持ち、政界・財界・法曹界・学界やCIA等に強力な人脈を広げている。SBは、アメリカ支配層の主流であるWASP、つまりホワイト・アングロサクソン・プロテスタントを中心とした集団である。
 スカル・アンド・ボーンズはウィリアム・ハンチントン・ラッセルとアルフォンソ・タフトによって創立された。W・H・ラッセルは、アヘン貿易で財を成したラッセル家の一員である。19世紀のイギリスは、インドとシナを結ぶアヘン貿易で、莫大な富を獲得した。このアヘン貿易にアメリカからラッセル・アンド・カンパニーも参入していた。このラッセル家の会社は、ロスチャイルド系のアヘン専門商社であるジャーディン・マセソン社と提携し、太平洋と大西洋を股にかけて巨富を得ていた。SBは、このラッセル・アンド・カンパニーの財力をもとに創立された団体である。

 スカル・アンド・ボーンズのメンバーには、17世紀に最初に北米に来たピューリタンの名家や、18~19世紀に成功したハリマン、ロックフェラー、ペイン、ダヴィソン、ピルスベリー、ウェイヤハウザー等の富豪が多い。アメリカの所有者集団の主要部分に当たる。
 SBの実態が知られるようになったのは、アントニー・サットンの研究による。サットンは、ソ連の共産主義とアメリカの国際金融資本の関係を調査する中で、SBの存在を知った。そしてソ連の共産主義を育成・支援してきた金融資本の中心に、SBの活動があることを明らかにした。
 サットンは技術者上がりの経済学者で、アメリカの公文書やソ連の技術マニュアル等をもとに徹底的に実証的な研究をした人物で、いわゆる陰謀論者とは異なる。
 サットンの著書「アメリカの秘密組織」によれば、スカル・アンド・ボーンズは、結成後、アメリカ市民自由連合を創設、ロシアのボルシェビキ革命を支援、アメリカの教育界を支配、宗教界に影響、イェール大学出身者によりCIAを支配、ヒトラーに資金を提供等と多岐にわたる活動をしている。そして、SBの社会的影響力について、サットンは、次のように書いている。
 「彼らは、カーネギー、フォード、ピーボディ、ラッセル・サーガなど、すべての主要な財団を獲得した。彼らの目的は、これらの財団に真っ先に入り込み、その将来をコントロールすることにある」「学術団体の中でも、米国歴史協会、米国経済協会、米国化学協会、米国心理学協会は、すべてSBのメンバーか、彼らに近い人間によって設立された」と。

 スカル・アンド・ボーンズのメンバーをボーンズメンという。ボーンズメンの中から、3人の大統領が出ている。創立者アルフォンソ・タフトの息子ウイリアム・タフト、そしてブッシュ父とその息子である。ブッシュ家から父子の大統領が出たことによって、SBは俄然注目されるようになった。このことがなければ、SBが今日のように広く知られることはなかっただろう。

●SBとイルミナティ伝説

 スカル・アンド・ボーンズは、「髑髏と骸骨団」といった名称だが、ラッセルはドイツで同様の名称を持つ団体に入会し、アメリカに帰ってその支部としてSBを作ったという説がある。また、SBについてはイルミナティとの関係も指摘されている。
 イルミナティとは、1776年、ドイツのインゴルシュタット大学の教会法の教授アダム・ヴァイスハウプトによって設立された秘密結社である。啓明社・光明会等と訳される。創設の年は、アメリカ独立の年でもある。
 ヴァイスハウプトは、イルミナティ結成の年、「新世界秩序」と題した本を出版した。「新世界秩序」とは、すべての既成政府の廃止と世界統一政府の樹立、私有財産制と遺産相続の廃止、愛国心と民族意識の根絶、家族制度と結婚制度の撤廃、子供の集団教育の実現、すべての宗教の廃止によって創造される新たな世界秩序である。イルミナティは、こうした世界秩序を目指す団体として知られる。
 ヴァイスハウプトの思想は、共産主義の先駆ともいえる思想である。マルクス=エンゲルスによって空想的社会主義者と呼ばれたサン・シモン、フーリエ、オーエンより、ヴァイスハウプトが時代的に早い。

 1784年、バイエルン政府は、過激な思想を掲げるイルミナティを禁止した。海外に逃れたヴァイスハウプトは、その後、会員をフリーメイソンの支部に潜入させ、メイソンの内部に秘密組織を作ったともいわれるが、その消息は定かでない。イルミナティがアメリカ独立戦争、フランス革命、ロシア革命等に暗躍したという説もあるが、これらをイルミナティの陰謀として描くのは、幻想文学の類だと私は思う。

 ところが、20世紀に入ってイルミナティは、あらゆる陰謀団体の源流と説かれるようになった。偽書「シオンの議定書」とイルミナティが結び付けられ、ユダヤ民族の陰謀という観点から、イルミナティとフリーメイソンとユダヤを一体のものとする陰謀論が流行している。陰謀論は諸説紛々であり、そのため、富と力を実態とした世界の権力構造がカムフラージュされてしまっていると思う。
 私が思うに、キリスト教思想には、キリスト教と異なるものを悪魔的なものとみなす傾向がある。イルミナティ伝説も、イルミナティは、神に敵対する悪魔、堕天使ルシファーを信奉する団体とされ、邪悪なイメージが投影されている。そこに見られるのは、神と悪魔の二元論、対立・闘争の論理である。その原型は、ユダヤ教の世界観である。日本人でイルミナティ陰謀論を説く人については、私はユダヤ=キリスト教の磁場によって、思考回路に影響を受けていると感じる。

 次回に続く。

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