ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

9・11~欺かれた世界19

2007-10-08 10:25:18 | 国際関係
●利用加担または自作自演の目的は何か

 もしブッシュ政権の首脳陣が、9・11のテロを利用して破壊活動に加担したり、あるいはテロを装って自作自演したとすれば、何のためにそうしたのだろうか。目的は何か。
 利用加担またか自作自演という見方に立てば、9・11以後、ブッシュ大統領の挙げた「テロリズムとの戦争」という訴えは、まったくおかしなことになる。当時もイスラムのテロリストは、世界各地で活動していた。アメリカにとって、テロは脅威であり、深刻な問題だった。しかし、9・11の事件に限っては、純粋にテロリストによる攻撃なのではない。テロリストの計画や行動を利用して、むしろアメリカ政府自身がアメリカの国民と政府施設を攻撃した史上前例のない策略だったと考えられる。それをすべてテロリストによる攻撃だと主張し、報復のためにとして戦争を起こしたのが、ブッシュ政権である。

 戦争目的は、オサマ・ビンラディンを庇護するタリバンが活動の本拠としているアフガニスタンに侵攻すること。そして、テロの首領を捕らえ、テロリストの巣窟を撃つこと。そして、中東諸国に自由とデモクラシーを実現すること。
 9・11があってもなくても、アメリカはイスラムのテロリズムとの戦いを行なっている。しかし、9・11をきっかけとした戦争は、恒常的なテロリズムとの戦いとは異なる目的を秘めている。そして、テロ攻撃への報復という目的は、この別の目的を隠し、偽装する役割をする。むしろその目的を達成するために、いかなる手段をとっても、中東に侵攻する口実を得る必要があったところに、9・11は計画されたと考えざるを得ない。

 考えられる目的は、五つある。

①石油・天然ガスの確保
②アメリカ=イスラエル連合の安全保障の強化
③戦争による特需の創出
④ドル基軸通貨体制の維持
⑤麻薬利権の取り戻し

●石油・天然ガスの確保

 第一の目的とは、中東とユーラシアの石油・天然ガスの確保である。
20世紀末から、世界の石油の需要は、飛躍的に増えている。1993年から2015年までに、世界の石油消費量が倍増することが予想されている。そのほとんどは急速な発展を遂げている極東地域で起こると考えられている。この需要を満たすため、欧米の石油メジャーにとって、膨大な埋蔵量を誇る中東及びユーラシアの石油・資源を支配することが、焦眉の急となっている。
 アメリカの石油メジャーにとって、産油国の政体は、専制体制であれ、民主体制であれ、本質的には、どちらでも構わない。親米であればよい。世界最大の産油国サウジアラビアは、王家や首長による専制体制が敷かれているが、中東随一の親米国である。そういう国は、それでよい。自由やデモクラシーや基本的人権など、広める必要はない。問題は、反米的な国家である。アメリカの言うことを聞かない国々に、親米的な政権を実現し、石油・天然ガスの利権を得ること。その利権を安定的なものにすること。これが、アメリカの石油メジャーの願望だろう。

 9・11後、なぜブッシュ大統領は、アフガニスタンに侵攻することを宣言したのか。オサマ・ビンラディンがいるから。タリバンが活動しているから。それは確かに理由であるが、もっと重要なことは、アフガニスタンの北、ロシアのカスピ海沿岸地域にある広大な油田の存在である。この地域の油田には、世界全体の需要を500年分以上も満たすと推計される量の石油が埋蔵されている。
 カスピ海地域の油田は、ロシア、中国なども虎視眈々と狙っている。中東とともに、この地域を支配する者が、事実上、世界のエネルギー市場を支配する。ひいては世界の覇権を手にすることになる。
 アメリカが、カスピ海地域のエネルギー資源の利権を獲得するためには、石油の搬出パイプラインをロシアや中国の側に伸ばさずに、アフガニスタンとパキスタンを経由して南下させる必要がある。それには、一つ問題があった。カスピ海地域の石油を既存のパイプラインにつないで送るには、地政学的にも重要な場所を押さえる必要があった。その場所がアフガニスタンだったのである。

 次回に続く。