仮 定 さ れ た 有 機 交 流 電 燈

歴史・文化・環境をめぐる学術的話題から、映画やゲームについての無節操な評論まで、心象スケッチを連ねてゆきます。

国会議事堂を「観」にゆく(8):七月の蝉

2015-07-31 09:36:23 | 国会議事堂を「観」にゆく
一昨日は、政治向きのことでも仕事回りでも癪に障ることが続き、毒々しい怒りに心のなかが支配されていた。議事堂周辺を歩いていても、そのことで頭がいっぱいになっていて、素直に思考することができない。結局、駅から自宅へ帰る間も憤りが治まらず、そのまま床に就いた次第。何と言い訳をしようが自分は主知主義であり、無知なることが赦せないのだと思い知った(こういうときは、自分のことは棚に上げている。いや、無知が赦せないのは自分に対しても同じか)。

翌日は会議の連続、9月以降に本格化するSGHの件でも学内を走り回ったが、学生センター時代の仲間たち(異動で種々の場所へ分散している職員さんたち)に、行く先々で助けられた。原則では×なことを、「大丈夫です!」と通してくれ、問題が生じてもすぐさま解決に至る。キャップを拝命しているジャパノロジーコースの運営会議でも、それぞれ機構長や学科長を務める多忙な先生方が、献身的に取り組んでくださっている。やはり自分は恵まれているのだなと、前日からのストレスがずいぶん軽くなった(ま、その代価はしっかりと支払わなくてはいけないわけだが。11月のシンポ、引き受けなきゃいけないかなー)。

少し力を得たので、昨日の議事堂「巡礼」は大回り。麹町、平河町を通って議事堂の裏側に回り、そのまま首相官邸前の坂を降って六本木通りへ。写真の1枚目はその坂下から官邸方面を撮影したものだが、実際はもっと斜面が急である。坂を挟んで反対側には内閣府・内閣官房の庁舎があるが、なぜこんな急坂にへばりついているのかと、やはり不思議になる立地だ。麹町台地の南側の縁になる六本木通りに沿って進むと、そこからみる台地上の景観は意外に地味で、写真2枚目のような昭和レトロ?な急坂もある。江戸の町割が踏襲されたものかもしれない。
かなり歩いたので、いつものとおり正門前交差点の石垣で一休み。このところしばらく求道者の姿をみないが、彼はもう「独り抗議」を諦めてしまったのだろうか。かわりにプラカードでも掲げるかと思ったが、彼のような安倍首相の顔にナチマークを刻印したそれは、同じヘイトの闇に堕ちることになるので断固しまい。ならばぼくならどうするか。やはり「彰往考来」が歴史家らしいかな、「崔杼弑其君光」でもよいな。
23:00になったので、腰を上げてもういちど議事堂を周回。前日はダークな気分で歩いていたので、同建物の警備態勢ばかりが気になり、監視カメラをずっとチェックしたりしていた。角という角、地下鉄の出入口など、当たり前だが、かなりの数が配されている。ほぼ毎日同じ時間、ぼくはこのカメラに何度も写っているのだな、ぼくが監視係だったら怪しむな、と実感した。いちばん注意を引いたのは、議事堂周囲の柵上全面に張り巡らされた2本の細いワイヤーで、これに触れると警報でもなるのかな、としばらく注視してしまった(当然、そのぼくを門衛の警官が注視していた)。昨日は、「ああ、ワイヤー」とまた歩きながらその流れを追っていたのだが、なんと途中で、その1本に掴まり脱皮しているアブラゼミの幼虫が…(写真3枚目、綱渡りしてきた、ということになる。セミの幼虫って、そんなに器用だろうか)。
麹町台地の権力が自然から遠ざかろうとしているものなら、それを許さず、取り込もうとしている巨大なうねりの象徴にもみえる。iPhoneではうまく撮影できず、何度もシャッターを押していたが、やはり警官に「ガン見」されてしまった。

今日はこれからオープン・キャンパスのブース詰め。朝から熱中症気味で頭痛が酷いのだが、がんばろう。
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