仮 定 さ れ た 有 機 交 流 電 燈

歴史・文化・環境をめぐる学術的話題から、映画やゲームについての無節操な評論まで、心象スケッチを連ねてゆきます。

研究会本格始動:『法苑珠林』からみえてくる

2008-05-17 14:27:53 | 議論の豹韜
そうそう、院ゼミ崩れの『法苑珠林』講読会がスタートした。テキストは中華書局の『法苑珠林校注』。現行で最良の校本である。第2・第4金曜を原則に、18:45から20:15まで。参加者もずいぶん増えたが、実はほとんどがギャラリー。報告担当者はぼくも含めて5人ほどなので、上の周期でまあまあ負担なく進められるか、というところ。初回は聴講生の早藤さんに現在の『珠林』研究の水準を紹介してもらい、続いて中国から一時帰国中のむーしぇんさんに、六道篇感応縁の序文を講読してもらった。こうして丁寧に読んでゆくと、『霊異記』が依拠していたのは『冥報記』でも『般若験記』でもなく、『珠林』感応縁であったことが明確に分かる。景戒のいう〈霊異〉も、実は『珠林』を媒介に現れる道宣の〈感通〉そのものだ。しかしそうだとすると、なぜ景戒は『珠林』の名を挙げなかったのか。なぜ道宣や道世を顕彰していないのか。そのあたりをちゃんと考えてゆかねばならないだろう。

それにしても、道宣の宗教実践に俄然興味が湧いてきた。しかし、本格的に研究できるのはもう少し先になるだろう。5月中に古代文学会叢書の原稿、6月に「人間の尊厳」共同研究の報告、10月にモノケンの原稿、12月に熊野詣の原稿。いつもより少なめだが、その分校務が多い。そろそろ倉田実さんの論集のお題も考えておく必要があるが、モノケンとの絡みもあるから、やっぱり死者を扱いたいなあ。最近、「みみらくの島」が気になっているのだが、調べて何か見つけ出せるだろうか…? 今度の研究会で訊いてみよう。
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