仮 定 さ れ た 有 機 交 流 電 燈

歴史・文化・環境をめぐる学術的話題から、映画やゲームについての無節操な評論まで、心象スケッチを連ねてゆきます。

離陸準備

2011-04-09 01:09:04 | 生きる犬韜
1週間ほど遅れたが、今年も真田堀の桜が咲いた。首都圏では日常の生活が急速に戻りつつあるが、実は、事態はほとんど改善されていない。みなが平穏に振る舞っているのは、終わりのみえないストレスに耐えかねて日常へ逃げ込んでいるだけだろう。「終わりなき日常の終焉」云々を声高に語っている連中もいるが、わざわざ画期を創り出し、曖昧さを分節することで安心立命を得ようとでもしているのだろうか。そもそもぼくは、「終わりなき日常」など生きていなかったので、相変わらず空虚な言論のようにしか思えない。まあだからといって、この情況をどうすることもできないわけだが。もろさんmonodoiさんは被災地への後方支援を実践しているし、今年度の新入院生であるO君は、7日(木)から現地入りして復旧活動に参加している。こちらもいまやるべきことをやるしかない。

4日(月)の新入生ガイダンスを皮切りに、今年も新入生オリエンテーションの時期が始まった。入学式はもちろん中止、歓迎会も中止、いつもは1泊2日で親睦を深めるオリエンテーション・キャンプも中止で可哀想だが、彼らは粛々とスケジュールをこなしている。例年よりも温和しくみえるのは、この情況のせいだろうか。ところで毎年、「推薦のときはお世話になりました。私を覚えていらっしゃいますか?」と尋ねてくる学生がいる。人の顔・名前はすぐ忘れてしまう方なのだが、特徴のある受験生はなぜか記憶に残っている。「こういうことがありました」といわれると、大体想い出すことができる。覚えていると学生が喜ぶので、今後も気を付けたいとは思うが、それで浮かんでくるのは史学科教員OBの鈴木宣明先生だ。彼は、オリエンテーション・キャンプのときには、すべての新入生の顔と名前が頭のなかに入っていた。あれは真似できないが、努力はしよう。
学生センターの仕事も本格化してきた。8日(金)には、サークルの代表者からなる代表委員会と、いわゆる部室棟であるホフマンホールの取り扱い説明書について協議した。施設使用の諸規定をみなおしてみると、前後に矛盾や古くなってしまった記述がかなりある。規定や施設紹介の載る『SOPHIAN'S GUIDE』にも困惑を招く記述がみられるので、来年度へ向けて改訂する方向で動き出すことになった。また、震災対応で忙しいセンター職員の皆さんには申し訳なかったが、3.11にキャンパス内で地震を経験した各サークルへアンケートを取り、危険を感じた点や避難上の困難などについて詳しく情報を上げてもらうことにした。秋には定例の防災講習が予定されているが、そちらへもフィードバックさせたいし、今年は節電等々の問題もある。災害関連の事項については、学生の知恵も借り、協議会にて継続的に審議してゆかねばならないだろう。来週からは、被災学生の経済支援に関する面接もスタートする。多忙になるが、こちらは高校時代の生徒会の延長のような感があるので、あまりストレスを感じずにやっていけそうだ。後手後手にまわっているが、あとは学内で教員・学生がばらばらに行っている被災地支援をどのように把握・援助し、またセンターから新しい方策を打ち出してゆけるかだが、被災学生への対応が一段落しない限り(マンパワー不足で)難しいかも知れない。

校務の合間は研究室に籠もり、次から次へ押し寄せる校正に対応している。それなりによく書けたと思う文章でも、活字になったものを読み返してみると、その粗雑さや浅薄さ、見落としの多さに愕然としてしまう。余裕のないなか、月刊ペースで出力してきたのだから尚更である。「進展させられた」と確信できる箇所もあるのだが、やはり忸怩たる思いの方が強い。今年は何とか精度を上げてゆかねばならない。
少しずつ、授業の準備へも注意を向け始めている。やはり今期も自転車操業だが、語り口や運営の仕方にもう一工夫したいと考えているところだ。まあとにかくがんばろう。
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2 Comments

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自転車操業… (やまもと)
2011-04-09 20:47:51
せんせいほど大車輪ではないですが、こちらも始まりました。お互いに健康に気をつけてがんばりましょう!
若手には (ほうじょう)
2011-04-10 09:39:39
やまもとさん、コメントありがとうございます。
若手には仕事が集中しますから、どうかお大事に。
過日ある学会で、某医療系大学に勤めている方が、人文系は閑却されていて研究費が年に1万円しか貰えない、文具を買って終わりだと嘆いていました…。

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