仮 定 さ れ た 有 機 交 流 電 燈

歴史・文化・環境をめぐる学術的話題から、映画やゲームについての無節操な評論まで、心象スケッチを連ねてゆきます。

ようやく夏休み?

2009-08-29 21:33:54 | 生きる犬韜
大学のプロジェクトが一段落し、ようやく夏休み?となった。…といっても、9月になれば授業以外の仕事は始まってしまうので、休みといえるのかどうかは分からない。しかしとりあえず、授業事務に使っていた時間は原稿執筆に充てられるだろう。

休暇に入ってまずは一息、ということで、妻と2人、お台場にガンダムの等身大立像を観にいった。9月号の「歴史学とサブカルチャー」はガンダムネタがプロローグなので、やはり一見はしておかねばならない。御覧のとおり、全体のフォルムも理想的で(胸部がやや小さく思えたが)細部にわたって作り込まれており、なかなかの出来である。それにしても、やはり18メートルというのはリアルな高さだ。近くに寄って見上げたその勇姿よりも、お台場の駅から公園に至るまでその姿がなかなかみえてこなかったことや、レインボーブリッジから眺めたその小ささの方がかえって印象深い。ファースト・ガンダムの第1話で、初めてザクを目撃したアムロはその巨大さに圧倒されるが、ザク以上の大きさのものを幾らでも見上げることのできた宇宙世紀にあって、あの演出は過剰だったのではないだろうか(それとも、多くのコロニーは郷愁を誘う前世紀のイメージで構築されているので、そうした経験はあまりなかったのか)。子供の頃、「身長57メートル、体重550トン…」という某巨大ロボットアニメのエンディングテーマがあったが、非リアルにもほどがある(「伝説の巨神」は論外)。
ガンダムを目撃したあとは、横浜に戻って『ヱヴァンゲリオン新劇場版:破』を観た(なんとサブカルな旅)。ぼくはエヴァ派ではないのであまり食指が動かなかったのだが、周囲の評判が高く、妻も「観たい」というのでゆく気になった。皆の騒いでいるアクション演出やCGの使い方にはさほど感心しなかったが、個の境界をみつめ破壊してゆくあまり、個の何たるかが分からなくなってしまっていた前作に比べ、素直に個のかけがえのなさを追求せんとする情熱の迸りには好感を持った(ぼくにとって前作でいちばん引っかかったのが、「代わりに出てきた綾波レイ」の存在だったのだ)。知人が語ってくれたように、『監督不行届』から想像される庵野秀明自身の生活の変化が、「新」の描き方に反映されているのかも知れない。ラストの渚カヲルの言葉は、これまでのテレビアニメ、映画、コミックのすべてが、シンジを幸福にするためのカヲルの哀しい繰り返しであったことを暗示する(なんとなく、『仮面ライダー龍騎』みたいだが)。セリフ回しは以前にも増してわざとらしいが、坂本真綾の演技の巧さは際立っていた。

週末には、近江八幡で開催された、毎年恒例の「日本宗教史懇話会サマーセミナー」にも参加。今年で10年続いた第2期も終了し、運営陣を入れ替えて第3期をスタートさせることとなった。ぼくも呼びかけ人に指名していただいたが、近年の宗教史の危機を思うと責任の重さに愕然とする。この会には1期第2回から16年にわたり関わり、多くの知人を得て、研究者としての自分を育てていただいた恩義がある。このところ、ぼく自身の関心がずいぶん違うところへ乖離してきてしまい、いろいろ隔たりは感じるが、なんとか恩返しはしなければならないと思っている。まずは、「東京の活性化」が課題だろう。
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2 Comments

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サマーセミナーお疲れ様でした。 (よねむら)
2009-08-31 01:38:35
二次会では色々とお話を聞かせて下さって有り難うございます。
やっぱり引き篭もっていてはいけませんね。外へ出て情報を集めるようにしなきゃ……
進路については、これから中川先生とも相談しつつ再検討してみます。
正直キツいですが、でも大事ですから。

そうそう友人から聞いた話ですが、お台場のガンダムは「動く」らしいです。9月だかに何かイベントがあるようで。どの程度「動く」のかは分かりませんが。
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セミナーお世話様でした (ほうじょう)
2009-08-31 03:30:17
サマーセミナー、こちらこそお世話になりました。今回はスタッフで大変でしたね。中川さんにはいろいろお送りしたいものもあるので、ちゃんと御礼状を書こうと思っています。
進路の件は、ぜひ再考を。頼ってくれるのは嬉しいですが、宗教史をやるなら京都を離れない方がいいですよ。

お台場ガンダムは、首の駆動とスモーク噴出、各部ライトの点灯は確認されていますが、構造上あまり大きな動きはできないと思いますよ。
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