仮 定 さ れ た 有 機 交 流 電 燈

歴史・文化・環境をめぐる学術的話題から、映画やゲームについての無節操な評論まで、心象スケッチを連ねてゆきます。

疲労嵩む:歳をとったのだろうか

2008-05-16 19:11:41 | 生きる犬韜
もうすぐ一つ歳をとる。不惑までもうすぐである。そのせいなのかどうなのか、最近疲れがまったくとれない。時間の有効な使い方ができない。困ったものである。

4月末から学内を駆けずり回っていた懸案の問題が一段落し、とりあえず平静を取り戻したところである。しばらくするとまた騒がしくなるのだが、この間に片付けておかねばならないことがある。とにかく原稿を書かねば。
12日(月)、「異界からのぞく歴史」の講義部分が一応終了、あとは24日(土)のフィールドワークを残すのみとなった。最後の担当は土居浩さんだったが、江戸から東京への変化のなかで、墓地がいかにして霊園となるのかを概説いただいた。近代的計画性のもとに公園化を進めイメージチェンジを図ろうと、周辺に暮らす人々の想像力はそれをまた異界の闇のなかへ呑み込もうとする。青山墓地にも幽霊は現れる。やはり人間の想像力、心の力は凄まじい。帰りは土居さんと食事したかったのだが、銅祝実行委員会の会議に呼び戻されてしまった(このブログを読んでくださっている同期の方、参加申し込みどうぞよろしく)。うぅ…。
13日(火)は、プレゼミ・ゼミの後で新歓コンパ。4年生は8割方内定が出て、みな卒論にとりかかり始めたもよう。昨日はM君から、コーエーのシナリオライターに内定したとの連絡があった。まことに喜ばしい。平安京を旅するゲームを創ってほしい。2次会は恒例のカラオケ大会だったが、新3年生の初々しい歌が聴けてよかった。しかし、ぼくももう尾崎豊を歌い上げる年齢ではない。途中で疲れてしまう。
14日(水)は会議の連続。輪講「絵画資料でよむ環境文化史」は、東洋史の村上さんの回を終了。会議続きでちゃんと拝聴できなかったのが悔やまれるが、学生とのキャッチボールに工夫のある授業だった。しかし、画像石から調理の仕方が分かるというのは、何度考えても面白い。供御は古代日本でも重要だが、ヴィジュアル資料には残っていないなあ。岡山県造山古墳の、供献された食物がそのまま土製品化された埴輪は注意されるが、調理の様子は造形されていないもんなあ。
15日(木)は研究日、自宅にて特講の準備。疲れが嵩んで作業ははかどらず。
16日(金)は会議と特講。キャンパスを歩き回った末の講義だったが、自分のなかでリズムが作れなかった。内容を話しているというより、内容に話をさせられている感覚である。疲れた。

明日は休みだが、日曜には歴研大会に出席して関根淳君の報告を拝聴するので、月曜の概説の準備をしておかなければならない。いただいた本、論文も溜まってきたのでちゃんと礼状を出さねば。そして何より原稿を書かねば。
ところで、GW中、『満城尽帯黄金甲』を観た。大変きらびやかだが内容がない心の動きがちゃんと描けていない、などと聞かされていたのだが、(過度の期待を抱かなかったからか)それなりに楽しめた。『モンゴル』とは好対照の、壮大な夫婦げんか、親子げんかの物語。やはり、チョウ・ユンファとコン・リーの熱演がネックで、画面がぎゅっと引き締まる。何万人もの死者で埋め尽くされた宮庭が、みるみるうちに清掃され整えられてゆく様子に、王朝なるシステムの冷酷さ・超然性が浮き彫りにされる。とにかく、大画面で観る価値はあった(しかし、みんなに愛された優柔不断な皇太子の不思議さより、王に向けられた前妃の深い怒りより、真実を知った侍医の娘の狂気より、そして中身のあまりない第2皇子の凛々しさより何より、ダメダメな第3皇子のダメダメな暴挙がいちばん印象に残ってしまうのだった)。
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