仮 定 さ れ た 有 機 交 流 電 燈

歴史・文化・環境をめぐる学術的話題から、映画やゲームについての無節操な評論まで、心象スケッチを連ねてゆきます。

『宮(クン)』:いまだ韓流強し

2006-11-17 02:08:49 | テレビの龍韜
以前、しゅいえほん君のブログで話題になっていた韓国のドラマ『宮(クン)』、日本でも、先週からテレビ東京で放送され始めました。帝政の敷かれる架空の現代韓国が舞台。芸術高校の美術科に通う〈普通の女子高生〉が、親友どうしだった先帝と祖父との約束によって、とつぜん皇太子妃に選ばれてしまう。皇太子は同じ高校の映画科に通う高校生で、いまはやりのイケメン・おれさま君。おまけに彼にはダンス科の恋人がいて、「本気で愛する人を宮中に入れてがんじがらめにすることはできない」から、結婚を容認している。主人公は彼の冷ややかな言動に翻弄されながらも、借金に苦しむ親のために入内を決意。宮中に足を踏み入れるものの、そこには言葉遣いも含めて様々なしきたりがあり、おまけに皇位継承をめぐる謀略も絡んでくる始末。果たして…という、なんとも少女漫画的なコンセプト。しかしこれが、美術・演出・撮影全般にわたり極めて丁寧に、お金をかけて作られていて、ジャンルは異なるものの『チャングム』に匹敵するような出来。宮中での古雅な言葉遣いと、女子高生の〈現代用語〉とのギャップの面白さ。〈しきたり〉の巻き起こす様々な悲喜劇、感情表現の抒情性・細やかさ。婚儀をはじめとする宮中儀式も詳細に仮構されていて、興味を惹きます。いやほんと、この題材を風格ある作品に仕上げるセンス、技術には頭が下がります(日本のドラマ界にはできないことですよ)。早くに父親を亡くした前皇太子の息子(第二皇位継承資格者)が今後どう絡んでくるか、彼と皇太子の元恋人とが接近する気配もあり…。今秋のドラマは割合に豊作だったのですが、『僕の歩く道』も『セーラー服と機関銃』も挫折し、いまは『のだめ』と『コトー』、そして『宮』しか観ていません。なんとか、ぼくの興味を持続させてくれ!と願う今日この頃(写真はこちらからのの借りものです)。
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正月ドラマ雑感(2)

2006-01-09 23:55:20 | テレビの龍韜
大河ドラマ『功名が辻』が始まりました。戦国ものには本当に飽きているのですが、私は竹中半兵衛が割合に好きなのと、興味を持って観られそうなキャストだったので楽しみにしていました。
結果はどうでしょう。確かに主役の2人は頑張っていましたね(といっても、仲間由紀恵は本格的には出てきていません)。上川隆也は『大地の子』以来のファンですが、いつも同じ演技ながら、役になりきっていて安心して観ていられます。武田鉄也の脇役もいい味が出ています。しかし、織田信長の舘ひろし、松平信康の西田敏行、木下藤吉郎の柄本明、お市の大地真央、ねねの浅野ゆう子は年とりすぎです。おまけに舘ひろしは声に伸びがなく、大音声があげられない。面白いと思った配役でしたが、蓋を開けてみれば花がない。
物語は、司馬遼太郎の原作があるせいで仕方ないのでしょうが、桶狭間の描き方が古すぎました。藤本正行氏の研究以来、桶狭間が今川義元上洛途上の尾張攻略でも、信長による起死回生の奇襲戦でもなく、平凡な隣国武将どうしの国境線拡大争いに過ぎなかったことは明らかであるのに……。脚本にも演出にも斬新な切り口はなく、今後の展開に期待するしかありません。大石静さん、がんばってください。

新番組期待度ナンバーワンというフジテレビの『西遊記』も、やはり満足のいく出来ではありませんでした。
孫悟空に、「キレやすいが孤独でさびしがりやな現代の若者像」を重ね、「仲間との絆を自覚してゆくなかで成長させる」物語にしてしまってもいいのですが、原作ファンとしては不満が募ります。神仙になる修行を積んで雲に乗る技を会得し、冥界を訪問して不老不死を手に入れ、竜宮から最強の武器如意棒を奪い、天上界で大暴れして天帝の大軍にひとりで立ち向かう「斉天大聖」の英雄ぶりは、中国民衆の希望や憧憬、豊かな想像力が構築したもの。日本で作る『西遊記』は、どうもそれを矮小化し、等身大の人間として描いてしまう傾向があります。「斉天大聖」の意味が分かっているのでしょうか。
今作はその典型で、ちっぽけな石牢に閉じ込められて500年も身動きとれず(原作では封印された巨大な岩山の下敷きになっている)、姑息な人間の企みを見破る智慧も洞察力もなく(原作では悟空が最も洞察力に富み、そのギャップのために玄奘や他の弟子たちとの間に誤解が生じる)、牛魔王との戦いでは檻に入って出られない始末。だいたい牛魔王も、かつて悟空に負けて義兄弟の契りを結んだはずなんですよね。ついには、公明正大な〈こころ〉論を語って見栄をきるに至る。思わず硬直してしまいました。人倫、道徳を超越するのが英雄でしょ。
こうした孫悟空の描き方には、前述した『里見八犬伝』と同じ問題があるように思われます。つまり、究極的な異文化を理解しようとするモチーフの欠如、ひいては他者について深く考える想像力の枯渇ですね。完全無欠の孫悟空が、足手まといの人間玄奘に師事して天竺へ向かうのはなぜなのか。それ自体が菩薩としての修行であり実践でもあるわけですが、それは苦しみと迷いに沈む人間の愚かさ、哀しさ、そして愛おしさについて〈了解〉してゆく旅でもあるのです。その結果、悟空は、真に人間を救済しうる存在へと昇華してゆく。今回の『西遊記』は、悟空の学ぶ人間を「素晴らしいもの」と正当化している時点で、まず仏教的ベクトルから遠ざかってしまっている。さらに日本テレビ版からの伝統か、玄奘と悟空の疑似恋愛、八戒や悟浄との仲間意識に押し込めて矮小化してしまっているのです。残念でなりません。この傾向は、現代日本の心性のあり方とも結びついていると思いますね。

これまでドラマ化された『西遊記』のなかで、原作の味わいがあったのはやはり中国版だけでしたね。もういちど観たい。DVD買おうかなあ。悟空と『封神演義』の神々が戦いを繰り広げるという壮大な『東遊記』も映像化してほしいですね。
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正月ドラマ雑感(1)

2006-01-06 04:15:34 | テレビの龍韜
昨日はうたた寝してしまった『古畑ファイナル』、今日はちゃんと観ました。
しかし、文字どおり完結編であるこの3部作、完成度はどうだったんでしょうか。
第2話についてはなんともいえませんが、1・3話を観る限り、『水戸黄門』の安心感はあっても、あっと驚くような感動や新鮮な切り口、深い人物造型とは無縁(とはいいすぎか)の物語だったように思えてなりません。とくに今日の第3話は、ほとんど枠組みごと『刑事コロンボ 構想の死角』のパロディ、もしくはリメイクだったのではないでしょうか。ま、『古畑』についてはとかくそのような噂が絶えませんでしたが、かつてはそれを補って余りある魅力があった。完結もやむなしか、というのが正直な感想です(面白く観たことは確かなんですけどね)。キャラクターものとしての定着に、どこかで抵抗するようなベクトルがあってもよかったんじゃないでしょうか。安全パイな終わり方で、少々気が抜けてしまいました。
ちなみに、誤解を避けるためにいいますと、私は三谷幸喜のファンです。テレビ作品はほとんど観ていますし、劇場にも足を運ぶよう努力します(なかなかチケットとれないんですけど)。『有頂天ホテル』は楽しみにしています。

『里見八犬伝』はどうでしょう。
長大な物語を3時間ほどにまとめてあるので、かなり端折って無理が出ていますが(大塚の浜路と里見の浜路姫=甲斐の浜路を同一人物としたことなど。これでは、荘助も浜路も助け育てた亀篠が〈かなりいい人〉ということになってしまう。亀篠がいなかったら、里見家の未来はなかったですよ)、現代的群像劇に再構成した点はひとつの見せ方でしょうね。角川『里見八犬伝』は、親兵衛以外すべて引き立て役でしたから。八犬士それぞれが異なる目的を持って生きながら、最終的にひとつにまとまってゆく流れは原作に忠実だったと思います。玉梓も稀代の悪女、怨霊としてではなく、時代に翻弄され死に追いやられた女性の象徴として描かれていて、その意味で八犬士と同じ〈群像〉のひとつということでしょう(菅野美穂を当てたのもそのためでしょう。原作なら船虫こそが似合いそうで、玉梓は岩下志麻とかですよ)。
しかし、全体としては残念な出来で、削り落とした部分にこそ大事なものがあったのでは……という印象は否めません。とくに根本的な設定である伏姫の夫、犬の八房が登場しなかったのはどうしたわけなんでしょう。現代には通じない内容と思われたのか、でも、それではなぜ〈犬士〉なのかが分からなくなってしまいます(慳貪の象徴としての畜生=犬、という仏教的位置づけなんでしょうが、あまり必然性は感じません)。私は、異類婚姻譚こそ他者了解の究極的形だと思っているので、この物語世界の単一化には馴染めないものがあります。
俳優では、悪役を演じた武田鉄矢がよかったですね。これからはもう、善人を演じるのはやめましょう。あとは、仲間由紀恵に貫禄がついてきたこと。とくに玉梓を癒すラストは、聖母的神々しさ、強さがよく出ていました。ほかには、相変わらずの佐野史郎、菅野美穂の狂気。それ以外に特筆すべきものはなかったですね。
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ラジオドラマ『古事記』を少しだけ聴く。

2005-11-04 05:48:21 | テレビの龍韜
NHKFMのラジオドラマ『古事記 神代篇』をMDに録音し、さわりだけ聴いてみました。

けっこう面白い。さすが市川森一、よく書けている(歴史や民俗を素材とした幻想譚を書かせたら、現在の日本でこの人の右に出る脚本家はいない。『もどり橋』『幽婚』『風の盆から』など、名作数多し)。研究者の立場から文句をつければキリがないですが(元明朝で漢風諡号を使っているなど)、『書紀』と『古事記』の相違など明らかに神野志説が踏まえられていて、安心して物語にのめり込める。
個人的に、何より「すばらしい!」と思ったのは、稗田阿礼に古代的歴史叙述(水と樹木の備わった場で神降ろしして行われる、神語りとしての歴史語り)を、藤原不比等に中国的歴史叙述(現在に通じる近代的歴史叙述として表現。未開世界におけるモダン、ということですね)を代表させ、それぞれの結実として『古事記』『書紀』を位置づけ、そのあいだで揺れ動く知識人として太安万侶を描き出すという三極の構図。阿礼の語りも、歌や舞、儀礼を織り交ぜて行われ、安万侶自身がオオクニヌシの役をふられたりする(そうなんですよ、古代的な〈という時代区分はもはや適当でない気もしますが〉史・伝のあり方というのは、後人が範としてそれを生き直すことにある!)。安万侶は不比等に軌道修正を迫られながら、阿礼の語りから甦る様々な神々の姿に魅せられてゆく。
新たな『古事記』論としても、興味深かったですね。実は、古代的歴史叙述の復原、近代的古代論批判という点では、ぼくがこんど、早稲田古代史の報告でやろうとしていることに通じているんですよね。来年からの講義にも使えそうだなあ。

ほんとうにさわりの部分しか聴いていないので、またゆっくりと、想像力に満ちた時間に浸りたいものです。
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気晴らし

2005-11-01 05:54:45 | テレビの龍韜
演習を終えて湘南新宿ラインに乗り込むと、だんだん気持ちが悪くなってきた。
昨日から今朝にかけて、割と筆が進んだ(キーが叩けた)もんで、あまり寝ていないんですよね。ま、いつものことなんですが……(倉田実さんが、高松に「だんなに保険金をかけておけ」と盛んに勧めていたらしい)。読みかけの『青雲はるかに』を置いて目を閉じる直前、「安倍晋三官房長官」「麻生太郎外務大臣」といったスポーツ紙夕刊の記事が目に入ってくる。みんな右翼二世(もしくは三世?)じゃん。安倍晋三なんて、蝦夷安倍氏の子孫のくせに、そんなに体制的でいいのかよ。でも、戸川さんの説によれば、安倍氏も中央出身の軍事貴族らしいからなあ。やっぱり中央への復権を狙っているわけか……などと考えていたら、よけい頭痛が酷くなってきた。こんな日に限って、バファリンを持ってきていない。向かいの席に座って破顔し、盛んに頷きながら手を小刻みに動かしている妙なおじさん……気になるけど、今日はそれどころじゃないんだよ。
なるべく目を休めて、家へたどりつく。

薬を飲み、頭痛が治まったのはいいけれど、なんとなく気持ちがむしゃくしゃするので、積んであるDVDのなかから楽に観られるものを選んで鑑賞。ここのところ朝鮮びいき(?)になっている関係で、日韓合作の劇場用アニメーション『新・暗行御使』。アメンオサは、日本でいえば公儀隠密、水戸黄門のようなもの。一種の貴種流離譚ですね。こちらのアニメは、架空のアジアが舞台のファンタジー。普通のアメンオサは、最初は身分を隠し、土壇場で正体を明かす……というのがパターンであり、カタルシスを呼ぶのだけど、こちらは冒頭から名乗りまくりです。映画としてはスケールも小さく、ストーリーや表現にも新味なし。原作はどうだか知らないけれど、韓国アニメは、独自の文化を追求してほしいですね(向こうでは、アニメも再生医療と同じ、国家的産業という位置づけなんだよね。いろいろな意味ですごい……)。
そうそう、アニメといえば、遅れて始まった『蟲師』『Paradise kiss』が出色。両方とも、原作よりいいんじゃないですか? 前者は、日常的世界のほんの一寸先に、まったく別の空間が広がっている感覚がよく表現できている。『百鬼夜行抄』に似てるかな。後者はやはり、監督小林治の才能でしょうか。矢沢あいの世界が、『BECK』と地続きになってしまっている。アラシは絶対、コユキと同じライブハウスに出てるね。

さてさて、夜が明けてきました。そろそろ勉強しますか。月参りもあるんだけど。
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韓国時代劇とラジオドラマ『古事記』

2005-10-30 03:12:20 | テレビの龍韜
チャングムの誓い』が地上波でも観られるようになった。BSでの放送に乗り遅れた私は、喜び勇んでDVD録画している次第。
木曜、S大学の講師室で、韓国出身の先生方と、なぜか『チャングム』の話になる。新大久保駅の近くに、5000円ほどで、李朝の宮廷料理を食べさせてくれるお店があるらしい。以前、増尾さんに連れていってもらったことがあるけれど、確かにあの界隈には韓国料理のお店が多い(増尾さんとご一緒したのは、当然安くてたくさん食べられる屋台料理のお店)。こんど探して行ってみましょうかね。
しかし、テレビで観ていると、あれこそ宮廷料理だという気がします。当然のごとく、同時代の天皇は、あんな豪華なもの食べていません(将軍家はどうだったのかな?)。

BSでの『チャングム』の放送は、先日めでたく(?)終了。来週からは韓国製武侠アクション、『チェオクの剣』が始まるようです。本家本元、中国の『笑傲江湖』や『天龍八部』なんかもやってくれないかなあ(かなり場当たり的、絶対全体の構成を考えながら作っていない物語ですけどね。それこそ金庸、というべきでしょうか)。それから、今週の3日には、NHKFMで『古事記』のラジオドラマが放送されるみたいですね。稗田阿礼が戸田恵子(女性説ですね)、太安万侶が石坂浩二、藤原不比等が江守徹。今回は「神代篇」で、来年が「ヤマトタケル篇」、再来年が「雷帝篇」と、3年連続で製作されるそうです。理知的な安万侶が、次第しだいに阿礼の語りの世界に引き込まれて……という内容らしいですが、音声劇は映像より自由度があるので楽しみです。こちらの想像力もかきたてられますしね(それにしても「雷帝」って?)。
録音せねば、と思うと同時に、進んだAV環境を手に入れながら、FMのCD録音さえできない状態であるのに気づきました。今さら、テープやMDには録りたくないなあ。PC用のチューナー買ってこようかな。
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『6000人の命のビザ』と『エンジェル・ハート』

2005-10-12 06:03:06 | テレビの龍韜
ずいぶんと肌寒い陽気になってきましたね。
月詣りでお経をあげていると、喉の調子で、「ああ秋が来たな」と分かります。まだ汗ばむような日でも、湿度が変わってきてるんですね。おかげて、少し風邪気味になりました。
深夜、妻と一緒に〈葛根湯〉ドリンクを飲む。妻は就寝。ぼくの時間はこれから。

それはそうと、今日は『6000人の命のビザ』と『エンジェル・ハート』を観ました。

『6000人……』は、第二次大戦下、ナチスの侵攻から逃げようとするユダヤ難民に、外務省の命令に逆らってビザを発給し続けた外交官、杉原千畝氏の物語。2000年には生誕100周年を迎えられています(1900年1月1日生まれ!)。単純に、やはり立派な人だなあと思います。
ただし、ドラマとしては臨場感に欠ける皮相な演出で残念。何か、ドキュメンタリーに挿入される再現ドラマみたいでした。
ぼくは原作を読んでいないんですけど、終戦後に不遇の日々を過ごした杉原氏の心情こそ、もっと知りたかった、ドラマとして深く描いてほしかったですね。彼のなかに、「ユダヤ人を助けたのは間違いであったのか」という葛藤があったのかどうか。助けることの叶わなかった人たちには、どのような思いを抱いていたのか。それを踏まえてこそ、ラスト、自分の救ったユダヤ人が多く平和な生活を送っていると知り、訪ねてくれたそのひとりと握手を交わしたときに溢れる言葉、「いま、私の人生は幸せであったのだと知りました。あなたのお陰です」が生きてくると思うんですよね。
イスラエルをめぐる中東情勢を晩年の杉原さんがどのように捉えていたのか、ということにも興味がわきました。本、買ってみようかな。

『エンジェル……』の方は、ぼくらが中・高生の『ジャンプ』黄金時代、一世を風靡したコミック『シティ・ハンター』の続編です。すでに原作コミックが何巻か出ていますが、そのアニメ化ですね。
ぼくは『シティ……』を読んでいなかったので、〈続編〉ということにまったく思い入れがなく、とうぜん原作本も買っていなかったのですが、なかなか面白い設定を組み立てたものです。前作のヒロインがいきなり事故死、その心臓を移植された某国の工作員が、心臓に残された記憶をたどって、主人公冴羽リョウに会いにくる……。記憶とアイデンティティをめぐる物語という意味では、この時間帯の前作『S.A.C. 2nd GIG』にも共通するものがありますね。ましてやこれも、〈死者からのことば〉の物語。
この、数年前から日本を席巻する文芸思潮?は何なんでしょうね。いつか、心性史的にアプローチしてみたいものです。
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新番組

2005-10-08 22:32:17 | テレビの龍韜
この1週間で、アニメーションの新番組(主に深夜)はだいたい出揃いましたね。
一応、ざっと観てみましたが、あまり引っかかるものはありませんでした。ぼくの場合、決め手はオリジナリティ(つまり新鮮さ)で、あとは絵・動きがちゃんとアニメーションとして成立しているかということですが、今クールは(番組数は多い割に)かなり酷い気がします。やはり人材不足、でしょうか。来週も観てみようかな、と思わせるのは、『クラスター・エッジ』くらいしかありませんでしたね。

そのなかで、今クールの目玉のひとつ、『BLOOD+』は及第点。新鮮味はありませんけど、絵・動き・ドラマはしっかりしています。米軍との関係という設定も、ちゃんとオリジナルから受け継いでいる。沖縄が舞台というのも面白い。でも、タツノコは途中で失速するからなあ……。今後、どう繋げるかですね。主人公の日常に、一話完結的にヴァンパイアが介入してくる、なんて枠組みでは保たないでしょう。

それと、これはアニメじゃないですが、まったく注意していない方向から変なものが現れました。雨宮慶太原作・監督の特撮ドラマ『牙狼(GARO)』です。魔界の獣を狩る騎士の話ということで、ま、『デビルマン』か『スポーン』か『コンスタンティン』という、まるでオリジナリティはない作品なんですけど(相変わらずリアリティもない。それは追求していないのか)。深夜のテレビ番組にしてはけっこうお金をかけて作り込んでいて、CGもバリバリに使っています。でも雨宮慶太って、なんで芝居のできないイケメンを主人公にしたがるのかなあ……。『ハカイダー』の悪夢を思い出してしまう。『未来忍者』以来の横山誠のアクションも、相変わらずやぼったい(演出のせい?)。ハリウッドで修行してきたと、最近もっぱらの話題だけど、『マトリックス』をリスペクト(ものまね?)するより、日本の刀剣にあった新しいアクションを研究した方がよいのでは。
文句ばっかり書きましたが、でも来週も観ちゃうんだよね、きっと。
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