Light in June

文学やアニメ、毎日の生活についての日記。

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「ポニョ」インタビュー(宮崎駿)

2008-07-10 01:10:25 | アニメーション
7月9日(水)の朝日新聞夕刊に、「ポニョ」についての宮崎駿へのインタビューが載った。それの紹介(以下、宮崎駿の発言をまとめた)。

はじめ『崖の上のポニョ』は『崖の上のいやいやえん』というタイトルがいいかな、と思っていた。中川季枝子『いやいやえん』をモチーフにした保育園の話を考えていたからだ。けれど、社内用施設の本物の保育園を作ることになってしまい、この話は断念。それと並行してカエルのキャラクターが出てくるとか、黒い波が魚だったらどうなるだろうとか、様々なピースを自分の中で、ジグソーパズルのように組み合わせるのに悩んでいた時期があった。そのうちにカエルのキャラクターはおもしろくないと思い始めて金魚のほうがポピュラーだろうと、金魚の話にした。

9歳のときに読んだ『人魚姫』での最後、人魚姫が魂がないから泡になってしまうのは納得できなかった。あのキリスト教的な考え方はいまだに許せない気がしている。異種婚礼譚は西洋だけでなく、日本にもある。日本人は、そういう愛を自然に受け入れる精神的な伝統をもっている。それで今回はハッピーエンドにしようと思った。しかし、これがハッピーエンドかどうかは見る人によって違うと思う。

(ポニョの宗介に対する「好き」という純粋な思いと宗介のポニョを「守ってあげるね」という約束、そのお互いの強い気持ちの結びつきが作品全体を支えている、という地の文(記者の言葉)に対して)それが一番大切だ(と宮崎駿は言う)。約束というのは守れないもの。でもここでは、約束を守りきった子どもの映画を作ってみたいと思った。子どもは始めから約束を守りたいという志向性を持っていると思った。そう確信してこの映画を作った。

小さな子は誰かの庇護を受けて生きているわけだから、周りにいる大人もきちんと描かなければと思った。また小さな子どもを描くとき、お年寄りを登場させるのは大事なこと。親以上に、子どもの将来に保証を与える存在としてお年寄りを描くと、世界が安定する。

自分のおふくろもそうだったが、優しい言葉をかけようとすると、つい乱暴な言葉になってしまうおばあちゃんが結構いる。意地悪な部分も含めて受け入れてあげることが大事。

(この映画は女性映画の一面もある、という記者の指摘に対し)おじいさんを出してもあまりおもしろくないですから(笑)。閉塞的な現代、何をよりどころにするかというと、最後は子どもだと思う。船で冒険に行って地球温暖化かなにかの警告を発するような男はたいしたことないし、自我なんていうものに捉われる男は役に立たない。それで、子どもをよりどころにする女性たちを描くことに自然になっていった。

リサ(宗介の母)に関しては親子というものを、自分がどう生きるのかも含めて、途上にいる人間にしたかったんです。また彼女は町が水没するような非常事態にもパニックにならない。ポニョによって不思議なことが起こっているその状況は全て分からないけど、今を乗り切ろうとする。そんな母親に誰もがなって欲しいという願望が、リサには込められている。

船で出会う赤ん坊を抱えた若夫婦の場面は、その後ポニョがちゃんと陸で生活していけるという担保のためにも、どうしても必要なシーンだった。ポニョは宗介に会いたい一心で人間界にやってきたとき、自分のことしか考えていなかったが、ここで赤ん坊と出会うことで、自分以外の者にも思いやる気持ちが持てた。ポニョはそういう柔軟性のある、これからどんどん変わっていく生き物だと、僕は思いたかったんです。

ポニョがポニョを貫き、宗介が宗介を貫く。みんな良かったねというところへ、最終的には向かいました。また海と陸は、この世とあの世とか生と死とか、いろんな言い方ができるが、五歳の子どもが分かってくれればいい。アニメーションとしての生き物のような水の表現まで、作っていて実に楽しかった。その楽しさが伝わってくれれば嬉しいです。

                 ★        ★         ★

以上が宮崎駿の発言をまとめたもの。「です」「ます」調の部分は発言をそのまま抜き出したところ。これについての感想はまた明日以降改めて書こうと思う(たぶん)。

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